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収縮する地方財政
                 
澤井勝(初出:『自治総研』03年11月号)

3年前から収縮過程に入った地方財政

 政府が議論を進めている三位一体改革の中心的な課題の一つは、地方財政計画ベースでの地方財政規模の抑制である。このことは、国庫補助負担金の大幅な廃止ないし削減という議論の陰であまり目立たない。いわば当然のことか。しかし、すでにその「地方財政規模の抑制」という基調は、この2,3年、顕著になってきている。

 (1) 歳出の縮減 まず歳出を決算ベースで見ると、都道府県と市町村との重複分を除外した純計額では、01年度は、974317億円。これは前年度、00年度に比較して0.2%のマイナスである。その前の年、00年度は対前年度マイナス3.9%であった。このように2年連続して歳出規模がマイナスになるのは歴史上初めてであった。ところで、このように地方財政の決算規模の伸びが前年度に比較して初めてマイナスとなったのは99年度である。このとき、1961年以来ずっと拡大してきた地方財政膨張の時代は終わりを告げた。

 (2) 地方税収の低迷 この歳出のうごきを基本的に規定している歳入総額も、00年度,01年度と連続してマイナスとなっている。その基礎にあるのは、地方税収のマイナスから横ばいの動きである。純計額での地方税収のピークは97年度の361555億円。01年度は355488億円であるから、ピーク時の98.3%の水準となっている。

 (3) 02年度決算 最近の決算である02年度ではどうか。02年度の都道府県決算(見込み)では、47都道府県のうち、財政再建計画中の大阪府を除き、残りの全ての都道府県で01年度に比較してマイナスとなっている。減少幅は4%台が11団体、3%台が10団体、5%台と2%台が5団体だが、北海道のマイナス9.2%や、石川県のマイナス10%、長崎県のマイナス16%という大幅ダウンの団体も目に付く。少なくも、都道府県においては総体として3年連続して決算規模が縮小していることは確実である。

 (4) 建設事業の縮小 この縮小の主な要因は、単独の建設事業の削減であろう。つまり建設事業の縮小が先行しているのではないかと思われる。

(5) 人件費の圧縮 人事院は88日に、国家公務員について月給を1.1%削減する勧告を行った。月給を引き下げる勧告は2年連続となる。これを受けた形で、各都道府県の人事委員会がこの10月までにそれぞれ給与勧告を行ったが、いずれもマイナス1%から2%の範囲での引き下げ勧告であった。これが職員定数の削減とともに、人件費の抑制に効き始めている。いわば歳出削減は先の鳥(投資的経費)を次の鳥(人件費)が斜め後方から追うという雁行形態で進んでいる。

(6) 03年度当初予算 先行きを見る指標である03年度の当初予算はどうか。都道府県の一般会計の当初予算は、前年の当初予算に比較して、ほぼ全面安といった状況である。かろうじてプラスになっているのは、宮城県の0.9%増、愛知の0.3%増、兵庫県の0.2%増、和歌山県の5.8%増だけである。長野県の6.9%減、青森県の6.2%減を初め、42都道府県の大半の府県がマイナス予算で、2%から3%の縮小予算となっている。単独の建設事業は、二桁の減額予算となっている府県が多い。一方で、臨時財政特例債などの地方債への依存度が高く、こちらも二桁の伸びを示す団体が30を超えている。

(7) 三位一体改革の最大の争点である地方交付税は、01年度決算から大幅なマイナスとなっており、今年度も地方財政計画では7.5%減の18693億円である。これで3年連続して前年度を下回り、ピーク時の00年度の214107億円に比較すれば、今年度の水準はその84.4%、つまりマイナス15%である。金額では33414億円減となった。

(8) 一方で、介護保険と高齢者福祉費、子育て支援費、雇用対策、森林環境の整備費などへの歳出額は急速に伸びてきている。すなわち、さらに思い切った歳出構造の転換がもとめられているのである。

(9) これらの基礎過程として、デフレ経済がなおゆっくり進行していること、国の制度改革や構造改革が影響を強めていること、これらに注意が必要だ。個々の自治体は、このトレンドを見極めながら、地域の条件を生かし、その地域を再生する展望のもとに政策選択することが今まで以上に求められる。  (澤井 勝)

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