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京都市の非正規労働者
      就業構造基本調査の分析から

                       2009107日 京都自治総研

                「格差・貧困社会における自治体の役割研究会」

                      奈良女子大学名誉教授 澤井 勝

1、改めて問われる自治体雇用政策

国や自治体の雇用施策が重要な自治体施策として急に浮上してきたのは、緊急経済対策という理由からだけではない。我が国では従来、不問に付されてきた「貧困問題」が社会問題として明らかになり、それに対する施策として、雇用・就労施策が浮上してきたからである。この点、鳩山由紀夫首相が09924日、ニューヨークの国連総会の一般討論演説で、グローバル資本主義の「光と影」に触れて、その影としての「格差と貧困との闘い」を宣言したのは、きわめて適切であった。高度経済成長以後、日本の首相が「貧困との闘い」を宣言したのはおそらく初めてであり、これからの政府施策の主たる柱としたい。

なお、1960年頃までは政府の経済政策の中心は「貧困との闘い」であり、1955年の経済白書が「もはや戦後ではない」との標題を掲げたが、その意味は、当時の貧困や格差(後の二重構造とされた)を戦災という負債によって説明するべきではない、ということであった(橋本健二『「格差」の戦後史』河出ブックス、200910月)。

ところで、貧困問題がわが国の社会問題としてあらためて最近になって中心的な課題となったのは、次のような契機が主な要因となったといえる。

第一には、2006年にOECDが「対日経済審査報告」において日本の「相対的貧困率」が15.3%に達し、OECD29カ国のうちメキシコやアメリカなどに次いで高い方から4番目だと指摘したことが大きな衝撃を与えたことがあげられる。

 相対的貧困率とは、手取りの世帯所得(収入から税や社会保険料を差し引き、年金やその他の社会保障給付を加えた額)の中央値(平均ではなく、上から数えても下から数えても真ん中になる値)の50%のラインを貧困基準として、それ以下を「貧困」と定義し、その全人口に対する比率を言う。

 2003年度の日本の場合、「一人当たり」の手取りの世帯所得の中央値は254万円であり、この50%は一人127万円となる。これは母子二人世帯では180万円程度である(詳しくは阿部綾『子どもの貧困』岩波新書、2008年、44頁以下。なおこの母子二人世帯の所得は等価所得である。「等価所得」とは、経験的に世帯所得を家族の数の平方根で割った値が、その家族全体の生活水準の目安となるとされているものである。逆に言うと一人当たり所得を世帯人数の平方根倍したものが世帯所得に近似するとされている。前掲、橋本26)。この貧困線は、生活保護の基準とよく近似している。この世帯所得は、最近のほうが下がっていると思われる。したがって、現在の貧困線は、最近のOECDの例にならって、手取りの世帯所得の中央値の60%とする方が合理的かもしれない。

 第二は、「非正規労働者」の全就労者に占める割合が急速に高まり、この貧困率の高さを押し上げていることや、ワーキングプアの存在が明らかになったことがある。総務省が0873日に公表した2007年の就業構造基本調査(速報)によると、パートやアルバイト、嘱託、派遣など非正規就業者の割合が全国平均で、雇用者(雇用者のうち役員を除く)の35.5%と過去最高を更新した。全雇用労働者の3分の1以上が非正規労働者なのであり、20年前の倍以上の比率になっている。

これは先ほどの0ECD諸国と比較して非常に高い。全雇用労働者のうちパート労働者の割合は、NIRA(総合研究開発機構)の2006年の整理によれば、イギリスが23%、ドイツとカナダが20%、アメリカが13%、フランスが12%、イタリアが11%である。

この日本の非正規労働者のうち男性は就業者のうち19.9%、女性はその就業者のうち55.2%といずれも過去最高となった。前回調査の02年には前々回97年と比べて男性が5.2%増の16.3%、女性が8.9%増の52.9%と急上昇していた。この10年で急カーブで上昇したこともあって、この「非正規労働者」の急増にわれわれの認識がついて行けてなかったことがはっきりしたのである。

 第三には、20077月に北九州市の52歳の元タクシー運転手の男性が、生活保護を打ち切られて、日記の最後に「おにぎりを食べたい」と書き残して餓死状態で発見された。これをきっかけに、生活保護などセイフティーネッットの不備が指摘され、「貧困」が社会問題化したことが挙げられる。

 

2,雇用・労働政策がメインストリームに

          社会的包摂とワークフェア

 

 このような「貧困の顕在化」に伴い、その貧困からの脱出策として、それ以前から施策としては手探り状態だった「自立のための就労支援」が国や自治体の施策の表舞台に登場するようになった。それは「生活保護における自立支援」の主な施策としての「就労支援」に展開する。なお就労支援の政策的根拠として、社会保障制度審議会の「生活保護制度のあり方に関する専門委員会報告」(20041215日)があり、そこでは「就労支援」は「日常生活支援」と「社会生活支援」と並ぶ自立支援策の一環とされている。これは社会福祉サービス受給者や失業者、ニートなど若年の無業者などが陥っている「社会的排除」(ソーシャル・エクスクルージョン)状態をどう克服し、これらの人々をどう「社会的に包摂する」(ソーシャル・インクルージョン)ことができるか、その施策や如何、という問題提起でもあり、イギリスやフランスでは貧困対策の中心の考え方となっている。

 そして、雇用政策と福祉政策との統合の動きが国際的に明瞭になり、就労支援が各国の社会福祉改革のメインストリームとなってきている。「ウェルフェアからワークフェアへ」という流れである。

 このワークフェアという言葉や政策の発祥の地はアメリカで、代表的には1996年のクリントン政権の福祉改革施策として行われたものである。長期にわたる失業給付に期間的制限(最長5年など)を設け、その期間中に職業訓練を受けることを義務づけると共に、訓練を受けない場合には罰則として給付の制限や停止を行うなど、強制的に失業給付を減少させ、納税できる市民をつくろうとする政策であった。

この施策は、その後、EU諸国に波及する中でより積極的な社会保障施策の一つとして「就労支援」を位置づけるようになっている。最近では、このワークフェアを次のように定義づけられている。「なんらかの方法を通して、各種社会保障・社会福祉給付(失業給付や公的扶助あるいは障害給付、老齢給付、ひとり親手当など)を受ける人々の労働、社会参加を促進しようとする一連の施策」である(埋橋孝文『ワークフェア――排除から包摂へ?』法律文化社、2007年、18頁)。

 つまり、グローバル化がなお進む21世紀の世界では、福祉国家の限界を超えるために、各国とも「社会福祉施策と雇用労働施策の統合」が求められるようになっているのである。

 なお、このような自立支援とワークフェアという考え方に基本的に対立する議論として、「全ての人が無条件で生活に必要な所得への権利を持つ」とする「ベイシック・インカム」論がある。民主党の「所得制限なしの子ども手当」や「給付付き税額控除」の導入論は、このベーシック・インカム論への展望をもっているとも言える(参照:山森亮『ベーシック・インカム入門』光文社新書、20092月)。

 

 

3、就業構造基本調査について

ここでは、この貧困問題のひとつの基礎となっている、雇用の不安定化のひとつのかたちとしての非正規労働者のありようを、大都市としての京都市を取り上げ、15歳以上人口が130万人程度とほぼ同じ規模の神戸市、および全国平均とを比較しながら見ておくこととしたい。対象は就業構造基本調査である。

就業構造基本調査は、昭和311956)年に第一回が行われ、3年に1回行われてきたが、昭和57982)年以降は5年に1回行われている。最近の調査は平成19(2007)101日現在で行われた。全国で45万世帯を抽出調査し、その世帯に居住する15歳以上の世帯員を調査している。京都市では5700世帯を無作為で抽出した。本調査の数値は、百の位未満を四捨五入している。地域統計としては、都道府県別および県庁所在都市と人口30万人以上の都市についてインターネット上で入手できる。

 

(1)増加に転じた有業者(表1)

 有業者とは「ふだん収入を得ることを目的として仕事をしており、調査日(07101日)以降もしていくことになっている者および仕事は持っている者」をいう。言い換えれば自営業者、家族従業者、雇用者など「働いている人」全体である。

京都市の平成1907)年の15歳以上人口(総数)は、12855百人。これは5年前の前回調査より13800人の増加である。比較都市である神戸市の15歳以上人口は1331千人で、同じく前回調査より17500人の増加である。全国の15歳以上人口はこの間に1.03%増えているが、二つの政令市は京都市が1.09%、神戸市が1.33%と全国平均より増加しているといえる。ただし、人口の高齢化も同時に進んでいることも指摘しておかねばならない。また男性の15歳以上人口は減少しているが、女性の15歳以上人口は増加し、それが総数の15歳以上人口を増やしているのである。

 京都市の07年の有業人口は749500人で5年前に比較して3.7%、72300人増加している。神戸市も73600人で、3400人増加となっている。この有業人口の増加は京都市の場合、07年に15年ぶりに増加に転じたものである。同様に神戸市も15年ぶりの増加に転じている。

 また有業率について見れば、京都市は58.3%で前回調査より1.4ポイント上昇している。同様に神戸市も54.9%と5年前より1.6ポイント上がっている。注目したいのは、京都市のほうが神戸市よりも有業率は3.4%(07年で)も高い点である。なお全国平均では59.8%である。

 

(2)有業者増は非正規労働者の増が主な要因

この有業率の上昇が07年に生じた理由は、おそらく正規労働者のリストラと、パートや派遣、嘱託・契約社員への置き換えが進んだ結果であると考えられる。

 就業構造基本調査の全国的な傾向では、パートや嘱託・契約社員、派遣などの非正規労働者の割合は役員を含まない雇用者のうち、平成42002)年の21.7%から平成192007)年の35.5%にまで急激に上昇したことがわかる。15年間で15%程度上昇し、雇用者の5分の1から3分の1になったことになる。大都市ではこの非正規労働者の割合は全国よりも高く、神戸市の場合は、同じ時期に22.9%から38.9%にまで上昇している。なお京都市の場合は平成192007)年に40.6%と神戸市よりも非正規労働者の割合が高く、全国よりも5.1ポイントも高くなっている。

 

(3)男性の有業率はほぼよこばい、女性の有業率が上昇した

 この大都市での有業率の上昇は、女性の有業率の上昇によって生まれたものである。京都市では、男性の有業率は02(平成14)年の69.1%から07(平成19)年の69.3%に若干上昇したが、神戸市では同時期に66.9%から66.6%にやや減少している。京都市の場合は、男性の50歳から64歳の有業率がやや上昇したことが影響している。いずれにしても有業率上昇への男性の寄与度は大きくない。

 一方で女性の有業率は京都市でこの5年間で45.9%から48.5%に、2.6%も上昇した。実数では222百人の増加である。神戸市では41.2%から44.6%に3.5%上昇している。実数では294百人増えている。

京都市で見ると女性のうち年齢別では15-19歳層から55-59歳層の全てで有業率が上昇している。特に35-39歳層と40-44歳層の有業者の増加が大きい。推測になるが、この女性有業率の上昇は、ひとつは晩婚化による就業度合いの高まり、第二には、男性のリストラや非正規労働者化によって主婦層が家計補助的なパートなどに進出した結果ではないかと考えられる。同じ傾向は神戸市でも見られる。このため、保育所や学童保育への需要がここ数年高まっていると思われる。行政はこの女性有業者の増加に十分対応できていないのが現状である。

 

(4)M字カーブは浅くなっている

 女性の有業率がほとんど全ての年齢層で上昇した結果、女性の有業率のM字カーブはゆるやかに解消しつつある(京都市レポート6頁、図-3)。この5年間(02-07)でも、15-19歳層で9.5%、20-24歳層で9.3%、25-29歳層で5.3%と10-20代で有業率の高まりが大きい(京都市レポート、表6)。また35-39歳層で6.7%、40-44歳層で9.7%、の増加である。保育所や学童保育を充実させればこの傾向はもっと強くなると思われる。ただしすでに触れたが、この女性有業率の上昇はパートなど非正規労働者の拡大に結びついているのである。したがって、これら非正規労働者と正規労働者の「均等待遇」の条件を整えることも、大都市自治体にとって緊急の課題となっている。

 

(5)減少した正規労働者

 京都市の正規労働者は平成1907)年には336500人で、これは5年前に比較して7800人減。有業者に対する比率は47.6%から44.9%に低下している。全国的には、34557千人から343242千人に232800人も減少した。正規労働者の有業者人口に対する構成比はこの5年で53.2%から52.0%に下がっている。(神戸市の場合は、2002年の調査で、家族従業者が過大となっているようで、比較することができない。おそらく家族従業者とされているもののうち、15千人から16千人程度が雇用者とカウントされるべきものだったと推測される。02年の家族従業者が23800人、07年は6千百人であるので、この差は雇用者にカウントされるべきものであろう。)

 

(6)非正規労働者は増加、比率も上昇

   京都市は自営業の比率が高い

 ここに言う非正規労働者は、パート、アルバイト、派遣労働者、契約・嘱託社員、その他、である。

 京都市の場合、従来から学生人口が多く、アルバイトへの依存度が高いといわれてきた。その点を含め、検討する。

 京都市の平成192007)年度の非正規労働者は23万」200人、有業者に対する比率は30.7%になった。役員を除く雇用者のうち非正規労働者の割合(非正規労働者比率)は40.6%という高率である。雇用されている人の4割以上が非正規労働者という状況である。

5年前の02年には、非正規労働者は201400人、有業者に対する比率は27.9%で、5年間にこの比率は2.8%も上昇したことになる。非正規労働者比率は36.9%で、これも5年間で3.7%のアップである。非正規労働者数は5年間で28800人増えている。

 神戸市の場合は、非正規労働者は07年で238800人、有業者に対する比率は32.7%で、京都市よりも2%ほど高い。これは、自営業者の比率が両都市ではかなり違うことが影響していると思われる。京都市の自営業者の有業者に占める割合は07年で13.0%、02年でも12.8%もある。神戸市の同比率は07年で8.8%であるから、4.2%も差がある。全国的には自営業者の割合は07年で10.1%、02年で10.8%であるから、京都市はこれをかなり上回ることになる。全国的には自営業者は減少傾向にあるが、京都市では構成比がやや上向いているのは注目したい。

 

(7)パートは大きく増えた

 非正規労働者のうち最大の比重を占めるのはパート労働者であり、その増加の程度も大きい。京都市の場合、07年のパート労働者は93700人で、有業のうち12.5%である。02年には82400人だったので、11300人の増加である。増加率は5年間で13.7%になる。非正規労働者のうちパート労働者の比率は40.7%である。

 神戸市の場合、パート労働者の比率は京都市より高い。07年のパート労働者数は109900人、有業者の15.0%がパートになる。02年の神戸市のパート労働者数は89170人、有業者の12.8%であったので、対有業者比率は2.2%大きくなった。伸び率は5年間で22.5%という大幅な伸びである。非正規労働者のうち07年で45.9%がパート労働者だというのが神戸市の特色である。パート労働法が改正されたが、大都市としてもこのようなパート労働者の正規労働者との均等待遇(特に年金や医療保険、給与など)について、労働基準監督署や経営者団体との協力のもとに心を砕き、政策化する必要がある。

 全国的にはパート労働者は07年に8885千人となり、02年の7824300人から106700人の大幅増となっている。伸び率は5年間で13.6%。有業者に対するパート労働者の比率は02年の12.8%から07年には13.5%に上昇している。

 

(8)確かに京都市はアルバイトへの依存度は1割と高い

京都市では07年のアルバイトの数は74800人で、有業者数の10.0%を占める。02年では71100人、9.8%。京都市においては、アルバイトは有業者人口のほぼ1割を占め、安定した非正規労働者層を形成しているようである。

 神戸市ではアルバイトは07年には54900人で有業者の7.5%である。02年の58500人から若干の減少となっている。確かに京都市はアルバイトへの依存度が神戸市より高いことがわかる。全国的にはアルバイトは有業者人口の6.2%である。

 

(9)契約社員・嘱託社員

 京都市の嘱託・契約社員は07年に36500人、有業者数の4.9%を占める。これは02年の27500人からはかなり増えている。このときには有業者の3.8%であった。神戸市では、07年には4100人、5.5%。02年には28900人、4.1%であった。実数も構成比も上昇してきている。

 07年の全国数値は嘱託・契約社員は2126千人。有業者比は3.2%。02年には2477300円、3.8%であった。この5年間で351300人とかなり減少したことになる。この原因は不明だが、数的な比較では、派遣に入れ替わっている可能性もある。

 

(10)女性の非正規労働者の増加

 先にも触れたが、有業者数が増加しているが、その内容は女性の非正規労働者の増加によるものである。その女性の非正規労働者の状況を簡単に見ておこう(表3)。

 京都市の場合、07年の女性の非正規労働者数は153700人で有業者数の46.5%であった。02年の女性非正規労働者数は134400人、比率は43.6%。人数では19300人の増加、伸び率では5年で14.4%増である。確実に女性の非正規労働者かが進んだのである。役員を除く雇用者に対する非正規雇用率は07年、57.8%に達した。02年は55.1%。つまり雇用されて働いている女性の約6割は非正規雇用なのである。

 神戸市ではこの女性非正規労働者への依存度はさらに大きい。07年には59.4%、02年では57.9%となお非正規の割合は上昇し、おそらく現在は60%を超えているのではないかと思われる。なお、神戸市では07年の女性非正規労働者数は168300人。有業者数比率は53.3%。この数字は02年には139500人、48.8%だった。5年間の増加数は28800人、増加率は20.6%と京都市をかなりオーバーしていることがわかる。

 

(11)京都市の場合女性パートの対有業者比率は25.4

 京都市のパートは07年に83800人、対有業者比率は25.4%である。02年の数字は76千人、24.7%で女性パート労働者数と比率はやや上昇している。実数では7800人増、伸び率は5年で10.3%増である。

 神戸市では07年では101500人、32.2%の対有業者比率であった。ここにも神戸市のパート労働者依存の高さが出ているといえる。ただし、この数字は02年比で言うと極めて大きな伸びであって、少し留保したほうがよいとも考えられる。02年の神戸市のパート労働者数は41900人、対有業者比率は14.6%であって、京都市と比較しても10%も低いのは疑問の余地があるからである。伸び率は242%となっているので、これも説明が必要である。

 

(12)女性派遣労働者も大きく増加している

 京都市の女性派遣労働者は07年で8600人、有業者の2.6%。02年には6千人で1.9%だった。2600人増え、伸び率は43.3%%の増である。ここでも派遣へのシフトは明確である。

 神戸市では07年には女性派遣労働者数は14300人、対有業者比率は4.5%と京都市に比べてかなり高い。02年に比較すると8900人から5400人増え、伸び率は60.7%と大きい。

 全国的には、女性派遣労働者数は998200人、対有業者比率は3.6%となっている。なお、全国の男性派遣労働者数は07年で609300人、対有業者比率は1.6%である。ちなみに京都市の場合、男性派遣労働者は075600人、1.3%である。

 派遣労働者の持つ課題は、圧倒的に女性派遣労働者の問題でもあることを改めて認識する必要がある。

 

まとめ

 京都市を中心として就業構造基本調査の2007年と2002年とを素材に、神戸市や全国平気とを比較しながら検討してきた。この検討で改めて整理しておこう。

(1)、自営業者、正規雇用者、非正規雇用者を含む有業者数は、この5年間に増加した。しかし、それは男性の正規雇用者の減少を、女性の非正規労働者の増加でカバーしてきた結果であるように見える。

(2)、京都市の自営業者は神戸市に比較して厚い。

(3)、非正規雇用への依存度は神戸市のほうがかなり高い。特にパートの増加が神戸市の場合高い。

(4)いずれにしても、大都市の場合、この5年間に女性の非正規労働者は雇用者(役員を除く)の6割近くに達している。

(5)その結果、女性有業者比率のM字カーブは急速に浅くなっている。しかし、そのために生まれる保育所や学童保育に対する需要に行政は応え切れていないようだ。依然として財政難を理由に、市民のこの需要シフトを無視した保育所の統廃合など逆方向の政策パラダイムから抜け切れていないと見られる。

(6)しかし、労働条件の悪いこれら非正規労働者の急増に対して、その雇用環境の整備や正規労働者との均等待遇への努力こそ、都市居住にとって決定的に重要だとの合意形成が遅れていると言わざるを得ない。

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