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2004年度地方財政対策の特徴と課題
     一般財源の圧縮の下で新しい公共空間の創造を

(初出:『自治総研』04年02月号)


目次
1,はじめに

三位一体改革の初年度に向けて/全国知事会、全国市長会などの補助金廃止論/地方財政計画の規模の縮小/いわゆる「モラルハザード論」と「地方分権の趣旨」/中期的・長期的デフレ基調は変わらない/年金改革との連動、社会保障財源との関係/市町村合併の進行と新しい自治制度、国家構造の展望/人口減少社会は05年から

2,2004年度地方財政対策と地方財政の姿
3,2004年度国の一般会計予算について
4,2004年度地方財政対策の概要
5,国庫補助負担金の改革と税源移譲
6,地方税制度の改革
7,地方交付税制度の改正
8,歳出の見通し
9,地域再生の課題

交付税制度を考える複数の原理/税源委譲のデザイン/歳出抑制と構造改革 補助金の基本的廃止に向けて/これからの7年間/新しい公共空間の創造すなわち自治体ガバナンスの時代/地域への人的、資金的、物的そして情報の投資


1、はじめに

 2003年の12月18日、総務省と財務省は04年度の地方財政対策について合意した。今回の地方財政対策をめぐる動きは、基本的には「三位一体の改革」に規定されたと言ってよかろう。この結果、地方財政計画の規模は2年連続して縮小し、地方交付税は6.5%の減、臨時財政対策債も28.6%のマイナスとなった。各自治体は、この1月末からの首長の査定において、この(おそらく)予想以上の一般財源または一般財源に相当する収入の落ち込みをどう予算に組み込むか、大童となった。長野県のように、対応が遅れて主要基金の全額取り崩しと寒冷地手当の削減という非常手段に追い込まれたところも少なくない。

 そういった点では、一般財源の圧縮が本格化し、歳出の圧縮とその構造転換に否応なく踏み出すことを強く促す地方財政対策だということができる。一方で、国庫補助負担金の削減とそれを基幹税の税源移譲でカバーする道筋は、地方側の機敏な反応もあって、大きな不満はあるもののそれなりの形となったといえようか。

 この地財対策を条件付ける諸要因は以下の通りである。

(1)三位一体改革の初年度に向けて。
 03年6月の閣議決定である、平成16年度から18年度の3年間で4兆円の国庫補助負担金の廃止・削減を実現し、それとともに、補助金廃止後も地方に残る事務事業の財源については、基幹税を地方に移譲することによってほぼ全額をカバーすること、という決定が第二次分権改革の初年度としてどこまで実現するか。これが最大の焦点であった。この点はまず、初年度として「国庫補助金の1兆円廃止」が方針として固まった11月中旬がひとつの山場であった。
 結果としては、文部科学省や厚生労働省などの補助金1兆円強が廃止された。そのうち移譲すべき財源とされたものは、平成18年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲で行うことが決まった。それまでの暫定措置として、平成16年度税制改正において「所得譲与税」を創設すること、および、義務教育国庫負担金のうち退職手当・児童手当については、「税源移譲予定交付金」(仮称)を設けて暫定的に措置することとなった。
 このことの評価は種々あるが、理念通りに明確なかたちにならなかったにしても、「税源移譲」を曲がりなりにも実現したことは評価するべきである。問題は、この税源移譲という大改革を、少なくも経済財政諮問会議が約束した4兆円全額の国庫補助金廃止とともに、さらに着実なものとすることである。その後の展望としては、後述する知事会等の提言にある、廃止補助金を8兆円あるいは10兆円に拡大することが次の課題だ。

(2)全国知事会,全国市長会などの補助金廃止論。
 一方で、地方6団体レベルでの三位一体改革に関する提言が積極的に行われたのが今回の特徴である。この動きについては、拙稿『補助金廃止提言と自治体の自立』(『月刊自治研』04年1月号)においてやや詳細に紹介しているので、そちらを参照していただきたい。
 重要なことは、全国市長会の提案では101件、5兆8552億円の国庫補助負担金が、全国知事会の提案では8兆9357億円、政令指定都市市長会の提言では96件、8.0兆円の国庫補助負担金が「廃止すべきもの」として挙げられていることである。すなわち地方自治体側が、所管省庁への遠慮を超えて具体的な国庫補助負担金について、廃止案をまとめたことに重要な時代の変化を読み取ることができる。この主張は、今回の三位一体改革が平成18年までの3年間に4兆円の削減を掲げた、その境界を越えて、その先の「補助金のない行政」という世界を展望しているとも言える。
 もちろん、補助金が全てなくなるということは考えにくく、国の政治的、行政的責任を全うすべき事業に伴う負担金や、先端的なモデル事業などについては、むしろ積極的に残すということも考えられる。したがって、なお補助金をめぐる議論は続けなければならない。
 しかし、個々の事務事業においては、自治体の裁量権(市民や当事者との協議を前提とする)を拡大し、あるいは完全な自治事務化を達成することが求められることも事実である。その際の「政策の優先順位」(プライオリティー)の決め方が決定的に重要になることを改めて確認しておきたい。

(3)地方財政計画の規模縮小。
 このことは、一昨年、02年の12月の経済財政諮問会議で妥協が成立している。すなわち、この時点で総務省はそれまでの「交付税総額の確保」の旗を降ろしている。それが、来年度本格的になるという点である。

(4)いわゆる「モラルハザード」論と「地方分権の趣旨」。この「モラルハザード論」は、「分権改革の趣旨である」「受益と負担の関係の明確化」に反するものとして、交付税制度に対する批判の主な論点となっている。しかし、このような「分権改革」の理解は一面的である。むしろ、「受益と負担の関係を明確化する理念」と「ハンディキャップ地域の社会連帯による自律」というふたつの原理があると考えるべきである。(このことについては、後に再度検討している。)

(5)経済は回復基調にある。
 このために、法人関係税はいくぶん増収が見込まれている。しかしその特質としては、第一に企業収益の改善はリストラによるコスト圧縮であって、いわゆる「ジョブレス・リカバリー」の様相が濃い。雇用回復のない景気の持ち直しである。この「ジョブレス・リカバリー」は、三つの面、すなわち、ひとつは経済のグローバリゼーション、もうひとつはさらなる技術革新、そしてもうひとつは終身雇用制度と年功賃金制度の解体とパート労働への置き換えが進んでいること、これらの要因によって生じている可能性が高い。そうだとすると、わが国経済の構造的な変化に伴うものであるから、この状態は産業別に異なるとはいえ、一定の平衡状態になるまで続くことが考えられる。

(6)中期的・長期的デフレ基調はかわらない。
 昨年の消費者物価指数は、引き続き下落している。もっとも下落幅は小さくなっているが。このようなグローバルで構造的な「一般物価下落」とともに、「資産デフレ」とくに地価の下落がなお進行している。これに、民間給与が先導するかたちで「賃金デフレ」が続く。

(7)年金改革との連動、社会保障財源との関係。
 今年中に一定の結論を見出すべき課題として、年金制度の見直しがある。その有力財源として、消費税がターゲットとされている。このために、「基幹税による国から地方への税源移譲」の議論には、かなり厳しい枠がはめられている。

(8)市町村合併の進行と新しい自治制度、国家構造の展望。
 昨年11月の第27次地方制度調査会答申は一般制度としての地域自治組織を提起した。また都道府県合併の具体的な手続きの法定化を提案している。新しく設けられる第28次地方制度調査会では道州制の検討を始める。すでに、構造改革特区では、北海道をモデル事業として州制度が姿を現そうとしている。市町村合併はさらに進んでいる。04年12月段階の法定合併協議会の設置状況から機械的に推計すると、市町村数は06年度ごろまでに1800市町村を切って、1700台にまで統合される可能性も出てきている。
 その中で、小学校区などからの地域の再構成、地域社会の再創造が求められている。「地域福祉計画」もそうだが、地域社会をコミュニティとアソシエーションの複合体として再構成することが、拡大した新自治体あるいは既存の都市の再生につながる。

(9)日本の人口は2005年の1億2745万人がピークで、予想より5年ほど早く人口減少社会に移行する見込みである。人口問題研究所が03年末に発表した人口推計による。人口減少社会の衝撃は、既に広く過疎地で経験されてきた。ただし、国というレベルでの人口減少がいかなる影響をわが国の経済と社会に与えるかはまだ未踏の領域に近い。いえることは経済成長は、国内的な需要の面からは、マイナス成長が常態化する可能性があるということである。

2、04年度地方財政対策と地方財政の姿

(1)地方財政計画規模の縮小  04年度の地方財政計画の規模は84兆6700億円程度となり、03年度の86兆2100億円から1兆6000億円程度の減となった。これは対前年比1.8%程度のマイナスである。この地方財政計画の規模縮小は02年度から3年度連続である。ピーク時の01年度は89兆3100億円あったから、5.2%の減少幅となる。

(2)地方一般歳出の縮減  68兆1000億円程度となり、対前年度比2.3%程度のマイナスとなった。経常経費の地方単独事業も0.3%減である。経常経費系統の補助事業のうち地方単独事業に振り替るものが6200億円程度ある。この6000億円は「所得譲与税」による税源移譲の対象とされている。

(3)地方単独事業(建設) 04年度は13兆4700億円程度とされ、03年度の14兆8800億円から9.5%程度の減少となった。

(4)地方債依存度  16.7%程度(前年度17.5%)となり、地方財政計画の規模縮小、地方単独事業(投資)の圧縮、地方財源不足の削減などによって、依存率は0.8%程度小さくなっている。

(5)地方交付税の減  出口ベースは16兆8900億円程度となり、03年度当初の18兆693億円に比較して1兆1793億円、6・5%程度減少した。地方交付税総額の減は4年連続となり、ピーク時である00年度の21兆4107億円から4兆5207億円、21.1%の大幅なダウンとなった。

(6)臨時財政対策債は4兆1905億円である。01年度に設けられ、当面3年度間の措置とされた臨時財政対策債は、03年度の5兆8696億円に比較して1兆6791億円、28.6%の減となった。これは地方財源不足の圧縮に伴うものと考えてよい。

 今回の地方財政対策の最大の特徴は、地方交付税(出口ベース)と臨時財政対策債を合わせた一般財源(みなし)の削減額が、2兆8584億円に達したことである。これは両者合わせた03年度の額、23兆9389億円の11.91%、すなわち約12%の減となっていることである。なお、この臨時財政対策債は04年度以降も向こう3年度間、引き続き活用されることとなっている。
 この点については、以下のようなコメントを紹介しておきたい。

地域力をつける投資へ
 今年の予算編成では、昨年末から年頭にかけて多くの自治体が予算の組み替えを余儀なくされた。言うまでもなく、三位一体改革の進行によって、06年度の地方財政計画の規模が3年連続で縮小したことが大きい。具体的には、地方交付税・譲与税特別会計の出口べースの交付税が16兆8900億円と6.5%も縮小したこと、それに加えて、臨時財政対策債も4兆1905億円と前年比で28.6%、1兆6791億円も減少したことが響いた。
 この交付税と臨時財政対策債の減少幅は前の年に比較して12%あまりになるという。この一般財源相当額のこれほどの前年割れは、今までにない衝撃となった。長野県のように主要な基金をほとんど取り崩したところもある。また、平良市では、歳出が歳入を上回る赤字予算を組んだ(3日、日経夕刊)。多くの他の自治体でも、予想を超える一般財源の規模縮小への対応に追われ、歳出の一段のカットと、基金の予定以上の取り崩しや借り入れ、さらに追加的な借入金を充当するような「カラ財源」に近い財源手当に走ったところもあるのではないかと危惧される。
 三位一体改革は、国庫補助金の廃止、税源移譲、地方交付税の総額の縮小、という改革を同時に進めるわけだが、少なくも08年度まで2年間は続く。われわれとしては、分権改革の財政基盤として補助金の廃止と税源移譲によって「歳入の自治」の確立を求め、さらに全国知事会などで検討が始まっている交付税改革の議論など、6月の経済財政諮問会議や政府税制調査会の論議を見ながら、国と地方の財政関係を組み立て直す努力が求められている。このような、マクロな議論を進める一方、この春から自治体現場では次のような改革も求められているのではなかろうか。
 第一には、既にある自治体ごとの「財政構造改革」、「財政健全化計画」、「財政改革推進プログラム」などの「財政計画」における一般財源の前提条件が変わったことを踏まえて、5カ年ないし、7カ年の「修正計画」を策定し、歳出構造転換の考え方をより明確に示す必要がある。「一律カット」による歳出削減には限界がある。どの分野のどの政策を伸ばすか、ビルドの方向を示すことが求められる。一律カットの歳出削減では、全体の施策が劣化するだけで、資金と人材の無駄が拡大する可能性が高い。
 その際に、予算改革として、各部局の責任を明確にし、各部局ごとに施策の優先順位をつけることを通じて歳出構造の転換を図ることを追求したい。さらに単年度予算の枠を超えて、予算の繰り越し等を行うところは、理由が明確であれば、その相当額を再配分する方式を含めて実現したい。
 第二には、そうして生まれた各部局の「余剰資源(財源と人材)」を、「地域への投資」に振り向けたい。中長期的には、行政部門が担える「公共サービス」分野は限られてくる。つまり、「公共サービス」を行政部門と、市民セクター、それに事業者が分担し協力しながら担う、そういう「新しい公共空間」を創造していくことが必須の課題だという点である。建前としては既に総合計画などに謳われている「パートナーシップ」を、現実のもとして確立しなければ、地域社会の荒廃を防ぐことはできない。本当に地域の住民の力がついたところは、小さい財政力を何倍にも生かすことができる。
 地域の力、すなわち住民の自己統治能力はすぐにはつかない。地域の力をつけるためには、それ相応の投資が必要だ。
 まず、地域に人を配置するという、人的な投資が必要である。例えば「地域自治組織」として想定される地域に、地域担当職員、ソーシャルワーカーを置きたい。事業費とともに、人件費を使うのである。さらに、拠点をつくりたい。既存の学校施設や農協の支所の跡地であってもよい。そして、資金的な投資である。これは住民の出資も含めてだが、活動資金や拠点施設建設の予算化であってもよい。
 いずれにしても、「人、拠点、資金」を地域に投入し、共に公共サービスを担う「地域住民の力」を7カ年ほどで形成できるかどうかが自治体のこれからを左右するはずである。そのために、前出の「財政改革の推進プラン」などが組み直されるように希望したい。

(『コラム自治』自治日報04年2月13日)

3、04年度国の一般会計予算案について

(1)国の一般会計の財政規模は対前年度0.4%増の、82兆1109億円。

(2)税収入は41兆7470億円と0.1%増の見込みだが、歳入に対してはかろうじて50.8%となり、歳入予算の半額にしかならない。

(3)新規国債発行額は36兆5900億円で、そのうち赤字国債は30兆900億円。

(4)既発行の元利償還費である国債費は17兆5685億円で4.6%の増加であり、歳入構成比は21.4%となった。歳入予算の5分の1以上は既発行債の元利償還に充当されることになる。

(5)一般歳出は0.1%増加で、よこばいとなっている。

(6)公共事業費は3.3%減である。

(7)地方向けの国庫補助金を1兆300億円削減したが、社会保障関係費が伸びて総額20兆4100億円と今年度より400億円増える結果になっている。

(8)国と地方を合わせた、04年度末の国と地方の政府債務は719兆円に。GDP比は143.6%となる。国債残高は普通国債483兆円を含み548兆円。地方の借入金残高は204兆円(前年度199兆円)程度。

(9)国の主要な経済指標のうち、04年度のGDPの見通しは500.6兆円程度で、03年度の見込み497.9兆円に比較して名目で0.5%、実質では1.8%の伸びを見込んでいる。

4、2004年度地方財政対策の概要

(1)通常収支不足と減税に伴う財源不足を合わせて04年度の地方財源不足は14.1兆円とカウントされた。この地方財源不足は03年度、17.4兆円であったから3兆3千億円ほど圧縮されていることになる。地方財政計画の規模縮減のために、財源不足額も縮小したと考えられる。いずれにしても96年度以降多額の財源不足が生じて9年連続して地方交付税法第6条の3第2項の規定に該当することになった。

(2)このうち通常収支不足は12兆2530億円と算定された。この財源対策としては、まず平成16年度に償還すべきものとされていた地方交付税特別会計借入金2兆807億円(うち国負担分1兆938億円、地方負担分9869億円)については、これを繰り延べることとされた。

(3)なお残る通常収支不足10兆172億円(03年13.4兆円)の補填については、01年度から3年間の措置としてとられた、臨時財政対策債(赤字地方債)と国一般会計負担とで半分づつ補填する方法を、04年度から06年度まで延長する。

@ まず一般公共事業債の起債充当率の引き上げ(原則90%まで)による財源対策債の発行を行う。

1兆8000億円

A 地方交付税の増額

1、一般会計からの法定加算(平成15年度以前の地方財政対策により平成16年度に加算されるべき額として地方交付税法付則で定めた額)

2942億円

2、一般会計からの臨時財政対策加算

3兆8900億円(国の折半分)

B 臨時財政対策債(赤字地方債)の発行(地方の折半分3兆8876億円に、地方が負担する臨時財政対策債の利払いに係る発行額3029億円を加えた額)

4兆1905億円

(4)恒久的減税にともなう減収影響補填 3兆3296億円の補填策。

@ 地方税の減収分1兆7991億円について。

イ、国たばこ税の一部移転で1179億円。

ロ、法人税の交付税率を35.8%に臨時に引き上げることで3575億円。

ハ、減税補填特例交付金(第1種特例交付金を改称)の交付。地方税の減収見込み額の4分の3に当たる部分1兆3493億円から、イとロの補填額を差し引いた8739億円。

ニ、減税補填債で補填。地方税の減収見込み額の4分の1に相当する4498億円については、減税補填債の発行による、としている。

A 地方交付税への影響について。 平成16年度に新たに発生する地方交付税の減収分1兆4271億円については、交付税特別会計での借入金で補填し、国と地方が折半で平成22年度以降に償還する。

(5)03年度先行減税(開発投資減税等)による減収額6479億円の補填策。

@ 地方税の減収   3521億円については減税補填債によって当面賄い、後年度の地方税の増収で償還する。

A 地方交付税の減  2958億円については交付税特会の借入金で補填し、後年度の地方交付税原資の増収によって返済する、としている。

5、国庫補助負担金の改革と税源移譲

(1)03年度と04年度の国庫負担金改革に伴い、それに必要な一般財源を「所得譲与税および「税源移譲予定特例交付金(仮称)」として「税源移譲」を行う。
 なお、この所得譲与税、税源移譲予定特例交付金、減税補填特例交付金および恒久的な減税に伴なう減税補填債相当額、先行減税に伴なう減税補填債相当額については、その75%を交付税計算に用いる基準財政収入額に算入することされている。通常の地方譲与税は基準財政収入額には100%算入である。

@ 所得譲与税

イ、04年度分として公立保育所運営費補助金1661億円、介護保険事務費交付金305億円、経費老人ホーム事務費交付金167億円、在宅福祉事業補助金(うち生きがい活動支援通所事業)50億円、土地利用規制等対策費交付金20億円、教員研修事業費等補助金39億円など、その対象事業が引き続き地方自治体が主体となって実施するべき国庫補助負担金(計2440億円)については、06年度から一般財源化し、交付税計算のための基準財政需要額に全額を算入する。またこのうち、配偶者特別控除の上乗せ分の廃止にともなう増収分を充てることとされた児童手当の事務取り扱い交付金(87億)を除いた額のうち、税源移譲すべき額として整理された2198億円については「所得譲与税」として「税源移譲」することとされた。なお、この所得譲与税は地方税であって、総務省自治税務局の所管とされている。

ロ、平成15(03)年度に「三位一体改革の芽だし」として行われた国庫負担金の一般財源化(要するに補助金の廃止)にともなう自治体の一般財源増加額2334億円についても、基準財政需要額に算入するとともに、国負担分とされた2051億円を所得譲与税として「税源移譲」する。

このイとロの合計が、新設される「所得譲与税」となり、4249億円となる。各自治体への配分は、単純な人口割りとする。都道府県と市町村の分割基準は、1対1とする。

(2)義務教育費国庫負担金のうち、退職手当と児童手当に関わる部分(2309億円)の一般財源化に伴なって臨時的な一般財源移譲を行う。今後その額が増大することを考えて、税源移譲までの各年度の退職手当支給に必要な額を確保して積み立てるため「税源移譲予定交付金」(仮称)として、2309億円を交付する。なお、義務教育費国庫負担金の一般財源化について、平成18年度までに義務教育制度の在り方を検討する中で判断することとしている。
 各自治体への配分は、人口をベースに他の要因を入れ込む方式が予定されている。

(3)先送りされた生活保護費国庫負担金の負担率引き下げ。
 今回の三位一体改革の中心は、補助金1兆円削減であったが、当初、厚生労働省が提示したのは生活保護費の国庫負担率の引き下げという最悪のパターンであった。全国知事会などの強い反発もあって、最終的には今回は見送りという結果にはなった。厚生労働省の当初案では国庫負担は減り、府県や都市の財政負担は増える。ところが、生活保護行政は国の規制が強く、自治体が裁量権を働かせる余地は小さい。この状態では、生活保護行政は、国の下請け行政でしかない。「分権改革」に背を向ける改革提案であり、数字のつじつま合わせのために地方分権の原理をふみにじるものだという批判はまぬがれない。
 この生活保護行政の国庫負担割合の引き下げの議論は、04年末には残念ながらぶりかえすことは確実である。厚生労働省には、次に削減すべき国庫補助負担金は生活保護費以外にはめぼしいものがないからである。
 おそらく、次の秋にでも再登場する生活保護費の国庫負担割合引き下げ論は、議論の流れから見ると、生活保護後行政の「自治事務化」にかぎりなく近い形での提案とセットになる可能性が高い。自治事務化そのものではなく、国に大幅な裁量権を留保したかたちがもっともありそうな提案である。
 このような流れは、実は、生活保護行政のあり方を根本的に考えるいい機会だともいえる。つまり、生活保護を受けている人々を他の福祉サービスや雇用労働政策、住宅政策などによって総合的に支え、生活保護から自立できるように支援する仕組みに変えることができるといいのだが。ソーシャルフェアからワークフェアへの転換が望まれる。そういった、地域での総合的でネットワーク的なソーシャルワークの展開によって、生活保護受給者数それ自体を減少させることが広い意味での所得保障と生活支援事業の中心課題でなければならない。この取り組みは、最初は人件費やその他の施設費、あるいはエンパワーメントの事業費などかなりの投資を要する。しかし、中長期的に扶助費の膨張を抑えることができれば安い投資である。また、都市としても住みやすく活性化されたまちになるのであるから、まちづくりの観点からも、十分に検討に値するはずである。

6、地方税制度の改革

 今回の地方税の改革の特徴は、第一には、全体として国による規制の緩和の方向が進められたことである。すなわち固定資産税における制限税率の撤廃などである。個人住民税所得割の制限税率は既に撤廃されているが、今回は、固定資産税のほか法人関係税など他の全ての税でも制限税率の撤廃が議論された。
 第二には、三位一体改革の主な課題である税源移譲について、臨時の所得譲与税などの創設の他、平成18年度までに、「所得税から住民税への本格的な税源移譲」を行うことが決められたことが重要である。これは、経済財政諮問会議としても、政府税制調査会の答申でも方向は定まっている。政府税制調査会は、この所得税から住民税への税源移譲の具体案を、04年中にもまとめるとしている。住民税は10%の比例税率を導入する方式が最も有力であると伝えられる。

(1) 住民税個人均等割りの統一と税率引き上げ。個人住民税均等割の標準税率を改正する。市町村の場合、人口ごとに異なる税率を3000円に統一する。これに都道府県税個人均等割1000円を加えて、4000円が住民税の均等割負担となる。これにともなう平成16年度の収入額は1803億円と、160億円程度の増収が見込まれている。
 夫と生計をひとつにする妻に対する均等割の非課税措置は17年度から段階的に廃止する。現在はいくら所得があっても、「生計を一にする」場合は、均等割は非課税であるが、年間100万円以上の所得がある場合は均等割を課税する。

(2) 固定資産税の制限税率撤廃。固定資産税の制限税率、すなわち固定資産評価額の1.4%という標準税率を超える場合は、2.1%(標準税率の1.5倍)を制限税率とするが、この制限税率を撤廃することとされた。

(3) 商業地等での固定資産税の税額減額方式の導入。負担水準の高い商業地などについて、市町村の条例により、一律に税額を減額できる仕組みを導入する。負担水準の上限が70%の場合に算定される税額から、負担水準の60%から70%の範囲内で条例の定める負担水準により算定される税額まで一律の引き下げることができる仕組みとする。

(4) 標準税率の税率変更の緩和。標準税率の定義を見直し、「財政上の特別の必要があると認める場合」に限り税率を変更できるとされている要件を緩和する。すなわち、標準税率の変更は、財政上の特別な理由を要しないこととなる。

(5) 法定外税の税率の引き下げ、課税期間の短縮、その税の廃止など、負担軽減の方向での見直しについては、総務大臣への協議・同意を不要とする。

(6) 自動車税におけるグリーン税制については、税収中立を前提にして、適用期限を2年間延長する。自動車取得税における低燃費車特例、すなわち取得価格から20万円〜30万円を控除する制度を新設する。

(7) 狩猟者登録税と入猟税を統合して、環境目的税としての狩猟税(仮称)を新設する。なおこの狩猟税は、基準財政収入額に算入せず、単位費用(林野行政費)を算定する際に特定財源として控除するとしている。

(8) 年金課税の見直し。所得税における公的年金控除の見直しと合わせて、老年者控除を廃止(平成18年度から)する。

(9) 土地譲渡益課税のうち長期譲与所得課税の税率の引き下げ、および株式譲渡益課税のうち非上場株式に係る税率の引き下げ。

7、地方交付税制度の改正

 地方交付税算定の全体では、分かり難いと批判のある補正係数の整理、廃止など簡素化が行われるようだが、最も重要な点は、国庫補助負担金の一般財源化に伴ない、その全額が原則として、基準財政需要額に算入されることとなったことである。交付税制度としてはこれは当然の措置であり、算入されるべきなのである。したがって、皮肉なことだが交付税の計算方法が簡素化される一方で、基準財政需要額の算定というこの方式が、ますます大きな意味を持つようになるのである。
 すなわち廃止された、あるいは減額された国庫補助負担金の相当額が、きちんと基準財政需要額に算定されているかどうかを常に検証する必要がある。各財政担当はもとより、自治体財政をモニターする市民セクターなどセテイクホルダー(利害関係者)も、需要額にまで遡って目を光らせなければならない。特に大きなウェイトを占める「単位費用」の内容を検証することが求められる。
 この単位費用は、毎年度の地方交付税法の改正によって定められるから、国会の審議対象となっているのである。補正係数は省令事項であるため、直接審議対象にならないが、国会などで論議することは禁止されているわけではない。例えば、公立保育所の運営費はきちんと基準財政需要額にカウントされているか議論する必要がある。特に当該の市では、従来の費用がカバーできる程度に、その市の公立保育所の基準財政需要額として算定されているかをモニターすることが必要なのである。この保育所運営費については、補正を行うとしているが、その補正がうまく機能しているかどうかも検証しなければならないであろう。

(1) 都道府県の補正係数について、従来から批判があった公共事業に係る事業費補正は、臨時河川等整備事業(一般分)について適用を廃止する。また、高等学校費(生徒数)、特殊教育諸学校費(児童および生徒数・学級数)の種別補正、徴税費の密度補正を廃止する。

(2) 平成14年度から行っている市町村分の段階補正の引き下げ等は引き続き行うとしている。

(3) 単位費用の算定では、ごみ収集事業などについて、アウトソーシング後の経費を算定の基礎にする見直しを行う。これは単価の引き下げに直結する可能性があるが、あまりに実情を無視した、清掃事業の混乱を招くような急激な引き下げが生じないような配慮が必要である。

8、歳出の見通し

 人件費は23兆円であるがこれは前年度23兆4383億円に比較して1.9%のマイナスとなる。三位一体改革における地方財政計画の規模縮減と地方交付税総額の見直しでは、「基本方針2003」において平成18年度までに地方公務員数の純減4万人が掲げられていた。この閣議決定を受けて、平成16年度には1万人の純減が目指された。
 内容は、地方財政計画上、一般職員が10101人の削減、民間委託等による減員1692人、一方で介護予防および老人保健関係職員(保健師など)の増員および施設増に伴なう増員580人を見込む。警察官は3150人の増員と警察事務職員268人の削減。義務教育教員については、第7次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画による増員が5380人、児童数の減少による減員5301人で差し引き79人の増員など。これらの結果、差し引き10900人の減員を、地方財政計画上行うとしている。
 今後、06(平成18年度)までに、さらに地方公務員の3万人の削減が求められている。これについては大きな課題がある。各地方自治体における具体的な「定員削減計画」の改定ないし策定と、その内容のチェックがより厳しく行われるだろうという点である。これが技術的な助言の範囲を超えれば大きな問題である。特に、地方財政計画と決算額との比較においては、常に人件費ないし給与費の決算額が、地方財政計画の給与費を大きく上回っているのが現状であり、この決算と計画の乖離は拡大すると思われるのである。現実には、各都道府県や、政令市、中核市など都市においても定員の削減が進められているが、その進行のスピードより計画上の削減が先行する可能性が高いからである。
 この定員削減につての「技術的助言」はまず、改定された「地方公務員定員モデル(道府県・指定都市・中核市・市分)」の提示として行われるであろう(3月末を予定)。
 なお、「人事評価システム」の構築と導入についても、その検討と実行が強く要請されている。
 一般行政費の単独分(経常経費)は、11兆1500億円(前年度11兆1849億円で0.3%減)。ただし平成16年度一般財源化による影響額約6200億円は除く。公債費も13兆6800億円(前年度13兆7673億円で0.6%減))
 投資的経費の単独分は、13兆4700億円(前年度14兆8800億円に比較して9.5%減、2年間で2兆1200億円の減)となっている。「基本方針2003」では、平成18年度までに「平成2〜3年度の水準(12兆7000億円程度)を目安に抑制」としている。予想を上回る早いピッチで削減されていることになるが、なお、1兆円ほど削減されることが予想される。(交付税の総額も、この2003基本方針ベースでは、人件費と単独建設事業の圧縮で、なお1兆円以上は削減余地があるということになる。)

9、地域再生の課題

(1)交付税改革を考える複数の原理。

 市場原理を生かした、分権的で平等な福祉社会のためのツールとして分権改革をどう考えるか。まず「分権改革」は、かならずしも行政の透明化や市民社会の創造とは結びつかないということを銘記しておかなければならない。だからこそ情報公開など透明性の確保、参加の拡大、説明責任の徹底、市民的政策評価などの確立が必要なのである。
 この場合、先に見たように「受益と負担の関係の明確化」が実現できるような自治体の問題と、どのようにしても、実施すべき行政にかかるコストを自らの責任では確保できない(確保できないのはその自治体の責任ではないし、合併によってもそのような事情は余り変わらない)自治体の問題とを分けて議論することが重要である。
 つまり、多くの都市部のように、地域内に国税・地方税にまたがって十分な税源があり、税源移譲やそれに加えて、税率の引き上げや課税対象の拡大などで、地域住民が負担した税がどのように生かされるかが、明示できる自治体がある。一方で、どのように努力しても税源自体がなく、公共サービスの供給量とバランスがとれない、山村や中山間地、離島などの過疎自治体あるいは小規模自治体がある。
 交付税制度においてはこのような構造的なハンディキャップを抱えた「自立困難自治体」についても、そこに生きる住民は、他の地域と平等で公平な権利が保障されることが認められなければならない。いわば社会組織原理としての「ノーマライゼイション」の原理なのである。加えて、地球環境や緑と水の維持、再生のための貢献が適切にカウントされなければならない。それが「地方自治の本旨」のもうひとつの原理である。すなわち「自立・自助」あるいは「受益と負担の関係の明確化」の精神が「地方自治の本旨」あるいは「地方分権の趣旨」のひとつの原理とするなら、「公平・公正の確立」も、同じ「地方自治の本旨」あるいは「地方分権の趣旨」の原理である。憲法第92条に規定されている「地方自治の本旨」すなわち「地方分権の趣旨」は、ふたつの拮抗する原理を包含すると考えるべきである。このような意味で、あらためて地方分権と地方自治の強化の原点が問われる。
 近代を創造してきた市民革命であるフランス革命は「自由・平等・博愛」という標語ないし理念を掲げた革命であった。この「自由」と「平等」は、相互に対立する理念である。ゼロサム的な理念といっても良い。自由の極大化は、弱肉強食や万人の万人による闘いの世界に導く。そこには平等原理が立ち入る余地がない。一方で徹底した平等は、個人の自由な生き方を抑制することになる。これらふたつの対立する原理は、しかし、両者とも人間が生きていく上でその実現が常に求められ、そのために多くの血が流されてきた原理である。
 このような事情は、人間社会はひとつの原理で成立するものではないことを示している。むしろ、相互に対立する原理を追求することが可能になったとき、社会としての安定性や活力が生まれる、そういった複雑さをもった複合体だと考えたい。このふたつの革命原理(革命を推進した、実現すべき社会の構成原理)を媒介するのが、「博愛」イコール「連帯」という、もうひとつの原理だったのであろう。
 こういった意味で、地方自治やそれを包含する、21世紀の社会構成の原理あるいはその仕組みは、複数(プルーラル)ないし重層的であるべきだと考えられる。価値多元主義といってもよい。オーストラリアやカナダでの「多文化共生社会」に向けた努力もそのひとつであろう。佐和隆光はそれを、「市場主義改革」と「平等な福祉社会」を目指すとしている(『日本の「構造改革」』岩波新書03年12月)。また、篠原一は、産業主義、資本主義、科学主義、近代国家という近代の構造が、いったん崩壊する中から「第二の近代」が現れつつあり、それは複線の回路をもって構成されるという(理念というより仕組みだが)。(『市民の政治学』岩波新書04年1月)。
 このように考えると国家編成の財政基盤としての交付税制度の改革の方向は、信用や信頼を基礎とした「より透明性があり責任を明確にした自由な市場の制度化の追求」と、「社会的な連帯」を基礎とした「平等で公平な福祉社会」そして「地球環境の危機を乗り越え、持続できる発展の追求」という複数の基本原理をバランスさせるところに求められるのではないか。

(2)税源移譲のデザイン。

 政府税制調査会で具体化が始まっている所得税の住民税への移譲と比例税率化という問題を税源移譲のデザインとしてどのように考えるか。税収の不均衡是正をどこまで、どのように行うか。そして自治体間のアンバランスを、どのような仕組みで、どこまで調整するか、という問題がある。

(3)歳出抑制と構造改革。

 歳入の縮小傾向が続くなかで、歳出は思い切って絞っていかなければならない。それも福祉と環境、雇用とまちづくりへの特化の方向が選択される必要がある。特色あるサービスに集中し、行政の責任範囲を定めることが求められる。

(4)補助金の基本的廃止に向けて。

 4兆円という補助金削減と税源移譲という目標を実現させたい。そして、全国知事会や全国市長会の補助金廃止提案のために、第三次の分権改革につなげるしかけを創る必要がある。それは、廃止された補助事業が、補助金なしにむしろよい政策効果を生んでいる、という成果を明瞭に示さなければならない。市民参加による政策評価や事務事業評価を駆使して、さらに一歩をすすめたい。

(5)これから向こう7年間をどう組み立てるか。

 各自治体の「財政健全化計画」や「構造計画推進計画」や「プラン」を、04年度ベースで見直し、特に人件費の削減ないし再構成に本格的に取り組む必要がある。組織のフラット化による中間管理部門の圧縮と情報流通の効率化が求められる。団塊の世代が、退職した後の展望を考えたい。

(6)新しい公共空間の創造、すなわち「地方自治体ガバナンス」の世紀に。

 公共サービスの必要性は、これからいよいよ高まる。それを行政が全て担うことは不可能であるし、非効率でもある。住民が地域の公共的施設の運営や管理に恒常的にかかわり、むしろ主導権をとるまでになることが望まれる。行政は、国や他の自治体、そして広く行動している市民グループ、すなわちNPOやNGOとの交流と討議、共同のプロジェクトの企画と運営に特化するようにしたい。そして、地域の住民やNPO、そして事業者との仲介やあっせん、そして調整などコーディネーターとしての役割が期待される。
 それとともに、児童相談所の立ち入り検査権の積極的な活用や、生活保護受給者や失業者、障害者などへの恒常的な相談など、行政としての機敏な対応ができる組織になるよう求められている。

(7)しかし、地域住民の自律力をつけることは、それほど簡単ではない。これから7ヵ年ほどは、そのような地域の様々な力が展開できるように、地域に重点的な投資が必要である。
 まず人材である。もっとも手堅いのは、地域担当部門を地域ごとに配置し、そこに地域担当職員を設置することである。これが「地域自治組織」の原型になるかもしれない。つまり、地域で「行動的市民」が活動しやすいよう、そして行政とつなげるよう、活動する「ソーシャルワーカー」をつくるのである。また、拠点を確保したい。その拠点とは、市民活動の根拠地でありたい。農協の支所跡地でもよいし、余裕教室でもよい。また撤退した銀行の店舗でもよいのである。さらに、コンサルタントに出す委託費を、その地域組織に、枠配分で交付することも考えてみたい。

 以上のことがらは、既に各地域で先進的な取り組みがあり、相当の成果を積み上げつつあるものばかりである。
 このような、地域への「人、もの、資金」の計画的な投資をすすめたい。地域ボスが現れる可能性もある。それは、徹底した情報公開による透明性を実現することと、地域職員の配置によって、相当程度チェックできるだろう。このようにして新しい市民層、特に女性や若者が積極的に加われる「自治組織」を豊に構想して行きたいものである。

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