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三位一体改革と交付税
 経済財政諮問会議と地方分権推進会議、地方制度調査会

(初出:『破綻する自治体、しない自治体』公職研、2003年3月
原題「国の地方財政改革動向」)


はじめに  分権推進委員会の置き土産 税収中立の税源移譲論  税財源の分権化は財政構造改革に不可欠  経済財政諮問会議の機能 経済財政運営と構造改革の基本方針(骨太方針第2弾)  片山プランなど総務省の改革構想  地方交付税の財源保障機能の見直し(縮小)に踏み切った総務省--閣議決定へ  おわりに(総額保障も個別保障も縮小)

1、はじめに
 地方財政の構造を改革しようという政府の動きは、1990年代以降、主に三つの舞台で見られたといってよい。ひとつは、分権改革に伴う、地方財政改革論議である。このアリーナでの登場人物は、地方分権推進委員会、および地方制度調査会、地方六団体、そして自治省(現総務省)などである。第二は、財政構造改革の一環としての地方財政改革論、である。このトラックの主要走者は、当然のことながら財政制度審議会と大蔵省(現財務省)である。その主要論点は地方交付税の存廃と国庫補助負担金である。そして、もうひとつの地方財政に対する構造改革の主張は、財界やジャーナリズムそして学界からの批判としてあった。いわば市場原理を重視し、民間の経済的活力を引き出す規制撤廃と法人税減税などに最も大きな関心を払う潮流である。特に後に触れる「受益と負担」の明確化から地方歳出の削減を説く。

 これらに、自民党の族議員と業界が加わり、補助金の確保、公共事業の推進という既得権益集団を構成している。

 さて、このような地方財政改革論議の背景となっている事情は何か。第一には、02年度末に700兆円に達する政府債務残高である。日本のGDPは約500兆円であるから、その1.4倍の債務を抱えて、将来世代の資源を食いつぶしている状況を、一刻もはやく脱却する財政再建こそ政府の最も重視すべき課題とされている。

 第二の事情は、バブル経済の崩壊後に顕わになったデフレ経済から脱却するために、無駄の多い財政システムを転換し、活力あるスリムな政府が求められている(それが幻想か否かは問わない)という事情である。

 そして、01年4月の小泉純一郎内閣の成立と、首相を議長とする「経済財政諮問会議」の設置によって、「政府による構造改革」は、この「諮問会議」における合意を主な根拠として展開されることになる。この経済財政諮問会議は、この三つの流れが同居しながら、牽制し合い、妥協点を探りつつ、内閣総理大臣への「諮問」として、政策化され、予算化されるという装置となっている。

 この経済財政諮問会議の答申のうち、特に重要なのは、第一に、01年6月21日の「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」、いわゆる「骨太方針」である。第二には、02年6月21日の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(いわゆる骨太方針第二弾)であると思われる。第三には、02年1月25日の閣議決定、「構造改革と経済財政の中期展望」(いわゆる「改革と展望」)である。

 そして、地方財政制度を所轄する政府組織としての総務省の動きがある。それは、まず01年8月30日に経済財政諮問会議に提出された「平成14年度に向けての政策推進プラン」すなわち「片山プラン」がまずあり、02年5月21日付けの「地方財政の構造改革と税源移譲について(試案)」で三位一体改革が整理されたようである。そして02年8月28日付の「総務省 制度・政策改革ビジョン」(いわゆる片山ビジョン)が示されている。そして、02年11月20日には03年度予算編成の最終局面で経済財政諮問会議に提出された「三位一体の改革について」がある。

 この流れをトレースしながら、これら中央政府レベルでの地方財政改革政策が、これからの市町村と都道府県の財政に及ぼす影響について検討し、各自治体が自らの財政運営と行政構造改革についてどのように考えるべきか、言及してみたい。

2、分権推進委員会の置き土産
  税収中立の税源移譲論

 分権改革に伴う地方財政改革論は、地方分権推進委員会の最終報告の第3章、「第二次分権改革の始動に向けて――地方税財源充実確保方策についての提言――」に集約されているといってもよい。その主な論点は、第一に、国税から地方税への税源移譲論である。このことで歳入の自治を確保するとしている。この主張を、端的に表現しているのが「地方税源充実確保の基本的視点」であって、次のように言う。

 「地方税源については、地方分権を更に推進するため、既に第二次勧告等で述べたように、地方の歳出規模と地方税収との乖離の縮小、住民の受益と負担の対応関係の明確化などの観点から、その充実確保を図って行くべきである。

 地方歳出と地方税収の乖離縮小のためには、歳入・歳出両面の見直しが必要であるが、歳入面に関しては、基本的に歳入の質を第一に考え、歳入面での自由度を増し、地方歳入中に占める一般財源、特に地方税収入の割合を高めることで受益と負担の関係を強化することが出来る。地方公共団体の施策の実施に必要な財源の相当部分は当該地域の税収で賄い、財政力の弱い地域には一般的な財政調整制度で対応し、個別事業に係る国庫補助負担金は真に必要なものに限るという方向が、望ましい方向である。」

 つまり、第一に、「地方歳出と地方税収との乖離の縮小」をすべきであること、第二に、「受益と負担関係の明確化に資する改革」であること、そして第三に、「歳入と歳出、両面の改革が必要」と指摘している。

 その上で、税の増収によって、歳入と歳出の乖離を図るという前提はとらない。すなわち「国・地方を通じた現在の租税負担率に制度的変更を加えない前提で地方税源の充実をおこなうためには、国から地方への税源移譲により地方税源の充実を図っていく必要があり、その際には、税源移譲額に相当する国庫補助負担金や地方交付税の額を減額するなどにより、歳入中立を原則とすべきである。」つまり、税源移譲額はと国庫補助負担金および地方交付税の減額によって賄う。後の「三位一体改革」論につながる論点が提示されている。

「税財源の分権化は財政構造改革に不可欠」
 その他に、今後の議論で重要な論点となると思われる議論に、「受益と負担の関係の明確化」という観点がある。この「受益と負担論」は、公共経済学におけるティブー仮説「足による投票」(voting with one's feet)の議論ともつながる問題である。それは政府を住民が選択しうる、そういう社会の構想でもある。このような「足による投票」仮説は、純粋な理論仮説であるが、それが持っている理想としての民主主義の観点は重要である。ただ、理論仮説をそのまま現実に適用することはできないことはいうまでもない。

 同時に、政府から言うと、受益と負担の明確化は「説明責任を果たす」という議論ともなる。これらの議論は、いずれにしても、これからの政府のあり方を考える場合、きちんと応答すべき議論である。その点を「基本的視点」の「3 地方税源の充実と財政構造改革」では、次のように指摘している。

 「今回委員会で検討の対象とした地方税源の確保方策の基本的目的は、地方の収入を増やすことではなく、収入の質の転換を図ることにある。収入の質の転換を図ることにより、住民に身近なところで歳出チェックがより厳しくなることもあって、国・地方を通じての歳出抑制効果が働き、国民全体の負担もむしろ軽減されることになる。したがって、税財源の地方分権は、国・地方を通ずる行財政全体の構造改革にとっても重要な要素であり、むしろ不可欠の手段だといえる。」

 つまり、税財源の分権化は、税の使途についての「市民的統制」をより大きな範囲で可能にし、国と地方を通じた歳出抑制を進めることが出来る。その意味でも、税財源の分権化は、財政構造改革にとって不可欠な要素だということが強調されている。

 以上の分権改革に伴う財政改革を税源移譲を中心とし、国庫補助負担金の廃止を入り口としながら、地方交付税改革を議論する考え方は、三位一体改革という形で、変形されながら、経済財政諮問会議の議論を構成することとなっている。

3、経済財政諮問会議の機能
  経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太方針第2弾)

 経済財政諮問会議の答申のうち、2002年6月の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」を中心に見ておこう。このいわゆる「骨太方針第2弾」は、01年6月の「第1弾」と、02年1月25日の閣議決定、「構造改革と経済財政の中期展望」(以下、「改革と展望と略す」が、従来の政府経済計画に相当する。)を継承してまとめられたもので、対象期間は02年度から06年度の5年間となっている。

 なお、「改革と展望」では、財政収支のプライマリーバランス(国債費を除く歳出を租税収入で賄える状況を指す)の達成は、2010年代の初頭と想定されている。しかし、この想定は、「国債発行30兆円枠」を前提とし、不良債権処理の加速化以前の想定であるため、その後修正が加えられ、数年間先に伸びている。

 本答申おいては、まず第一部の「3、経済社会の活性化に向けて」において、4つの柱をたてている。第一は、経済の活性化戦略について、第二に税制改革、第三に歳出構造の改革、第四は、当面の経済財政運営の考え方と平成15年度予算、の4つである。

 このうち、3番目の歳出構造の改革については、次のように述べられている。

 「第3に、歳出構造の改革である。歳出構造の改革は、経済の活性化や大幅な財政赤字への対応において必要不可欠である。具体的には、1)公共投資の配分の重点化・効率化の観点からの社会資本整備の見直し、2)「生涯現役社会」や「男女共同参画社会」など社会の変化に対応した社会保障制度への変革、世代間・世代内の公平、給付と負担のバランス等の課題を踏まえた持続可能な制度の構築、3)国関与の縮減と地方の責任と権限の拡大等の観点から地方行財政改革を強力かつ一体的に実施すること、4)食料産業の全体を視野に入れた改革、民間委託・PFI等を通じた公的部門の生産性向上・効率化、「官から民へ」の促進、等である。」

 この「地方に出来ることは地方に」という考えかたのもとで、「地方の責任と権限も拡大」するという基本方針は合意されていると言える。

 その後、さらに具体的には、「第4部 歳出の主要分野における構造改革」において「3、国と地方」が置かれている。このポイントを示すと概略以下のとおりである。

 第一に、福祉・教育・社会資本なども含めた国庫補助負担事業の廃止・縮減について、内閣総理大臣の主導の下、各大臣が責任をもって検討し、年内を目途に結論を出す。(この点については義務教育教職員国庫負担制度の見直し=廃止が中心であったが、極めて不十分なものに終わり、その他についてもあまり進展が見えない、そういった点で三位一体改革の前途は厳しいことが予想される。)

 第二に、この国庫補助負担事業の廃止・縮減の検討を踏まえ、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討し、それらの望ましい姿とそこに至る具体的な改革案を、今後一年以内(03年6月までということ)を目途にとりまとめる。

 第三に、国庫補助負担金について、「改革と展望」の期間中に(つまり06年度までに)数兆円規模の削減を目指す。

 第四に、地方交付税の改革を行う。9割以上の自治体が交付団体になっている現状を大胆に是正する。このため、交付税の財源保障機能全般について見直し、「改革と展望」の期間中に縮小していく。他方、地方公共団体の間の財政力格差を是正することはなお必要であり、それをどの程度、また、どのように行うかについて議論を進め、上記改革案に盛り込む。

 第五に、廃止する国庫負担の対象事業で、引き続き地方が主体となって実施する必要があるものについては、移譲の所要額を精査の上、地方の自主財源として移譲する(ということは地方税としてと考えられるが、その他の選択肢もありうるのか)。

 第六に、14兆円にのぼる財源不足額は、歳出削減や地方税の充実などの様々な努力でできるだけ早期にこれを解消する。その後は、交付税による財源保障への依存体質から脱却する。

 そして、改革の受け皿となる自治体の行財政基盤の強化が不可欠だとして、市町村合併と地方制度調査会、地方分権推進会議の議論を待って都道府県を含む自治制度改革に言及している。

 以上の経済財政諮問会議の「骨太方針第2弾」などにおける、地方財政改革の論点は、国庫補助負担金の廃止・縮小を出発点に、地方交付税、地方税への税源移譲とを合わせて検討するいわゆる「三位一体改革」を推進するという構図となっている。しかし、現実の制度改正が「地方財政の自主性と・自立性」の確立と、「地方財源確保」の実現とを共に現実のものとすることができるか否かは全く予断を許さない。

 最悪のシナリオでは、地方への仕事と責任の転嫁だけが残るということもありうる。また次善の改革として、不十分な地方税移譲、不十分な国庫負担金制度の改革、不十分な財源補填、という改革に終わることも予想される。残念ながら、この次善の策が、もっとも可能性が高い。よりよい改革にするための適切な批判と、説得力ある提案が求められているのである。

片山プラン等の総務省の改革構想
 総務省の一連の改革プランは、総務省が地方交付税制度法の所管省としての制度改革が可能であり、また地方債制度の運用の主体でもあるから、既に改革に着手している点もあり、もっとも現実的な改革内容となっている。この総務省プランが、先の経済財政諮問会議の結論によってどの程度左右されるか、および、各省庁の動きをどう抑制できる議論が出来るか、それを見極めることが、自治体の担当者の任務のひとつである。

 既に01年の「骨太方針」のときに、多くの論点が出されているが、「骨太方針第2弾」では1年余りの間により具体的になり、それとともに焦点としても絞られてきている。特に、02年11月20日付けで、財政経済諮問会議に提出された「三位一体の改革について」という文書が、03年度予算に、直接反映するように仕組まれていた点で重要である。

 (1)まず、三位一体改革の入り口としての国庫補助負担金の廃止・縮減について、「改革と展望」の期間中に数兆円規模の廃止・縮減を行うこと。そのために、地方分権改革推進会議の議論を踏まえ、見直しの具体的基準や数値目標を設定する。特に、次のような国庫補助負担金については、速やかに一般財源化し、可能なものは来年度から実施するとした。
 1)職員設置費、2)法令施行事務費、3)施設の運営費・設備整備費、4)住民に身近な生活基盤の整備に係わるもの、5)公共施設の維持補修や局部的改良等。
この国庫補助負担金の廃止・縮小の最大のターゲットは、1)の職員設置費にかかる義務教育教職員給与費国庫負担金であった。これが、文教族などの抵抗にあって3兆円規模から5000億円に、最終的は03年度予算では2000億円に絞られてきたことは、前途多難を思わせる。

 (2)地方交付税の改革では、「地方財政計画の歳出の抑制」が最も大きい意味を持っている。この「地方財政計画の歳出の抑制」は、03年度も13兆4500億円に上る「地方財源の通常収支不足」を、圧縮するためには不可欠な作業である。
 その「地方財政計画の歳出の抑制」の第一は、地方が自主的にコントロールできる地方単独事業に係る歳出の抑制、である。これには三つある。ひとつは、地方財政計画上の職員数を06年度までの期間に4万人以上縮減するという。ふたつは、投資的経費においても単独事業を4年間で3兆円程度、毎年平均5%ずつ削減する。三つめは、一般行政経費については現在の水準を上回らないように抑制する。

 (3)交付税の仕組みの見直しでは、留保財源率の引き上げが行われ、03年度から都道府県について5%引き上げる。

 (4)法令の基準等による国の関与を縮減し、交付税の算定を通じた個々の事務事業に対する財源保障機能を縮小する。

 そして既に指摘された、1.事業費補正の縮減 2.段階補正の見直しが行われている。

地方交付税の財源保障機能見直し(縮小)に踏み切った総務省――閣議決定へ
 この11月20日の「三位一体の改革」と、02年8月28日の「総務省 制度・政策改革ビジョン(片山ビジョン)」とを比較して気が付く変化は、ふたつある。いずれも地方交付税の財源保障についてのものである。ひとつは、「交付税の総額の見直し」という形で、交付税総額の確保という財源保障機能を縮小する方向で直すこと、そして交付税への依存からの脱却が述べられている点である。

「III 地方交付税の改革 三位一体改革の中で、次のとおり地方交付税が担う財源保障の役割を見直し。

1) 交付税総額の見直し
 交付税総額については、三位一体改革の中で、税源移譲に伴う増収と国庫補助負担金の廃止・縮減に伴う減収に対応して見直し。
2)交付税依存からの脱却
 税源移譲等による地方税の拡充により、交付税に依存しない団体の割合を高める。交付税に依存しない団愛の割合をどの程度高めることができるかは、税源移譲による地方税の増額規模が決定的な要素。」

もうひとつは、「交付税算定を通じた個々の事務事業に対する財源保障を縮小する」ことを明言したことである。すなわち、地方交付税のふたつの財源保障機能、総額としての財源保障、および個別事務事業の財源保障について、共に縮小の方向が打ち出された。

 ところで「地方交付税の財源保障機能の抑制」という方針は、03年度の予算政府案決定時の閣議決定、02年12月24日付け「国土と地方に係る経済財政運営と構造改革に関する基本方針」では、もう少し直接的表現がとられている。

「三位一体改革の中で、国庫補助負担金の大幅な削減、税源移譲を含む税源配分の見通しと同時に、地方交付税の改革を行う。9割以上の地方公共団体が交付団体となっている現状を大胆に是正し、交付税に依存しない団体の割合を高めていく必要がある。
このため、地方交付税が担う財源保障機能全般について見直し、『改革と展望』期間中に縮小していく。他方、地方公共団体間の財政力格差を税政することはなお必要であり、それをどの程度、またどのように行うかについて引き続き議論を進める。」

さらに、地方財政計画の歳出見直しによって、地方交付税の総額を抑制するとしている。

「国の歳出の徹底的な見直しと歩調を合わせつつ、地方財政計画の歳出を徹底的に見直すとともに、『改革都展望』の期間中、地方財政計画の歳出の計画的的抑制を図ることとにより、計画規模の抑制を通じて交付税総額の抑制に努める。」

おわりに
 財政経済諮問会議という装置を通した、旧自治省と旧大蔵省の対抗関係、それと各省庁との関係、さらに有識者との議論との関係の中で、お互いに妥協しながら今回の予算編成が行われたわけである、その結果、これからの政府の地方財政に対する姿勢がそれなりに明らかになったといえる。

 第一には、国庫補助負担金の廃止、縮減は政策検討のまな板にのったが、各省庁の族議員や業界団体、あるいは全国知事会などの批判を受けて難航する。

 第二は、地方財政計画の見直し、すなわち規模縮小に政府内での合意が成立した。そこから地財計画上の職員定数の削減と、国庫負担事業の見直しが進められている。また、地方単独の建設事業の削減の方向も確定している。問題は、どこまでこれらが縮小されるか、という点であるが、それはまだ不明確であり、なお厳しい議論が続く。

 第三は、地方交付税の財源保障機能の縮小がほぼ合意されている。総額の財源保障も、個別事業ごとの財源保障機能も、ともに縮小することが予想される。

 第四には、国庫補助負担金の廃止、縮減の方向が確定した。しかし、実際にどの事業がどの程度影響を受けるか、これも不確定である。

 第五に、「税源移譲」という言葉が、諮問会議でも閣議決定でも定着した。しかし、実際には抵抗が強く、なかなかストレートには実現しない可能性がある。

 このような地方財政構造改革は、国庫補助負担金の廃止・縮小、税源移譲、地方交付税の縮減という三つの局面で進行するであろう。これは、03年9月の小泉首相の自民党総裁として任期切れのあとにどのような政権が登場しても、少なくも今後中期的に(5年間)継続すると考えるべきである。これに、課税自主権の拡大と、起債の自由化が加わるものと考えたい。いずれにしても、地方自治体の財政運営に自己責任を求め、リスクをとることを求める傾向は、政府の政策としても、市民的な要求としても強くなるものと考えるのが妥当である。全体としての制度的な地方財源保障機能は縮小する。その縮小が、どのレベルに収束するかは、先に見た数値目標がひとつの基準となるだろうが、国側の地方に対する仕事の義務付けの撤廃が、どこまで進むか、単独事業の抑制がどこまで進むかという、歳出面でのコントロールの程度によるであろう。

 そして、税源移譲が借金ではないかたちで現実化するとすれば、それにともなう財政責任が重くなるという観点からも、十分な説明責任をたせるよう、予算と決算の公開、分かりやすい財政情報の作成と公開を進めることが必要である。

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