三位一体改革と地方自治体

                      2004123日  澤井 勝

 

 はじめに 

(1)場としての経済財政諮問会議  森内閣から小泉内閣(20015月発足)へ

  (2)二つの要素からなる。

      1)補助金の廃止とそれを補填する税源移譲。

      2)地方交付税など一般財源の総額の確保と、地方財政計画の圧縮。

 

 1、平成132001)年6月「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関す       

     る基本方針」(骨太の方針)閣議決定

     (1)14年度の国債発行を30兆円以下とすることを目標に。

     (2)「自らの選択と財源で効果的に」「地方交付税を客観的な基準で簡素に」   

        「地方財政計画の歳出の徹底的な見直し」

     (3)「地方税の充実確保」「税源移譲も含め国と地方の税源配分について根本   

        的に見直し」

・アメリカ的な「地方自治観」にたつ、「自治論」論者の、拡大した自治体としての日本の地方自治体に対する無理解。

 

 2、20025月か「片山プラン」で三位一体の改革

      分権改革第二ラウンドとしての構造改革  

      ・国庫補助金の改革・税源移譲・交付税制度の見直し

      

 3、20026月 骨太の方針第2

     「国と地方(国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分の在り方の三 

      位一体改革を1年以内にとりまとめ)」

      この改革案においては、国庫補助負担金について「改革と展望」の期間中(平   

      成1418年)に、数兆円規模の削減を目指す。同時に地方交付税の改革を    

      行う。「廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き地方が主体とな  

      って実施する必要があるものについては、移譲の所要額を精査の上、地方の 

      自主財源として移譲する。

  

 4、20036月 基本方針

     「三位一体改革の具体的な改革工程

       「国庫補助負担金については概ね4兆円程度を目処に廃止、縮減する。」「地 

       方交付税の財源保障機能については、その全般を見直し、「改革と展望」     

       の期間中に縮小していく。他方、必要な行政水準について国民的合意を図

       りつつ地域間の財政力格差を調整することはなお必要である。」

     「地方財政計画上の人員を4万人以上純減」「投資的経費(単独)を平成2〜

      3年度の水準に抑制する」

     「税源移譲は基幹税の充実を基本に行う」

     「課税自主権の拡大を図る」

     「こうした三位一体の取り組みにより、地方歳出の見直しと併せ、地方におけ

      る歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、    

      地方への税源配分の割合を高める。基幹税の充実を基本に、税源の偏在性が

      少なく税収の安定性を備えた地方税体系を構築する。」

 

 4―2 政令指定都市市長会や全国市長会が補助金削減案を提言した。

       遅れて全国知事会も会長提案から知事会提案に。

 

 5、2003119日投票総選挙、マニフェスト選挙。自民党はマイナス10237

     民主党が40プラスの177

     このこともあって、1118日の総理の補助金1兆円削減指示から始まった作   

     業。

     生活保護費の国庫負担率引き下げ提案など。

 

 6、2004年度予算での補助金1兆円削減と地方一般財源の12%減。

    (1)04年度の廃止・削減補助金  公立保育所児童措置費国庫負担金(1700  

                     億円)

                     介護保険事務費補助金(300億円)

                     義務教育国庫負担金のうち退職手当と児童      

                     手当(2400億円)など

    (2)03年度廃止分  義務教育窮余費国庫負担金の共済長期  2184億円

                在宅事業費              160億円

 

     これらに対応して、所得譲与税として4200億円を移譲する。配分は人口割で。

     この結果、補助金削減額をこれら譲与税でカバーできない自治体と、補填額オ   

     ーバーのところが出てきた。

 

    (3)地方財源不足圧縮で交付税と臨時財政対策債の減

     平成16年度の地方交付税は168900億円と15年度の18693億円から6.5%   

     の減。臨時財政対策債は41905億円で28.6%の減。一般財源としては12%    

     減となった。

 

 7、「全体像には、平成17年度及び18年度に行う3兆円程度の国庫負担金等の工 

     程表、税源移譲の内容及び交付税改革の方向を一体的に盛り込む。」「そのため、  

     税源移譲は概ね3兆円規模を目指す。その前提として、地方公共団体に対して

     国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるように要請し、これを踏まえ検討

     する。」

 

 8、地方6団体の「国庫負担金等に関する改革案〜地方分権推進のための「三位一    

            体の改革」〜2004824

     国から地方への税源移譲 8兆円程度を基幹税より地方に移譲する

      第一期改革  18年度まで  所得税から個人住民税に 10%の比例税率

      第二期改革  21年度まで  地方消費税を2.5%に引き上げ

     国庫補助負担金

      第一期改革  4兆円

      第二期改革  3.6兆円程度

 

 9、1126日の「全体像」

    (1)0506年度で補助金28380億円を削減。

    (2)税源移譲は、04年度の6560億円も含めて24160億円。

    (3)義務教育費国庫負担金は2年間で8500億円(05年度は4250億円)。義務    

       教育のかたについては05年秋の中教審答申を待つ。

    (4)生活保護と特別児童扶養手当ての補助率引見直しは、国と地方の協議機関 

       を設けて05年の秋までに結論。

    (5)国民健康保険に7000億円の都道府県負担を導入する。

    (6)地方団体の財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を

       確保する。

    (7)公共事業費の国庫負担は国債財源なので税源移譲はしない。

 

 10、その評価。第一段階としては50点か。

     先送りの義務教育と生活保護は注意が必要。

 

 111220日前後の地方財政対策が次の焦点に。

    

(1)地方財源不足額の算定でどの水準で合意するか。

        地方財政計画の規模是正

    

(2)補填方法については

      ・特例財政対策加算

      ・交付税特会借入金

      ・臨時財政対策債

 

 12、中長期的に

   (1)地方財政計画の規模縮小はどこまでいくか。

   (2)国庫補助金はどこまで残るか。

   (3)一般財源は縮小すると考えるか。人口減少社会で。

   (4)補助金のない世界で、どの事業を優先するか。市民の力量が問われる。

   (5)事務事業評価と政策評価。

   (6)税源移譲の具体的姿は?

      ・都道府県と市町村の配分

      ・財源調整、法人事業税の分割基準の改正と配分方法

      ・税制調査会、地方制度調査会、財政制度審議会での合意形成

      ・住民税非課税世帯と高額所得者の課税調整

 

 13、新しい公共空間の創造を

 

 (1)縮小する一般財源と拡大する公共サービスへのニーズ。このギャップをどのように考える    か。このギャップは、基本的には、市民が公共サービスを担うという「新しい公共空間」    を創造するところに可能性を見る。

 

 (2)行政と市民と事業者のパートナーシップ、協同の進め

         ガバナンスの時代とはなにか。

 

 (3)分権改革をすすめるということ。

         法律の解釈権が自治体にあるということ。通達の失効とその活用。

 

 (4)住民自治によって地域社会を再構築するということ。

        「地域自治区」の可能性を考える。自治区の「事務所」と「地域協議会」


  (5)課税自主権の活用が出来る自治体へ。新財源の可能性。地域通貨の面白さ。       コミュニティファンド。ミニ公募債の可能性。

 

  (6)新しい働き方を探る。コミュニティ・ビジネス。地域就労支援。

 

  (7)地域への投資が可能になる行政システム。

     ・NPO・ボランティアと協働するためのコンパクト。

     ・市民活動支援センターと総合支所の再構成。窓口から脱却して、ソーシャル・   

      ワーカーに。