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2006年度地方財政計画と地方自治体
  協働の時代と新しい公共の構築


2006年1月25日 「分権ならサロン」および、同28日「政策フォーラム滋賀」における報告レジュメ      

2006年度地方財政計画と地方自治体

   協働の時代と新しい公共性の構築

                        2005125

奈良女子大学名誉教授 澤井 勝

1、「小さな政府」と来年度予算

 (1)新規国債発行30兆円の枠と社会保障費、公共事業費の抑制。

     ・一般会計規模は796860億円で3.0%、24969億円の減。

     ・歳入では租税収入が法人税収を中心に伸びて458780億円と4.3%の増加。

     ・国債による収入は、299700億円(うち建設国債5840億円、赤字国債が244890億円)で前年度より44170億円の減となった。

     ・国債費は187616億円と23.5%を占める。

     ・社会保障関係費は205739億円と1931億円、0.9%の伸びに抑制。一般歳出463660億円の44.37%を占める。診療報酬の3.16%下げなど。

     ・公共投資関係費は78785億円と3935億円、4.3%の減。

 (2)06年度末の政府債務残高775兆円(国が542、地方が204で重複除き)。これを解消するために、まず基礎的財政収支(プライマリーバランス)2011年度黒字化の目標。06年度は112千億円の赤字だが前年度より47千億円の減となった。05年度の見込みより一年前倒しとする目標設定。

 (3)負担増への転換

    ・1月に所得税の定率減税半減で12520億円。

    ○ 所得税の寄付金控除の拡大 10000円以上から5000円以上に。

4月から介護保険料引き上げで2600億円。月3200円平均から、月4100円平均への引き上げ。高齢者の増加と予防事業の本格的導入が主たる原因。

     障害者の福祉サービス利用に自己負担導入。原則一割負担。施設の食費・光熱費は原則自己負担に。

     国民年金保険料の引き上げ。月13580円から13860円に。毎年引き上げ。

○ 児童手当の拡大。小学校3年生までを6年生まで。第二子まで月5000円、第三子から一万円。

     5月から酒税の見直し。第三のビール1缶(350ml)当り3.8円上げ。清酒は1.8l当り36.9円引き下げ。

6月から65歳以上の住民税控除廃止で1003億円。

・同じく6月から住民税の定率減税半減で3330億円。

7月からのたばこ税の一本一円上げで1800億円。(たばこ税増税で児童手当の拡充。しかし防衛庁の省への昇格との取引だということは明白)

9月の厚生年金保険料の引き上げで2700億円。労使で14.288%を14.262%。2017年度まで18.3%まで毎年引き上げる。

     10月には70歳以上の高所得層の医療費の窓口負担拡大で750億円。2割を3割に。

     70歳以上の長期入院者の食費と住居費を全額自己負担に。

     高額医療費の自己負担限度額引き上げ。70歳未満で一般所得の場合は72300円を8100円に。

       出産一時金の引き上げ。一人につき30万円を35万円に。

     071月から定率減税を全廃。

     076月から地方税の定率減税廃止。

    ・昨年10月から介護施設入所者のホテルコスト徴収開始

   など。

 (4)公務員数の削減 骨太方針で地方公務員は今後5年間で4.6%純減。来年度地方財政計画では23千人の純減とする。

    ・0541日現在で地方公務員数は3042122人で、前年より41475人の純減となっている(自治行政局)。04年は33407人、02年は27319人のそれぞれ減だった。

・一般行政部門は20291人減、教育部門は14733人減(児童生徒数の減、大学の独立行政法人化)、公営企業10300人減(病院の民間委譲、民間委託など)、警察3401人と消防448人は増加。

    ・総務省「新地方行革指針」(06329日)と「集中改革プラン」の05年度内公表に向けての「助言」。数値目標と期間明示。

(5)市場化テストの一部導入。独立行政法人への転換(04年度)。

    ・指定管理者制度の0610月全面導入と5年後の展望。

・PFIなどNPM手法の浸透。

    ・規制緩和と特区。

 (6)経済動向はデフレ基調だが、実質成長率は2%程度。

    ・法人税収の好調。所得税は低調。

    ・定率減税の廃止、実質増税。

    ・固定資産税は二極化している。

 

 (7)分権改革と三位一体改革の推進。

補助金の整理4兆円と税源移譲3兆円。

交付税総額の圧縮。

生活保護については一応補助率削減は止めたが、厚生労働省と財務省は再度のチャレンジも。義務教育教職員の給与費国庫負担は補助率引き下げ。

児童手当と児童扶養手当の補助負担率引き下げ。 

 

 (8)06年度からの地方債の協議制への移行(後述)。

 

 (9)、市町村合併の進行と財政。

     ・06年以降も合併特例債の継続。

     ・社会福祉事務所や保健所。

     ・新合併特例法による都道府県計画。

     ・地域自治区を設置する団体はまだ少数。

 

 (10)、医療制度改革と府県、市町村。

     ・厚生労働省医療制度改革試案と政府の医療制度改革大綱。

 

 (11)地方自治制度改革  第28次地方制度調査会「地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申」(05129日)

    1、現行の副知事・助役、出納長・収入役の廃止。副知事・副市町村長制度の導入。長の権限を委任できる旨の規定。定数は条例で。

    2、教育委員会は任意設置に。社会教育、文化、スポーツ、幼稚園、生涯学習などは、長が所掌するか教育委員会が所掌するかは自治体が選択できる。

    3、農業委員会の任意設置。など。

 

2、5年連続して縮小した地方財政計画の規模。

 (1)2006年度は831800億円程度で、前年度より5900億円、0.7%減。

     ピークの2001年度893100億円から61300億円、7%減。これは平成7年度(1995年度)、12年前の水準となる。

 (2)地方財源の通常収支不足額の圧縮とその補填。

    ・通常収支不足は2003年の13.4兆円から2006年度は57044億円に。これで1996年度以降11年連続で地方交付税法第6条の32項の規定に該当する。(3年以上連続して交付税総額の1割以上の不足)

    ・減税分と合わせた財源不足は、17.4兆円から11.2兆円に。

    1、地方交付税の増額 11500億円。

国の一般会計からの加算措置=既往法定分4443億円および臨時加算7029億円(国と地方の折半分)

なおこれに恒久的減税に係る特会借入金利子負担分700億円が加わる。

    2、臨時財政対策債  29072億円。

       ・財源不足地方の折半分 7029億円。

       ・既往臨財債の元利償還分 22043億円

       元利償還金の全額を後年度に地方交付税計算の基準財政需要額に算入。

    3、財源対策債    16500億円。

一般公共事業費にかかる起債充当率の引き上げによる。

    4、なお、2006年度税制改正により所得税から個人住民税への税源移譲に伴い、所得税に係る地方交付税率分の大幅減少の影響を緩和するために、2007(平成19)年度に2600億円、08年度に2000億円、09年度に1400億円を交付税の総額に加算することとした。

    また、所得税の定率減税の縮減による交付税原資の増加分(4051億円)は、借入

金の縮減に充当する。

 

 (3)恒久的な減税に伴う地方税の減収の補てん措置。3376億円。

     1999(平成11)年度からの恒久的減税については、06年度改正で、定率減税は所得税については06年分、個人住民税については06年度分から廃止。

    1、減税補てん地方特例交付金 地方税の減収見込みの4分の3から2と3を控除した7456億円

    2、たばこ税の一部移譲      1142億円

    3、法人税の交付税率引き上げで  4962億円(35.8%)

    4、減税補てん債         4520億円(元利償還金は全額需要額算入)

 

    なお、2007(平成19)年度以降、恒久化される恒久的減税にかかる地方税の減収の補てんは、次のようなかたちで補てんする。

    ア、地方たばこ税の増収措置の恒久化

    イ、法人税の地方交付税率は34%とする。

    ウ、それでも補てんされない部分は国と地方が折半ルールで。(国の負担部分は下記のエ、を含む)

    エ、減税補てん特例交付金は07年度は4000億円、08年度に2000億円とし、09年に廃止する。

 

 (4)恒久的な減税に伴う地方交付税の減収の補てん。12296億円のうち06年度に新たに発生する減収10888億円については国と地方が折半ルール。

    1、国の負担分5444億円は交付税特会が借り入れ。国の一般会計が財政融資資金および民間金融機関(短期市場)から借り入れる。10年で償還する。

    2、地方の負担分5444億円についても交付税特会借り入れ。スキームは同じ。

 (5)地方交付税(地方自治体に配分される交付税=交付税特別会計の「出口ベース」)は159100億円程度で、前年度から9900億円、5.9%減となる。地方交付税はピーク時の2000年度の214000億円から55千億円、25%減。

・ただし、一般財源総額(地方税、地方交付税、所得譲与税を除く譲与税、減税補てん特例交付金、減税補てん債、臨時財政対策債など)は556334億円で前年度比204億円増。

     ・臨時財政対策債は29100億円程度、前年度は32231億円。

 (6)歳出減の要因。

   1、給与関係費は人員を2.3万人減、給与構造改革などで4000億円減。ただし退職手当は増。退職手当債の拡充など。

   2、投資単独事業は9091年水準に抑制し、4000億円減。これに「決算との乖離是正」で2兆円圧縮(経常の単独は1兆円増)。

   なお、国庫補助事業は社会保障関係費中心に6000億円ほど増となった。

 (7)三位一体改革(20051130日政府・与党合意「三位一体改革について」)

   1、2004年度から2006年度までの国庫補助負担金の改革の合計は46661億円。

   2、このうち税源移譲に結びつくものは31176億円。

     いわゆる数字合わせという批判が強い。義務教育教職員給与費国庫負担金(2分の1から3分の1への引き下げ)4217億円やのように自治体への裁量権の委譲なしに負担転嫁を図る負担率引き下げというかたちのものが額的に大きいのである。  

    ・0511月の政府・与党合意では次の国庫補助負担金が補助率の引き下げ等の改正が行われた。

     経常経費系統では

     ・児童扶養手当給付費負担金  1805億円 4分の3から3分の1

     ・児童手当国庫負担金     1578億円 3分の2から3分の1

     ・介護給付費等負担金(うち施設等給費)  1302億円

     公共事業関係では

     ・地域介護・福祉空間整備等施設整備費交付金のうち都道府県分(特養等)

                          389億円

     ・公営住宅家賃対策等補助金のうち法に基づく国庫負担分

                          620億円

     ・公立学校施設整備費補助金の一部     170億円

     なおこの3事業のほか、公立保育所施設整備交付金(次世代育成支援対策施設整備費交付金のうち)については、特別の地方債の発行を認め、その元利償還金は全額後年度に基準財政需要額に算入する。

   3、この税源移譲対象補助金については起債充当分を除き、全額基準財政需要額に算入するとともに、394億円については所得譲与税として税源移譲する。この所得譲与税は、自治税務局所管の地方税であり、全額基準財政収入額に算入される。配分基準は国勢調査人口による。

     06年度は都道府県に21794億円、市町村に8300億円となる。

   4、一人一万円の児童手当を小学校修了までに年齢を引き上げ、所得制限を緩和するための地方負担増に対して、地方特例交付金(児童手当特例交付金)を創設する。国と地方のたばこ税増収を考慮して、06年度は704億円とする。

   5、決算と計画の乖離の一体的是正

      昨年度に非続き、地方財政計画と決算との間の乖離を是正する。この乖離は投資単独事業では計画が決算を上回り、人件費などでは決算が計画を上回っている現象を指す。地方財政計画の歳出の投資的経費(単独)を2兆円(一般財源ベースで1兆円)削減し、他方で、一般行政経費(単独)を1兆円(全額一般財源)増額するとしている。この乖離是正分の一般財源に相当する地方財源不足分については、他の財源不足対策と同様、基本的にはその2分のTを国が、2分のTを地方が負担するが、06年度分はとりあえず臨時財政対策債とし、今後5年で段階的に通常のルールに移行するとされている。

   6、地方交付税の総額の抑制

     ・行政改革インセンティブの創設  歳出効率化努力の反映、徴収率向上努力の反映

     ・企業誘致による税収確保努力の反映

     ・ごみ収集や学校給食等についてアウトソーシングによる効率化を反映

                            マイナス2000億円

     ・小規模町村に対する段階補正による割り増しの縮小

                            マイナス2000億円

     ・都道府県分の補正係数を半減。事業費補正の大幅な縮減。

     ・計画と決算の乖離の是正(前述)

     ・不交付団体の人口割合を00年の11.5%から05年度の18.4%にした。

      2010年代初頭に人口割合で3分の1、税収割合2分の1をめざす。

 

  (8)地方税制の改革

   1、06年度税制改正で所得税から住民税所得割に3兆円を移譲。実施は07年度から。10%の比例税率。都道府県に4%、市町村に6%。

   2、06年度は所得譲与税394億円で財源手当てを行う(先述)。

   3、06年度税制改正において所得税から個人住民税への恒久的税源移譲を行う。その際、個人の負担増を調整する措置を取る。

     ア、所得税の税率を、5%、10%、20%、23%、33%、40%、の6段階に。

     イ、個人住民税所得割りは10%とする。都道府県4%、市町村6%。

  

 (9)地方債の許可制から協議制への移行(06年度)

   ・地方財政法施行令の改正による

     1、実質公債費比率18%以上は許可団体に。

     ・分母は標準財政規模(地方交付税、標準税収入額、地方譲与税(所得譲与税も)、臨時財政特例債、地方特例交付金を含む)。

・分子には元利償還金と準元利償還金(満期一括償還方式地方債の年割り額(30年として年3.3%)、公営企業と事務組合への繰り出し金のうち元利償還金として充当されると見られるもの、債務負担行為のうち元利償還に類似する用地取得費や利子補給など)。

     2、実質収支の赤字が一定規模以上は許可団体に。都道府県と政令市、標準財政規模500億円以上の団体は2.5%、200億円以上の市町村は5%、50億円の市町村は10%など。

   ・団塊の世代の定年退職を迎えて、06年度以降の退職手当の大幅な増加に対応するために、10年間の特例措置として、許可により、定年退職者の退職手当に当てるために、退職手当債の発行を拡充する。

     (1)平年度を上回る退職手当額があること。

     (2)定員と人件費の適正化計画を定めて総人件費の削減に取り組む団体。

     (3)発行可能額は平年度ベースを上回る額(国家公務員ベース)の範囲内。

3、これからの展望

 (1)プライマリー・バランスの黒字化に向けて。

 (2)本格的な消費税税率引き上げ。

 (3)公務員数の削減(国家公務員を5%純減する、地方財政計画上4.6%以上の削減)

 (4)交付税総額のさらなる抑制?

 (5)地方財政規模の一層の抑制

 (6)医療制度改革、介護保険制度など社会保障制度の改革の展望

4、21世紀が始まって6年目

    「第二の近代」(篠原一『市民の政治学――討議デモクラシーとは何か』岩波新書)の争点(リスク)とそれを克服する施策。

 (1)格差の拡大。新しい階層社会。下流社会。

   1、所得格差の拡大。例えば、内閣府経済社会総合研究所の太田清総合政策研究官、『フリーターの増加と労働所得格差の拡大』20055月。

 「1990年代後半から最近にかけて、個人間の労働所得格差が拡大していることがわかった。いずれの年齢層でも格差は拡大しているが、特に若年層でその拡大テンポが速い。この若年層内における格差の拡大は、フリーター化など非正規雇用の増大の影響が大きい。
 若年層の間での格差拡大は、日本社会の将来の姿を先取りしたものである可能性もある。本稿の分析結果は、若年者が職業能力(稼得能力)を獲得する機会を十分に持てるようにする政策が極めて重要であることを改めて示している。また、やや技術的な問題に関する含意であるが、経済的格差の拡大等、経済社会の重要な変化をできるだけ早期に察知できるよう、統計の整備が望まれる。」

(2)不安な時代 子どもの安全を守るために 

施策 地域社会の見守り機能の再生

(3)環境問題 地球温暖化と「異常気象」  

京都議定書とISO、

そして「企業の社会的責任」Corporate Social Responsibility

(4)家族の危機 隠されたリスクの表面化

児童虐待防止法、DV防止法、高齢者虐待防止法

学習障害者支援法、

      障害者自立支援法と「受益者負担」、身体、知的、精神障害の統合

 (5)フリーターとニート(と呼ぶな)  

ジョブカフェと就労支援

(6)雇用不安と派遣とパートの拡大

ワークシェアリングと労働条件の統一

      総合評価一般競争入札

(7)地域社会の崩壊と人間関係の希薄化  

地域福祉計画と地域包括支援センターへの期待

コミュニティ・ソーシャル・ワーカーの設置

 (8)生活保護の増大  

大阪府の地域就労支援事業と和泉市

 (9)偽装耐震設計と建築行政

      行政規制の強化と専門集団の職業倫理

 (10)官僚主義の非効率と不公正

 (11)権利(right)と特権(privilege)の違いが不明確(山口二郎)

      「市民」と「私民」との違いとパラレルなところがある。

5、近代を構成する軸の行きづまり

 (1)資本主義と産業主義のリスク   

大量生産大量消費は『成長の限界』(1972年)に。

      資源の枯渇など環境問題による限界の提示『沈黙の春』

      格差の拡大と社会不安(イギリスのテロ、フランスの焼き討ち)

      そしてニューオーリンズとハリケーン

 (2)国家の限界  

福祉国家(租税国家)の限界と「福祉国家の危機」からサッチャーへ。

      第三の道(ザ・サードウェイ)旧社会民主主義とサッチャリズムを超えて

      PPP(パブリック・プライヴェート・パートナーシップ)

      グローバリズム

 (3)科学主義の限界とリスク  遺伝子操作、環境ホルモン、

                 インフォームド・コンセント

                 『当事者主権』と主体と客体の逆転

6、「第二の近代」をつくる「討議民主主義」を通じた「地域再生」。

    ハイリスク社会に対応するためのこれまでの政策的対応。その基礎としての1970年代からの「新しい社会運動」など、ハーバーマスが見落とし、予期できなかった市民の活動・運動と政治的な活性化という側面から。

 

   「地域再生」とは、人々が元気になるということ。

   まず、「私民」としての元気を取りもどす。経済活性化。徳島県上勝町の葉っぱ。

   そして地域全体の活性化に力を出し合うことで、「変な人に」。共同して問題を解決するために、「小さな公」をつくる(大森弥)。

 

 (1)自治と分権改革

     北欧、ドイツ、イギリス、フランスとヨーロッパ自治憲章(神野直彦)。これらの諸国での分権改革の目的ははっきりしている。福祉国家の再編と「自己決定する市民」という二つの契機をもっているといえる。「福祉国家から福祉社会へ」(正村公宏、ブレアの「第三の道」)。

補完性の原理(サブシディアリティー)の意味。小さいことのメリットを活かす。

   (1)の2 市町村合併のこれまでとこれから。

     1、集中集権型合併と分権分散型合併との間。

     2、2006123日現在の市町村数は202741日で1880市町村に。

     3、消えてゆく支所とそうしないための仕掛けは、住民参加と決定そして執行過程での協働。

     4、地域自治区の可能性。区の振興協議会委員の公選制、上越市の実験。

       浜田市の取り組み。京丹後市の取り組み。

     5、なにを実現するための合併かを改めて明確に。

     6、合併しない、できない町村の取り組みを支援する。

      (1)選択と集中の徹底。県への仕事の委譲も。

      (2)住民によるまちの経営。NPO。まちづくり協議会。

      (3)広域連携。国保の再保険。医療の確保。遠隔医療システムと在宅医療の可能性。

      (4)職員の能力アップと予算なき行政。二人酒。

      (5)ユーターンと山村留学、産業体験。

      (6)一地区一産物

      (7)地産地消。食生活と地域NST。

      (8)特産物の開発とマーケットでの働き甲斐。

      (9)災害に強い地区づくり。

 

 (2)結社革命(アソシエーショナル・レボリューション) ポール・ハーストとトックビル。

     結社とは、ある目的や理念を実現するために、自発的に、自らを組織した(自律)団体である。イギリスのチャリティ団体、アメリカのNPOなど。

     日本では1999年のNPO法成立以後、200511月末で、申請数が25973団体、認証数が24376団体となっている。

 

     アソシエーション(NPOなど)とコミュニティ(地域自治会など)の協働、融合で新しい地域社会を。

     

わが国では、1995年の阪神淡路大震災とその後のナホトカ号事件でのボランティア新時代へ。

       京都市上京区の春日学区は1995年の小学校廃校から今のかたちに。

       大和郡山市の「言の葉」。助け合いボランティアと自治会の協調。

       京都木屋町のNPOと自治会、振興会のコラボレーション。

       宝塚市のコミュニティ政策(93年)と豊中市のコミュニティ政策、いずれも1990年代前半ごろから。

 

 (3)新しい市民的公共性の形成(新しい社会運動がコーヒーハウスの役割をもっている=ハーバーマス「公共性の構造転換」)。自己決定する市民の登場。(篠原一)

     市民運動としての環境問題への取り組み。CRSやSRI(社会的責任投資)。反核平和運動と新エネルギー。フェア・トレード。

     ノーマライゼイションとバリアフリーの運動。第二次フェミニズム運動。

     

福祉領域での「宅老所」。富山型デイハウスから小規模多機能ハウスを自らの資金で自宅を開放して。私を開いて公共的空間を広げる。たまり場からネットワークへ。

コミュニティ・ビジネスの展開。

例えばグリーンコープのワーカーズコレクティブ。

     

まず市民が、住民が、自ら集って、その力で地域社会で問題解決のために活動し、組織を作ることが重要。行政はあとからついてくる。

 

     「堅気の暮らしを守ってはいるが、ある志を抱いて、そこから歩み出て、他の人々と共同の関係を結び、広く世のため人のための活動をしようとする人々がいる。玄関から出た先のこと、世間のこと、他人様のことにも関心を持ち、なんらかの言動を行おうとするタイプである。そうした人びとを広く「有志」と呼ぶことができる。この場合の「志」とは、自分と家族の生活が地域社会のあり方や世の中の動きと結びついていることに気づき、その世の中のことに関心を寄せ、そこに課題を見つけ、その課題の解決を通じて世の中を少しでも良いものにするために働きかけを行おうとすることをいう。そのためには、若干の時間・労力・資金を惜しまないのである。このような(酔狂な、奇特な、変な)有志の活動こそ、地域社会に変化を刻むエネルギーとなる。志高く、志を持続させる人びとがいてこそ、地域社会は生き生きとして参加型社会に発展するとも言える。」(大森、『自治から考える公共性』東大出版20047月、164頁)

    

     こういう人々が増えている。そしてこの「酔狂さ」は、ほとんどの人のうちに多少ともある傾向でもある。人間は多面的で可変的でいいかげんだから。

 

 (4)協働とパートナーシップ、新しい市民参加の仕組み。

     NPOやボランティアとの協働のルールづくり。

     「市民参加推進条例」づくり。

     「自治基本条例」づくり。

     意思決定への参加と協議民主主義。まちづくり協議会とワークショップ。

     施策執行過程での協働。企画立案過程、実施過程、評価過程、再企画過程への市民参加。

 

 (5)イベントと祭りの地域活性化

     湯布院のまちづくり。

     奈良の元興寺と西大寺のイベント。

京都木屋町のNPOと連合自治会のアートフェスティバル、シンポジウム。

     内なる人々と外からの人々の交響するネットワーク。

 

 (6)役場の人々が変わるということ。

     奈良県東吉野村のNPOと役場。

     ワークショップの中での気づき。住民であり、市民である公務員。

     コミュニティ・ソーシャルワーカーとして。

     市民的公共性を活発化するための支援策。コミュニティ・ファンドの形成、蓄積、運用。まちづくり組織への補助金交付と公開審査。

     新潟県黒川村の人づくり。

     長野県栄村のげたばきヘルパーと田直し。

 

7、おわりに 財政のこれからと新しい公共性

   前提1、地方財源は伸びない、または縮小する。2011年度のプライマリー・バランス(基礎的収支=公債収入を除く租税収入で、国債費を除く歳出を賄う)黒字化は実現すべき政策目標であり、マニフェストであるとして。大規模な地方への税源移譲を実現しても、同じことがより強く地方の自己解決能力が問われることになる。

   前提2、リスクの拡大に対応するための公共的サービスは拡大する。

     「公共的課題(public problem)とは、個人または個々の家族の自助努力(self-help)をもってしては充足・達成・解決することができない課題だ」(西尾、東大出版前掲『自治から考える公共性』136頁)

   

方向性1、行政と市民が協働して公共サービスを担うことで、市民の自己統治能力(自分たちで、政府やマーケットの力等に必要な支援をうけながら、内部の対立を克服して、課題を解決し、あるいは調整する能力)を形成できるか否かが、誇りある町にできるかどうかを左右する。

・したがって、財政資金は、市民の力を引き出し、地域の力をつくることに集中して投下されるべきだ。人の能力形成(塾や市民大学)、拠点や場の形成(現代のコーヒーハウス)、そして市民ファンド(市民と市民である企業の寄付を基礎とした)の形成、を支援し推進するために。

・行政は市民の新しい動きやその芽をつぶさないことが大事だ。ワークショップで腕を組んで後ろに立っている職員は最悪だ。同じテーブルで、しかし、行政にたずさわる者として、市民感覚を研ぎ澄ますような議論ができるような訓練が必要だ。

・市民は、行政への安易な依存やお願い、過大な期待をやめることが大事だ。まず自分たちで、自腹を切り、時間を使い、家や場を開くことからはじめる。

人の話を聞き、よく調べ、具体的な提案と、それを自らかたちにしてみせるところが成功しているようだ。

・このことを通じた、地域での「小さな公」の形成、下請けではない本物の「協働」、「市民的公共性」の形成への努力が求められる。

  

   方向性2、行政はこれまでのやり方では、リスク社会に対応できなくなっている。市民と家族の観点からの「選択と集中」を徹底することによって、これからの明確な「まちづくり」の方向を示すことが重要だ。たとえば「福祉社会」と「環境都市」に。市民参加推進計画、協働事業推進計画の着実な実行による、行政文化の改革。

     1、「行政都市」の解体的再編。組織のフラット化。組織管理業務のスクラップ。「情報を経営資源として捉えるならば、階層の整理が俎上に上らざるをえなくなる。マネジメント上の階層のほとんどが何もマネジメントをしていないことが明らかになる。それらの階層は、トップとボトムから届くかすかな信号を増幅しているだけである。

      情報理論の第一法則によれば、あらゆる中継器が雑音を倍増しメッセージを半減させる。同じことが、人のマネジメントをせず事業上の意志決定もしないマネジメント階層についても言える。それらの階層は情報の中継器に過ぎない。」(ピーター・ドラッカー『ネクスト・ソサイエティー』2002年)

     2、事務事業評価と政策評価を進めて、現行事業の4割を整理し、2割の新規事業をはめこむ。愛知県多治見市の西寺雅也市長。長野県泰阜村の松島貞治村長。大阪府寝屋川市の行財政改革第三次計画に向けての市民懇談会。

      この場合の新規事業とはなにか。

      (1)地域就労支援事業  若者、障害者、母子、生活保護