TOPPAGE地方財政対策と地方財政計画>2002年度地方財政対策の特徴と問題点

2002年度地方財政対策の特徴と問題点
 国債30兆円の枠と特例地方債のもとで転換する地方交付税

奈良女子大学 澤井勝

1、02年度地方財政対策の置かれた条件
(1)新規国債の発行枠30兆円 財政構造改革第二ラウンド

 国の債務666兆円
 公共事業の抑制
その系としての、地方交付税制度に対する批判への応答
(2)デフレが深まる日本経済
産業空洞化と失業率5%台の時代
景気の山は00年10月、99年一月を谷とする21ヶ月の最短命景気
殖産住宅、ダイエー、と不良債権との格闘と人員整理などリストラの拡大は続く
(3)新しい需要への対応と財政構造改革
少子高齢化、IT革命、狂牛病など環境対策
(4)地方分権改革の財政的基盤の構築
地方への財源付与と地方交付税などの見直し
自主課税権の利用と税源移譲、外形標準課税など
(5)底流としての市場原理の徹底化とグローバリゼイション
とそれに対抗するセイフティネット論との相互浸透
(6)01年度中の地方税収の落ち込み
大阪府の法人住民税と法人事業税が当初予算に比較して200〜300億円不足
新年度は、行財政計画案(01年9月)の水準より700億円程度下回る見通し
(7)市町村合併は新たな段階を向かえて1000市町村という政府の目標も視界に?

2、通常収支の地方財源不足は前年度を上まわる10兆6700億円 その補填策
(1)財源対策債       1兆9200億円
(2)一般会計からの法定加算   3000億円
(3)交付税特会借り入れ   2兆 900億円

01年度の予定では、この特会借り入れは全廃のところ、財源不足の上記補填後の4分の1にあたるこの額は市中借り入れを残すこととされた。
(4)一般会計加算(昨年ルール、3年間) 3兆1300億円
(5)臨時財政対策債(赤字地方債・昨年ルール、3年間) 3兆2300億円
このうち900億円強は、01年度補正予算での特会借り入れの償還財源

3、恒久的減税による地方財源減収は3兆4500億円 その補填措置
(1)地方税の減収1兆9400億円

  • 国のたばこ税の一部地方移譲  1300億円
  • 法人税の交付税率上げ     4200億円
  • 地方特例交付金        9000億円
  • 減税補填債          4900億円
(2)交付税の減収1兆5100億円
  • 交付税特会借り入れ(償還は国と地方折半)

4、現行制度で初めて前年度比マイナスの地方財政計画
(1)地方財政計画規模は、87兆5700億円(1.9%マイナス)
(2)地方一般歳出(公債費除く)は、3.3%減の71兆1300億円
(3)出口ベースの地方交付税は、4.0%減の19兆5400億円

これは、2年連続でのマイナスである。

5、マイナスの投資的経費と地方交付税制度の転換
(1)単独事業は10.0%マイナスの15兆7500億円

計画と決算の乖離、公共事業費10%カット
(2)地域総合整備事業債は廃止 大きな政策的な転換点である
(3)事業費補正における元利償還金の参入割合の圧縮
(4)起債充当率の引き下げ
(5)自己責任原則の浸透?
(6)段階補正の縮減 02年度から04年度の3ヵ年で
最終的には2000億円程度
4000人の町村で5500万円
対象は5万人未満の市町村、交付税総額は維持
(7)留保財源率(市町村25%、府県20%)の引き下げは、再来年度以降に

6、地方単独の一般行政経費は、福祉、教育などの伸びもあって0.3%減の11兆2200億円

7、普通会計の地方債総額は12兆6500億円(6.2%増)、地方債依存度は14.4%と前年より1.1%上昇。
一般財源比率は63.2%と1.1%ポイント低下する。

8、02年度末の長期債務残高は194兆円程度。

  • 交付税特会は、46兆1000億円(地方負担分30兆3000億円)
  • 地方債残高は、約148兆円。

9、国の一般会計
(1)1.7%減の81兆2300億円(2年連続減)
(2)一般歳出は2.3%減の47兆5473億円、過去最大の減額幅
(3)税収は46兆8160億円、7.7%マイナス。01年度補正後49兆5980億円を2兆8千億円下まわる
(4)国債は5.9%増で30兆円、国債依存度は34.7%(二次補正後)から36.9%に上奏した。
(5)02年度末の国債残高は414億円、地方と合わせて長期債務残高は693兆円

10、ペイオフ解禁をめぐって

  • 地方債など公社債への資金シフトが生じている
  • 一部都銀や郵貯への資金シフトも
  • 金融危機の懸念の中で、日銀の役割は大きい

11、財政健全化、緊縮財政における課題
(1)歳出構造の転換

  • 公共事業、建設事業の見直し 時のアセスメント
真に必要な建設事業を選択する
  • 経常経費の圧縮
人件費の取り扱い
施設維持管理費
(2)政策評価システムと予算編成の連動
(3)まちづくり、まち育て戦略の明確化
(4)中期財政計画の策定とそのローリング

12、税制改革論議について

  • 政府税調への諮問
  1. 所得税の見直し  課税最低限の引き下げ
               中間所得層の税率フラット化
  2. 法人税      赤字法人課税
               課税特例の見直し
  3. 消費税の改革
  4. 相続税、贈与税の見直し
  5. 地方財源の強化

13、大失業時代への自治体政策
(1)まず調査ありき  例、連合京都のハローワーク出口調査から

場所:福知山、中京、伏見  有効回答 700票
特徴的には、職業訓練についての理解不足があるが、これは求職者のニーズに合っていない訓練内容と、積極的な需要開拓をしているかという問題がある。
(2)隣保館での「日刊求人情報」(ハローワーク連携)
(3)本格的なワークシェアリングに向けて 京都府園部町 鳥取県など
(4)分権改革と雇用労働行政    雇用対策法の意味

14、福祉国家?から福祉社会へ
(1)効率性と公平性、公正性の間 トレードオフ関係の均衡点
(2)自立することと依存すること
(3)国民負担率引きあげ、とその水準についての国民的合意の形成過程
(4)アソシエイションとコミュニティ
(5)国際社会での地位を考える

15、地方交付税の見直しの論理

16、市町村合併の財政問題
(1)合併の理屈はみっつに絞られる

1)マクロな財政効率化
2)広域行政と分権の人的な受け皿、地方自治体の専門性の強化
3)あまり言及されないが、「自由への道」
(2)合併算定替の期間を10年に延長
(3)合併債
(4)各省庁の「合併支援策」 旧来の公共事業の豊富なメニュー
(5)新市町村建設計画と新しいまちづくり

17、新しいコミュティ・ボンドの時代か?

群馬県がこの4月から個人投資家向けの公募県債
公募債の発行額は10億円。今回は県立病院の事業債。5年の満期一括償還で
5万円単位。国債レートを上回る利率は確保したい、という。
そして、「エコマネー」、「地域通貨」という可能性

18、おわりに

  • なんのための仕事か
  • 行政のあり方を、市民と利用者の観点から
なお、ホーページ「地方財政情報館」http://www5d.biglobe.ne.jp/~m-sawai/ を参照されたい。
Copyright© 2001-2005 Masaru Sawai All Rights Reserved..