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合併自治体の現状と将来の展望

               篠山市の事例を検討する

    20071117日 近畿自治体学会フォーラム

奈良女子大学名誉教授  澤井 勝

於いて:篠山市中央公民館

 

 

1、   自治体財政の今後を決めるもの

(1)           マクロ的に。

    2011年、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化に向けての,a、歳出カット、b、税制改革の設計と実施状況。

   税制改革の議論。

1、消費税増税。複数税率の導入。

     2、空洞化した所得税改革。給付つき税額控除制度の検討。税率のフラット化の見直し(累進性の一部回復)。株式取引優遇税制の廃止。所得控除制度の見直し、など。

     3、ふるさと納税制度と住民税。

     4、法人税率引き下げ問題と課税所得の把握。

    経済成長、景気動向。特にサブプライム問題がグローバル経済に与える影響

    「格差社会」の広がり。a、所得格差の拡大と新しい貧困。b、地域格差と地方交付税の総額の確保の危機、交付税の変質(がんばる地方応援プログラムなど)。

(2)           ミクロ的(自治体レベルで)に、その1。総務省の規律の強化と省令による縛りに一喜一憂する「自治体」。

    新健全化法の4つの指標(実質収支比率、実質公債費比率、連結実質収支比率、将来負担比率)。

    財政健全化比率と財政再生比率(再建団体への道)。08年度決算から。

(3)           ミクロ的に(自治体レベルで)、その2。

    債務負担の整理がどこまで可能か。第三セクター等への債務負担行為と損失保障のあり方。地方債残高のコントロールと投資計画。

    人口減少の動向。少子化と高齢化。UIターン政策と定住政策。限界集落政策。都心活性化政策(まちづくり三法改正の有効性)。

(4)           集中改革プラン(2006年)など行財政改革の推進とその功罪。

    職員定数の削減と給与抑制は進む。職場の労働密度が高まる。専門性が要求される仕事が兼務に。臨職、非常勤、アルバイト、派遣への依存(偽装請負のおそれも)。

    いわゆるアウトソーシング。狭い経営感覚による「チープガバメント」と公共サービスの劣化のおそれと、行政責任(政治責任)の所在。「グッドガバメント」、すなわち「統治団体」、「政治団体」の復元に向けて。

    公共サービスの「市場化」はどこまで進むか。指定管理者、PFI事業の成功例と失敗例が明らかになる中でNPMの動きにブレーキがかかりつつある。

 

2、   合併自治体のその後と展望。いくつかの視点。

(1)           広域化への対応。地域審議会、地域自治区の取り組みとその展望。

(2)           合併特例債の濫用とその後遺症。

(3)           駆け込み事業とその後年度負担。

(4)           一体化施策のあり方。

(5)           地方交付税の「合併算定替」から「一本算定」への転換という難問。大きな標準財政規模から普通の標準財政規模に。

(6)           職員定数の削減がどこまで進むか。公共サービスの水準維持という約束とのハザマで。

(7)           住民自治組織や市民組織(NPO)などとの「協働」は進んでいるか。

3、   篠山市の場合。(財政指標の推移、類似団体指数、綾部市、駒ヶ根市との比較で)

   注:綾部市は1950年に7町村合併で市制施行。平成194月「水源の里条例」施行。駒ヶ根市は1954年に4町村合併で市制施行、1956年に宮田村が分村、後に宮田町。篠山市は97年法定協議会、994月に新市発足。今年で9年目、11年目の09年から地方交付税は減額に。

(1)           篠山市の合併の特徴。

    20世紀最後の合併(集権的、集中的合併という系列?)

    一郡合併の功罪。旧藩政時代からのしがらみ?

(2)           合併を見る視点。

    合併特例債の過大な活用。過大な起債算残高。

    大きな標準財政規模。合併特例の合併算定替から一本算定への軟着陸を探る。

    職員数はなお多い(これは合併自治体の通例)。これをどういう地域展望で、どこまで縮減するか、という課題。

    給与水準の見直しを含む人件費の抑制についての考え方。

    一部事務組合がないことのメリット。一方で、物件費が多く、施設管理の適正化が重要課題。市民参画の施設運営管理へ。

    地域振興基金依存の財政運営からの転換は可能か。幹部職員、一般職員、住民、そして議員など。

    地域のコミュニティの再生と再構築をどう考えるか。地域自治組織との「協働」による「新しい公共」をつくることは可能か。そのための時間的猶予期間を考える。

    例えば、地域福祉計画の策定とその実施による地域づくりの展望は?

    介護保険事業の位置。

4、   展望。分権型・分散型の共和国連邦的自治体へ。

(1)           経営からの政治の復権が必要、協働や市民参加は政治参加であり、「市民をつくること」である、という自覚が重要。

(2)           専門性の構築が求められる(職員定数の削減の中で)。各種の虐待防止法の権限を行使しうる見識とネットワーク力。若者就業を支援するカウンセラーの設置。自治体法務を担い、各課の法律の解釈運用を支援し、争訟を指揮できる専門家、そのネットワーカー。

(3)           地域ブランドの形成は東京や大阪との協働、世界との協働で。徳島県上勝町の場合。島根県海士町の隠岐牛ブランド。

(4)           地域自治組織の形成を支援する「地域担当職員」(例としての神戸市、京都府南丹市の旧美山町で健在な「地域振興協議会」など)。

(5)           地域の財政力の形成。

1、   地域の税制をつくる。法定外税、超過課税、課税と徴税の工夫。

2、   コミュニティ・ファンドの形成。ミニ公募債での基金形成。寄付金条例による町おこし基金。豊岡市の旧出石町のまちづくり公社。など。

3、   農業など地域の資源の再活性化。

 (6)現場主義の徹底と組織のフラット化。

 

 

 

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