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02年度政府予算の特徴と課題
新たな開かれた福祉社会の実現に向けて

(初出:全農林『農村と都市を結ぶ』02年4月号)

奈良女子大学 澤井勝


目次
1、国債30兆円を前提とした超均衡予算
2、政府予算で課題とされていたこと
3、重点7分野の意味
4、政府予算を見る視点のいくつか
5、デフレスパイラルの構造
6、「需要創出型の構造改革」を
7、雇用の創出、失業の解消こそ予算の中心に
8、雇用構造の転換を通じた需要構造の転換へ
  そのためにソーシャルサービスの地域的展開を

1、国債30兆円を前提とした超均衡予算
 02年度の政府予算は、01年12月19日の財務省原案の決定で、歳入歳出総額81兆2300億円となった。この当初予算規模は、前年度に比較して、1.7%のマイナス、額にして1兆4224億円の減少であり、超均衡予算といえる。
 歳入では、租税印紙収入が49兆8160億円と50兆円を割り込み、マイナス7.7%の減少となっている。これは、01年のアメリカ経済の落ち込みと、日本経済のデフレスパイラルの深化によって、所得税、法人税ともに落ち込んだ結果を反映している。
 歳出では、一般歳出が47兆5472億円と、対前年度比2.3%の減となっている。これは、公共事業費10%削減などの抑制効果が、当然増経費の増加分を相殺することになったためと思われる。
 この予算は、「新規国債発行枠30兆円の改革断行予算」(平成14年度予算編成の基本方針 平成13年12月4日閣議決定)とされている。
 その主な柱としては、新規国債発行枠を30兆円に抑え、財政規模の膨張に歯止めをかけるとともに、政府債務の拡大する伸び率を小さくすることが、目標とされていた。

2、政府予算で課題とされていたこと
 この「改革断行予算」において、何を実現するものとして政策課題が整理されていたのであろうか。先程の閣議決定(01年12月4日)をもう一度見ておこう。
 第一には、「改革断行予算」としている。内容は、「国債発行30兆円以下」との目標の下、歳出構造を抜本的に見直すという。いわゆる「5兆円を削減する一方で重点分野に2兆円を配分する」という理念を掲げ(これが理念だとは思えないが)、予算配分を「大胆にシフトする。」その際の原則は、「民間でできることは民間に、地方でできることは地方に」だという。
 またつぎのようにも言う。「予算の配分に当っては、まず、高齢化の進展など経済社会構造の変化に適合した安定的な制度構築を前提とすることが重要である。同時に、中期的な経済の生産性の向上や民間の潜在的な活力を顕在化させる効果及び最近の雇用情勢を踏まえ雇用創出効果について重視すると共に、新たな財政ニーズに的確に対応することが適当である。
 さらに、改革に伴う当面の負担を国民が分かち合うことにより、社会的弱者に「痛み」が集中しないように配慮することが適当である。」

 ここでは、「歳出構造を抜本的に見直す」としているが、このことには全く異議はない。問題はその歳出構造の見直しが、何をどのように行われるべきか、一切述べられていない点である。これでは、何でもよいということになりねない。それ以上に問題なのは、わが国がどういう方向に、何を理念として進もうとするかのイメージがないのである。
 国民が、あるいは住民がどういう方向に進むかについての議論する素材も示されていない。空疎な「抜本的見直し」という器だけが示されている。どういう社会的なあるいは歴史的な価値を実現しようとしているのか、それを示す能力が欠如しているのではなかろうか。そのことは当然といえば当然かもしれない。市場万能主義に傾斜しやすい閣僚と経済官僚にとっては、合理的に行動する個人がモデルであるから、経済的損得の情報が適切に提供されるような「規制緩和」社会が実現できればいいはずだからである。このような形式的な、機会の平等という器に「新しい教科書を作る会」のような、歴史的なアナクロニズムが接木されるということもよく起こる。

3、重点七分野の意味
 このような欠落した理念あるいは理想を埋めるものとして、持ち出されているのが「重点七分野」だと思われる。この重点七分野は、01年6月26日の閣議決定、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」において言及され、予算編成の枠組みの一つとして扱われてきた。それは次の通りである。

(1)循環型経済社会の構築と環境問題への対応
(2)少子・高齢化への対応
(3)地方の個性ある活性化、まちづくり
(4)都市の再生
(5)科学技術の振興
(6)人材育成、教育、文化
(7)世界最先端のIT国家の実現
 この重点七分野は、それなりに解りやすい。これらの7分野に集中的に財政資金を投入することができれば、それなりの仕事にはなるであろう。しかし、この7分野も中央省庁の縦割り割拠主義の上に花開いたという感じは強い。したがって、全体としてどのような生き方を選択するか、というメッセージ性に欠けることになる。
 特に(4)の「都市の再生」は、その内容はバブル経済を担った、いわゆる「中曽根民活」を再度実現しようとすることと、どれほどの違いがあるか疑わしいと言わざるを得ない。たとえば次のような文章が掲げられている。
 「多くの経済活動が行われている都市の再生は重要な課題である。この「都市」の魅力と国際競争力を高めるため、都市再生プロジェクトの推進と民間都市開発投資の促進を図ることにより魅力ある都市の再生を実現する。
 このため、民間主導の再開発事業を円滑に進めるための大胆な規制改革を実施し、例えば。大都市の骨格としての環状道路と周辺地域の再開発事業の一体的整備を推進するなど、都市機能の一層の高度化を図る。。
 また、都市生活を送る住民のアメニティー向上に関する関心が高いことも踏まえ、PFIを活用した公共施設の整備や交通渋滞の解消など都市生活の質を高めるための環境整備に、施策の優先度を踏まえつつ、取り組む。」
 ここにあるのは、民活型のハードな再開発事業への指向性のみといってよく、バリアフリーなど他の重点課題と整合性を欠く内容だといってよい。望ましい「都市の再生」とは、人間が人間らしく安心して住み、暮らし、育て、楽しむ都市空間とコミュニティの再生のはずであるが、そのような政策思考は見られない。つまりハード面に偏った、都市再開発(地上げ)的な思考が強いのである。

4、政府予算を見る視点のいくつか
 予算を見るための視点は多々あるであろうが、21世紀の初めにあたって、わが国と世界経済が抱える問題を、財政政策として対応する予算となっているかどうかが第一の視点である。
 では、わが国と世界経済が抱える問題とはなんであろう。第一には、中長期的な課題がある。その中長期的課題とは次のような諸点であろう。

(1)政府債務を解消するような財政構造改革という課題
(2)土建国家という歳出構造の改革
   利権と口利きの政官財学の癒着構造の解体
(3)国民負担率の水準を引きあげ、租税国家としての基本を再建する課題
(4)経済を活性化させ、国民の主体的な力を引き出すような財政政策の確立
(5)世界経済のグローバル化に対応して、
   競争力ある、そして近隣諸国との協働を育む財政政策の確立
(6)政府の透明性とアカンタビリティーを確立するための予算と決算
(7)少子・高齢化社会に対応し、年金、医療・福祉など国民生活の安定と安心を保障しうる予算
(8)地方分権を推進する予算改革
   税源の地方移譲と国庫支出金制度の改革の方向を明確にした予算

5、デフレスパイラルの構造
 そして短期的には、デフレスパイラルに陥っているともいわれる日本経済の苦境を脱却して、経済活動を一定の水準にまで引き上げる財政政策としての予算、が求められる。
 このデフレスパイラルとは、経済活動が次のようならせん状の下降局面に沈み込んでいくことを指している。
 一般には、物価(消費者物価と卸売り物価)の下落によって、売上高が低下する。このため企業収益が収縮し、売上高利益率等が逆調に転じて企業経営を圧迫する。この結果、コスト引き下げのため、部品等の納入価格の引き下げ圧力が高まるとともに、雇用調整という名の人員削減、賃金の引き下げによって給与所得の減少となる。このような、雇用不安、経営不安にともなって消費が減退する。これが在庫の増加となって経営を圧迫し、また設備投資にも慎重になる。これらの複合的な要因によって国内需要が減退し、ものが売れなくなる。
 こういった物価下落、企業収益悪化、雇用調整、所得の後退、消費の低迷から縮小、設備投資の減退、住宅建設の低迷、というラセン条の経済活動の縮小が、デフレスパイラルと言われる状況を指すとされている。(以下の議論は澤井勝「平成第二次不況と地方財政危機」を参照されたい。『分権改革と地方財政』敬文堂2000年、250頁以下。)

このデフレスパイラルは、それの原因とも結果ともなる、副次的な渦をもっている。

(1)信用収縮スパイラル(クレジット・クランチ)
景気後退に伴う企業業績の悪化による金融債権(融資)の回収困難→不良債権の増加→信用不安の拡大→自己資本比率など国際基準の遵守義務(グローバル・スタンダードというくびき)→貸し渋り・債権回収→融資先企業の倒産、整理→不良債権のさらなる拡大→金融システムの崩壊
(2)信用不安と株安スパイラル
信用不安の拡大→銀行株などの株下落→企業、金融機関の資産内容の悪化→バランスシート調整のための資産内容調整→保有株式の売却→株価の下落
(3)雇用・消費減退スパイラル
不況の深化・長期化→雇用調整すなわちリストラの進行(希望退職から解雇まで)→完全失業者の増加と失業率上昇→一方で残業減少、手当てのカット、ベア凍結、本俸部分のカット→雇用不安と所得マイナスの状況に→消費を抑えて貯蓄へ→家計消費の減退、最終消費の低下、縮小→有効需要はマイナスに→一層の価格下落
(4)設備の過剰化スパイラル
バブルの崩壊→バブル期の過剰需要に対応した過剰設備の表面化→過剰生産と売れ残り→在庫増加による経営悪化→減収・減益→設備投資の低下→鉱工業生産の低下→一層の需要の減少→価格の低下
 このようなデフレスパイラルからの脱却のために、予算政策あるいは財政政策は万能ではない。しかし、主体的に状況を変える手段としての予算政策、財政政策は、なお極めて重要なツールである。そして、この短期的な危機を乗り切るための政策は、同時に先ほどの8つほど指摘した中期的・長期的な課題を解決する手段としても組み立てられなければならない。短期と長期の政策は、その方向性において同じでなければならない。少なくも相反するものではないことが求められる。

6、「需要創出型の構造改革」を
 このようなデフレスパイラルから日本経済を脱却させるためには、この図式をもう一度よく見る必要がある。
 出発点としての物価下落は、スタート地点のように見えるが、実はそうではない。物価が下がる原因としては、第一には需要と供給のバランスが中期的・長期的に崩れて供給過剰の状態が続く、あるいは第二には外国の低コスト製品が大量かつ構造的に輸入され国内の高価格商品を駆逐する(ユニクロ現象、ねぎなど中国産野菜)、あるいは第三には外国為替市場で円が買われてて円高状況が続くことによって輸入物価が下落する、などの原因がまず挙げられる。
 この中でも、基本は供給に対して需要が対応しないで過小になっているという事実であろう。したがって需要を拡大し、その構造を変えるとうな予算と財政政策がとられてよいはずである。このことを、島田晴雄慶應大学教授も「需要創出型の構造改革を」(日本経済新聞02年3月12日「経済教室」)で、少し長いタイム・スパンから論じている。

 問題なのは、需要とは何かということが明快ではない、というところにある。あるいは需要とは何かということについての、広範な合意が得られていないという点である。
 言うまでも無く需要とは有効需要のことである。有効需要とは、貨幣を持って商品やサービスを買うことの出来る需要(これをニーズということにする)で、単なる欲望や願望(これをウオンツという)とは異なる。つまり、なんらかの貨幣的裏打ちがあって需要が有効需要に、(先の島田論文流に言えば、ウオンツがニーズに)なるのである。そして、国民所得や国民総生産をあつかう国民経済計算において、最大の需要項目は個人消費あるいは民間最終消費である。下記の表のように、民間最終消費は国民総支出の概ね55%を占める。

表 GDP速報値(01年10−12月期)
実質:季節調整済み、年換算
内閣府経済社会総合研究所ホームページの速報値を加工した。
国内総生産524.2(兆円)シェア(構成比)
国内需要515.198.2
民間需要390.074.7
民間最終消費支出291.555.6
民間住宅18.63.5
民間企業設備81.915.6
民間在庫品増加-2.2-0.4
公的需要125.323.9
政府最終消費支出90.117.2
公的固定資本形成35.26.7
公的在庫品増加0.10.0
財貨・サービスの純輸出9.11.7
 つまり、この個人消費を拡大することこそデフレ脱却のための第一の課題でなければならないはずである。個人消費がこのデフレ過程で縮小し、経済の不活性化の最も大きな、底辺的な要因となっていることは既にいろいろ指摘されている。このように個人消費が冷え込んできた最大の要因は、「雇用不安」である。企業のコスト削減の最大のターゲットとしての人件費削減。希望退職の募集、早期退職制度の導入、リストラクチュア、など将来に雇用不安を抱えて、人々は「貯蓄」をする。消費は伸びないし、そればかりか減少することにもなる。
 それに、年金保険と医療保険に対する不安と不信も、個人的な貯蓄を促進し、消費を抑制することとなっている。

 もちろん、今回の長期不況の根本的な原因として、供給サイドの構造的疲弊と劣化があることは指摘されている通りである。従って、「当面は銀行部門の圧縮・再生、不良貸し出し先の整理・リストラ、肥大化した公的部門の解体・縮小が不可欠である。その結果、マイナスの成長率と高い失業率が3、4年は続くだろう。それを越えるのに社会的なセイフティーネットの補強が必要だろう。」(小宮隆太郎「日銀批判、見当違い多い」日経、03年03月11日「経済教室」)。これに、雪印食品などによる食肉販売における詐欺師的な行動によって傷ついた生産者の信用の崩壊を、そして金融システムへの不信を、これら生産者と金融機関のモラルの再構築と一部市場からの退場によって再建することなども求められる。
 このような、サプライサイドの構造改革を適切に進め、そこから生じる、雇用不安や年金、医療制度等への不信感を、安心感に転換できるような政策のパッケージこそ求められている。

7、雇用の創出、失業の解消こそ政府予算の中心
 以上に見たように、国民、庶民の雇用不安を解消することによって、消費を拡大しデフレスパイラルを脱却するというコースこそ、この構造改革予算(もしも構造改革予算と呼べるなら)の中心の課題でなければならなかった。これを、「みんなで痛みをわかち合うことが大事」などと、痛みを他人事のように扱ってはならないのだ。つまりこのように「痛み」を自らのものと感じることが少ない人々が「構造改革」を主張しているのだということが、ようやくはっきりしつつある。
 アメリカは、レイオフを簡単にするし、「ファイアー!」とばかりに契約社員を首にする場面も映画にしばしば登場するお国柄である。しかし、一方で、失業に対する政治的感受性は非常に鋭いところがある。またイギリスにおけるケインズの場合でも、その経済学の第一の古典が、「雇用・利子および貨幣に関する一般理論」であるように、完全雇用の実現が最大の理論的関心であるところにその真骨頂がある。それはジョーン・ロビンソンなどのケインズ経済学を創造した研究者にあっても同様である。
 さらに、この3月9日の新聞(日経朝刊)には次のような記事があった。「米大統領 失業に警戒緩めず 雇用創出『あらゆる手だて』」という見出しで、「ブッシュ米大統領は八日、二月の米失業率が二ヶ月連続で低下したことに「(景気回復を示す)様々な経済指標が増えているが、今なお多くの人が失業に苦しんでいるのが心配だ」と語り、引き続き雇用創出にあらゆる手だてを打つ考えを示した。訪問先のフロリダ州セントピータースバーグで記者団に表明した。
 二月の失業率は前月より0.1ポイント低下し5.5%になった。非農業部門の雇用者数は七ヵ月ぶりに増え、雇用面からも米経済の好転を裏づける結果となった。しかし大統領は「人々の生活は昨年九月十一日の同時テロで大きな影響を受け、多くの人がなお傷ついている」と指摘。同時テロの影響で失業した人の問題は解消されていないとの認識を示した。
 米上下両院が八日までに企業減税や失業保険給付の拡大を柱とする新たな経済対策法案を可決したことに対して「労働者と経営者の双方にとって本当に良いことだ」と述べ、法案成立に向け近く署名する考えを示した。」
 もちろん劇場国家の大統領としての発言であって、その点は割り引かねばならないだろうが、わが国の宰相や主な政治家にはこのような発言すらない。それだけ雇用問題と失業問題に対して、感度が低いと言わざるをえない。このような失業に対する感度の低さは高度経済成長惰性のひとつである。わが国経済は長らく、マクロ的には低失業率と労働需給逼迫のもとにあったから、失業が政治課題になりにくかったという事情もある。

8、雇用構造の転換を通じた需要構造の転換へ
   そのためにソーシャルサービスの地域的展開を

 いずれにしても、高度経済成長とその後のバブル経済を推進し、そのために過大な負荷を抱えているわが国の財政とその歳出構造の転換を着実に図るためには、その基礎としての雇用構造の転換を可能にする、雇用労働政策を、全ての省庁の予算において(もちろん農水省予算においても)確立する必要があるといえる。
 先程の島田晴雄論文では、「今日の日本の最大の問題は、新しい歴史的段階に入った経済社会のウオンツをニーズに転化させるための経済社会システムや経営モデルの思い切った革新ができないところにある。」とし、そのために、「高齢者のケア問題」、「子育て支援」、「住宅問題」において不安や不便を解消出来ないでいると指摘。この問題を解消するには、「高齢者ケアや保育で、保護や規制が撤廃されれば、民間企業が参入し人々の膨大な潜在需要は巨大なサービス産業に転化するだろう。そうなれば補助金は本当の社会的弱者の支援に集中できる。(中略)同様な問題と可能性は、(住宅)、医療サービス、健康づくり支援、社会人教育、都市整備、生活者移動支援、法務サービスや環境ビジネスなど多くの領域に伏在する。」と述べている。
 概ね正しい指摘だが、やや欠けているのは、(他の論文で触れられているかも知れないが)規制緩和でサービス量を増加させることができるかどうかは、企業者の企業マインドの形成度合に大きく左右されること、またサービスの利用者側の意識改革が求められるという観点である。すなわち構造政策が強力に進められないとならないという政策的視点が必要なのだ。そういった点では、規制「緩和」をも含むが、一方で新たな社会的な規制の創出をも含む規制「改革」でなければならない。
 このためには、地域において、個々の労働者の働き方をサポートする、徹底した相談業務と教育・訓練のための支援サービス、カウンセリング、資金的援助の実施体制が敷かれる必要がある。イギリスのブレア改革の主要政策として再編されているソーシャルサービスの展開が具体的な課題なのである。
 このような施策の展開によってわれわれはどのような社会を創るのか。それは、中央集権型の福祉国家ではなく、応答責任を果たす中央政府と自立した地方自治体、そして自らを自律的に組織した市民とが協働してつくる福祉社会でなければならない。市民がコミュニティーを再構築し、ゆたかなアソシエーションを世界に向けて開いていく、そのような福祉社会こそが望まれていると思われる。

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