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政策を評価すること その根拠と優先度

(初出:『市政研究2000年春号 巻頭言』)

奈良女子大学 澤井勝

 地方自治体が現在実施している政策を評価するためには、その効果を計る基準が必要である。また、これからどのような政策を優先的にとりあげるかを定めるためにも、その優先度をなにをもって計るかが明確でなければならない。今回の特集でも、その点が基本的な論点である。

 現行の政策を評価するためには、まずその政策が政策として把握できる最小単位への事務と事業の分割が行われなければならない。これをゼロベース予算の用語でいえば、「パッケージ」ごとにくくることになる。そしてこのパッケージごとに、予算額と決算額、予算執行率、財源内訳とその確保状況が明示される。

 それにその政策が実現すべき政策目標が記述される。街路ならその街路の改修・整備によってどのような価値を実現しようとするのか。バリアフリーからユニバーサルデザインへという流れに沿うものか。在宅の高齢者への食事を届けるサービスであれば、そのことで何人の高齢者と家族がどのように生活の自立度を高められるか。代替サービスの有無はどうか。

 そして、その政策の根拠が明示される必要がある。その根拠とは、まず法律又はそれに基づく政令に根拠を置いた政策かどうか、である。分権改革の進む中で、地方自治体は法律の解釈権限を付与された。ということは、直接に法律又はこれに基づく政令によって仕事をすることを義務づけられたということでもある。

 言い方を変えれば、いわゆる通知とか通達といったかたちでの行政指導的な文書によって仕事をしてはならないということなのだ。あれこれの政策の法的な根拠は、と聞かれて通達名を書くことはできない。通達名にしかよれない仕事は、法的根拠なき仕事というほかないのである。そのような場合は、その通達の関連条文を明記して、根拠法令とすべきである。通達は、その仕事をするための参考資料にすぎないと開きなおるところから、当該条文の、分権改革時代にふさわしい、自律的な読み方が可能になっていく。

 政策の優先度(プライオリティ)を明確に示すためには、三つの側面からの選択基準が必要であるように思う。第一には、住民の直接的なニーズの把握である。住民意識調査でもよいし、利用者の意向調査でもよい。住民に対する定期的に繰り返し行われる調査、そして目的をしぼった調査こそその基礎である。ひとつの政策を立ち上げるための調査を、政策立案の不可欠な作業として定着させる必要がある。このような調査やアセスメントがないものは、査定の対象にしてはならないのである。

 第二には、基本構想や総合計画、老人保健福祉計画や障害者基本計画、都市計画マスタープランなどの、レベルの異なった計画のどこに根拠を置いたものかが、明確にしめされなければならない。場合によっては、事業の必要度が変わり、計画にない事業や、計画を前倒したり、変更をしなければならない場合もあろう。その場合も計画変更を、具体的に提案している事業計画でなければならない。計画を棚上げにしたような事業は認められないのである。

 第三には、専門性または国際性基準である。これは、地域の住民や事業者の意識の現状にチャレンジする基準といってもよい。地球温暖化ガスの排出抑制に向けたISO14000や、男女共同参画社会行動計画、などの基準がそれにあたる。

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