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自主課税権の活用のために

2002年9月20日 於:都ホテル大阪
奈良女子大学 澤井勝

1、自主課税権の意義
 わが国の現行地方制度においては、各地方自治体の課税権は、地方税法によって法定されている。課税できる税目、課税客体、課税標準、税率について地方税法が定める。その上で具体的な課税行政は、各都道府県および市町村の税条例によって行われ、各税が賦課徴収される。課税自主権の観点から言えば、各自治体の裁量と意思で、課税できる範囲はかなり限られている。
 しかし、小さいとはいえ制度的に可能な自主課税の可能性を十分に生かしているとは、到底言えない。
 その理由のひとつは、多くの地方自治体では、住民に対して増税になりかねない自主課税権の行使をためらい、国や他の団体との権衡を過度に重視する傾向があるからだと思われる。その中で最近の法定外税(三重県の産業廃棄物税、杉並区のレジ袋税、神奈川県の臨時企業特別税など)、いわゆる銀行税、自動車税のグリーン化、ロードプライス税の検討などは注目に値する。

2、分権一括法以前(2000年3月以前)

(1) 税率における自主課税すなわち超過課税(法1条5号)
標準税率を超えて制限税率までの間で条例で定める
例:
  1. 固定資産税 1.4%の標準税率を超えて課税している団体は207団体(平成13年4月1日現在)
  2. 道府県法人住民税法人税割 46団体(同)
  3. 法人事業税         7団体
  4. 市町村法人住民税法人税割 1430団体
  5. 市町村民税個人均等割     18団体
  6. 同法人均等割        573団体
および不均一課税(法6条2項) 不均一超過課税
自動車税のグリーン課税(平成13年度地方税法改正)
先駆は東京都の条例改正(平成12年度改正で13年度から)
(2)選択的課税
法人事業税の外形標準課税
東京都、大阪府のいわゆる銀行税
 地方税法72条の19(事業税の課税標準の特例)法人の行う電気供給業、ガス供給業、生命保険事業および損害保険事業以外の法人または個人の行う事業に対する事業税の課税標準については、事業の状況に応じ、****資本金額、売上金額、家屋の床面積若しくは価格、土地の地積もしくは価格、従業員数等を課税標準として、***用いることができる。
(3)法定外普通税
別荘税(熱海市)
山砂利採取税(城陽市など3団体)
商品切手発行税(現在は消費税に吸収されて全て廃止)
核燃料税(原発所在県)
ヨット税(神奈川県三浦市、現在はない)

3、地方分権一括法による改正
  上記に加えて

(1)平成10年度地方税法改正
1) 個人住民税均等割および所得割の制限税率撤廃
2) 個人道府県民税所得割における標準税率を採用しない場合の事前届け出廃止
 この個人住民税や固定資産税の税率引き上げは、地方税税法の枠内で可能である。そしてこの税率引き上げこそ、課税自主権の本筋である。

(2)法定外税について(2002年4月1日施行)
1) 国の許可制から同意を要する協議
2) 同意要件から税源の存在と財政需要を除外
3) 法定外目的税の創設
  三重県の産業廃棄物税
  杉並区のレジ袋税
  河口湖の遊漁税
  東京都のホテル税
  横浜市の勝ち馬投票券税(係争中)
   不同意から国地方紛争処委員会へ、さし戻しで再協議中

4、分権改革の意義と歳入の自治

(1)機関委任事務制度の廃止の効果。
1、法律の解釈権が地方自治体に付与されたということ
2、通達は基本的には失効。
  地方税関連通達も同様である。片山鳥取県知事の主張。
3、法解釈の基盤は、その自治体がどのようなニーズを実現しようとしているか
という理念である。
(2)地方債発行の自由化
1、平成18年度から全面的に協議制に移行。
2、地方債に格付け制度の導入が始まっている。
(3)ミニ公募債は群馬県から、大阪府も10月募集
(4)地方交付税制度の将来
(5)国庫補助負担金制度の特に建設事業補助金の原則廃止に向けて
   義務教育教職員給与費国庫負担制度の改正、いわゆる三位一体改革

おわりに、課税は説明責任を果たすことから、そのために

その1 政策評価システムの構築
    成果指標、まちづくり指標、
    アウトカム指標の構築と市民による評価システム
その2 情報公開の徹底
    たとえば 施設ごとの建設事業にかかる財源内訳
    維持管理費  これらの掲示
その3 住民、NPOとのコラボレーション
    公共的市民事業の創出と拡大 グラウンドワークなど
これらに成功する自治体は、起債の自由化による格付け市場で有利になる。
そして課税自主権の本筋である「税率の引き上げ」に積極的に取り組み条件をも確保することになる。

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