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介護保険財政と介護保険料 奈良女子大学名誉教授 澤井勝 (村川浩一、矢部正治、松井奈美、村田美由紀編著『介護保険制度論』第一法規、2006年4月、所収、の草稿です。) |
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目次
学習すべきポイント 1、介護保険の財政構造 (1)介護保険の基本的な財政構造 (2)介護保険特別会計 (3)介護保険事業勘定 (4)介護保険財政の特色「出ずるを計って入るを制す」 (5)介護保険給付費の見込み額の推計 2、介護保険財政に係わる平成18年度からの主な改正 (1)新予防給付について (2)介護報酬 (3)地域支援事業について 3、介護保険料について 介護保険財政と介護保険料 学習すべきポイント 介護保険の財政について基本的な知識を把握する。わが国の介護保険は、保険という形をとっているが、財源的には、被保険者である高齢者と40歳以上の保険料および、国、都道府県、市区町村が租税などで負担し合う、相互扶助的な仕組みであることを理解する。 1、介護保険の財政構造 (1)介護保険の基本的な財政構造 わが国の介護保険の給付に必要な財源は、基本的には保険料で2分の1、租税で2分の1の負担とされている。これに、介護保険サービスの利用者が、自己負担分として給付額の一割を負担することとなっている。これがドイツの介護保険制度との大きな違いである。ドイツの介護保険制度の財源は、保険料で全て賄うのが原則である。 概念的に言えば、ある年度に10億円の介護保険給付(事業者の受け取りベース)が行われたとすると、そのうち1割が利用者の自己負担である。この自己負担分を除いた9億円(保険者ベースの給付額)について保険料と租税とで半分ずつ負担することとなる。 まず保険料は2種類ある。65歳以上の第1号被保険者が負担する割合は、保険者ベースの給付額の19%(第三次介護保険事業計画、平成18年度から20年度)とされている。この19%という割合は、第二号被保険者と第1号被保険者の割合である。この例でいえば、1億7100万円程度になる。これは市町村が賦課徴収する第1号被保険者の保険料を充当する。 40歳以上65歳未満の第二号被保険者の負担割合は、したがって保険者(市区町村)ベースの保険給付額の31%である。すなわちこの例では2億7千9百万円となる。この第二号被保険者の保険料は、第二号被保険者が加入する医療保険者(組合健保、政府管掌健保など)が特別徴収(企業主負担が2分の一ある)し、社会保険診療報酬支払基金にプールされる。この基金から、必要額が各保険者(市区町村)の介護保険等別会計に支払われてくるものである。 租税による負担割合は、国が2分の1、都道府県と市区町村が2分の1となっている。すなわち国の負担割合は保険者(市町村)給付費ベースの25%ということになる。このうち20%が「介護給付費国庫負担金」で各保険者に一律に交付される。残りの5%分は「調整交付金」とされ、2種類ある。 普通調整交付金は、75歳以上の後期高齢者の割合が高い市町村ほど要介護高齢者の出現率が高くなり、ひいては給付額に格差が生まれるため、また、低所得者が多い市区町村ほど保険料基準額に格差が生じるため、これらを調整するために保険料で賄うべき部分(19%)を調整するためのものである。 特別調整交付金は、災害等による保険料や利用料の減免を行った市町村に交付されるものである。 地方自治体による租税による給付費の負担は、都道府県が保険者ベースの給付費の12.5%、市区町村が12.5%とされ、それぞれの一般会計から市区町村に設けられた介護保険特別会計に繰り入れられる。 (2)介護保険特別会計 介護保険の財政は、基本的には、介護保険制度運営の主体、すなわち保険者である市区町村の「介護保険特別会計」において統合され、運用されている。国からの負担金や、都道府県の補助負担金、および第1号被保険者の保険料と第二号被保険者の保険料も、一度はこの「介護保険特別会計」を通過し、各都道府県の国民健康保険連合会を介して介護保険事業者に支払われているのである。市区町村の「介護保険特別会計」を通して介護保険制度が運営されていることとなっているからである。 この介護保険特別会計は、二つの勘定からなっている。主なものは、保険料と租税とを合わせて収納し、介護保険給付(民間などの介護保険事業者への事業報酬の給付・支払)を行う「介護保険事業勘定」で、平成15年度末で2734団体(13大都市、35中核市、39特例市、551都市、2004町村、23特別区、69の一部事務組合及び広域連合)となっている。 この財政規模は、平成15年度決算ベースで歳入が5兆51196億円、歳出が5兆4396億円となっている。 ふたつめは、この保険者である市区町村のうち、任意で自ら「介護保険事業者」として「介護保険サービス」を供給する団体が設ける「介護サービス事業勘定」である。このように市区町村が直営で低級するサービスは、訪問介護や配食サービス(宝塚市など)などだが、このうち介護老人福祉施設、介護老人保健施設、老人短期入所施設、デイサービスセンター、訪問看護ステーションは別に、公営企業会計の対象となっている。「この介護サービス事業勘定」を設けている団体は、全市区町村の約5分の1の553団体(6大都市、9中核市、10特例市、79都市、406町村、20特別区、5一部事務組合)である。 この介護サービス事業勘定の規模は、歳入が425億円、歳出が421億円となっている。かなり規模が小さい。 これ以降は、主な勘定である「介護保険事業」を対象として議論していくこととする。 (3)介護保険事業勘定 平成15年度までの「介護保険事業勘定」の財政規模は、第1表、および第2表(添付ファイルにあります、この付近に入れてください)のようになっている。まず、介護保険事業の財政規模は、第2表の歳出の面から見ると平成15年度決算で5兆5196億円となっている。これは、制度発足年度である平成12(2000)年度の1.44倍となっている。制度として安定的に動き出した平成13年度からは毎年度4千億円ほど拡大してきていることがわかる。 内容を見ると、歳出の中心は「保険給付費」で平成15年度で5兆1109億円となっている。毎年度5千億円以上、4%以上の伸びを示している。 第1表の歳入から見ると平成15年度決算で5兆5196億円となっている。内訳は、保険料(第1号被保険者の保険料)が9393億円であり、全体の歳入の約16%を占める。この第1号被保険者の保険料は、二ケタの伸びと成っていることが注目される。すなわち、平成13年度に対前年度比206%、14年度には36.7%、15年度に16.5%である。これは毎年度新たに第1号被保険者となる人が増加していることも反映している。 次に国庫補助負担金である国庫支出金が1兆3467億円となっている。歳入全体に占める割合は24.4%で、ほぼ4分の一が国庫負担金である。この国庫補助負担金の伸びも、平成13年度に21.2%、14年度に8.3%、15年度に15.7%となっている。前年度からの増加額はそれぞれ1878億円、888億円、1831億円であった。なお、事務費交付金は、平成15年度に304億円あったが、三位一体改革による国庫補助金の整理合理化によって、平成17年度から廃止されている。 次いで第二号被保険者の保険料をプールしている「社会保険診療報酬支払基金」(各医療保険の診療報酬の審査と支払、高齢者医療費を扱う老人保健事業、退職者医療制度と介護保険の第2号被保険者の各医療保険からの徴収と市町村への交付を扱う)からの「支払い基金交付金」が1兆6467億円で29.8%である。 都道府県の支出金は6449億円で11.7%となっている。中心は介護保険給付費に対する都道府県の義務的な負担金で6393億円(構成比は11.5%)である。 そして保険者である市区町村も、他会計からの繰入金、すなわち一般会計から繰り入れている。その額は8368億円で全体の15.2%だが、そのうち介護保険給付費に対する市町村の負担分(一般会計から12.5%として示している)の6378億円(構成比で11.5%)が主なものである。 基金繰入金とは制度発足に当っての準備基金からの繰り入れが主なものである。 地方債のうちの大部分を占める「財政安定化資金貸付金」は、都道府県に設置され、市区町村からの拠出金で運営される財政安定化資金からの貸付金で、赤字となった市区町村に貸し付けられるものである。
(4)介護保険財政の特色 出るを量って入るを制する 今見てきたような介護保険の財政制度の他の制度と異なる点は、第一に、「出るを量って入るを制す」という原則をとっていることである。すなわち、毎年度の必要な介護給付費を計算した上で、その給費を賄う歳入の大きさを決めているという点である。「量出計入」ともいう。 第二の特色は、全体の介護給付費の大きさと、その歳出を賄う租税の大きさも、各介護保険者における介護給付費の積算の積み上げることによって算定されるという形をとっている点である。 つまり歳出を量って、それを賄う財源を調達するという形となっている。ところが地方自治体の主な収入である地方税は、このようになっていない。それはまず、歳入の見積もりがあって、それに合わせて歳出予算が組まれる。この点は国の予算でも同じである。 このように介護保険制度の場合、必要なサービス量の測定がまず行われるが、これは地方自治体の予算制度としては、望ましいことでもある。ニーズの予測が行われた上で、そのために財源を確保するということは、制度としては、住民自身が自らの必要に応じて自治体の歳入の大きさを決めるという点では、より自治的になりうるからである。 (5)介護給付費の見込み額の推計 介護保険財政の規模と、介護保険料を幾らにするかということの基礎は、各保険者(市区町村)ごとの介護給付費(保険者ベースの給付費)の推計から始まる。 まず最も基礎的な作業は、高齢者人口の推計と、そのうち要介護認定者数が、要介護度ごとにどの程度現れるかという推計である。以下次のようなフローチャートによって推計作業が行われる。
保険料(第1号)収納必要額の推計 被保険者数の推計では、住民基本台帳人口と外国人登録人口、および国勢調査人口とを基礎とした推計人口をもとにするのが最も望ましい。 要支援・要介護認定者数の推計では、自然体の将来推計を算出し、その数値に地域支援事業及び新予防事業給付による介護予防の実施効果を加味して算出する。 地域支援事業の事業効果については、平成18年度実施分については12%、19年度実施分については16%の者が、要支援・要介護状態となることを防止できたとの仮説を置く。 新予防給付の事業効果については、平成18年度実施分については6%、平成19年度実施分については8%について要介護2以上になることを防止できたととの仮定を置く。 居宅サービスの給付量については、次のような考え方で推計する。 居宅サービス必要量=各年度の要介護度別の認定者数数×各サービス利用率×一人当りの利用回数 このフローチャートからもわかるように、介護保険給付費の大きさを決める主な要因は次の通りである。 @ 被保険者数の増加の程度。特に75歳以上の後期高齢者の増加の割合が介護保険給付費の伸びを決める最大の要因である。 A 第1号被保険者のうち、要介護認定を受ける人の割合。これは全国平均では平成16年2月の時点で15.0%である(厚生労働省、『介護保険事業報告』)。つまり65歳以上の人の15%が介護保険の認定を受けていることになる。この比率が高いと、介護保険の給付を受ける比率も高まると予想される。 B 介護サービス利用率。認定を受けた人のうち、実際に介護サービスを利用している人の率で、同じく平成16年2月時点で78.7%である(厚生労働省、同事業報告)。この利用率も都道府県および各保険者によってかなりの違いがある。 C 施設サービスの利用者と居宅サービスの利用者との比率。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)など施設が多い場合は、一人当りの給付費が大きいために、介護保険給付費は大きくなる。特に医療系の『介護療養型医療施設』や『介護老人保健施設』への依存度が高い市町村は、そうでない保険者と比べると、給付費がかさむ傾向がある。すなわち介護福祉施設や医療施設、また地域密着型施設の代表格であるグル−プホームの整備の程度が高いほど、サービス給付費が大きくなり、その分、第1号被保険者の保険料に跳ね返ることとなる。 ちなみに18年度改定後でも、特別養護老人ホームの一人当りの月平均費用は31万6千円、老人保健施設で32万5千円、介護療養型医療施設で43万4千円と見込まれている。ただし、ターミナルケア実施加算や在宅復帰支援のための「試行的退所」加算などが実施される。 D 今後は、介護予防サービスの充実の度合いが、介護保険給付費の伸びを抑制することが期待されている。そのために介護予防サービスの効果を判定するための評価システムが十分機能することが重要である。 E 要介護認定者の要介護度別の割合。重度の者が多いほど給付費は増加すると見込まれるから、できるだけ介護度を下げ、自立生活を可能にするようなケアプラン策定とマネージメントの実施、そして介護保険以外の保健福祉施策の展開とその活用が望ましい。 なお要介護度別の介護保険給付の支給限度額は2006年4月以降は次の通りとなっている。
居宅サービスの要介護度別の支給限度額 (月額)
(厚生労働省通知等) このうち要支援Tは、後にのべる新予防給付にかかるものであるが、それまでの要支援の支給限度額が61,500円だったから12,000円弱の切り下げである。また要支援Uも新予防給付にかかるものだが、それまでの要介護度Tのものの6割から8割がこの段階に振り分けられることになるので、それまでの要介護度Tの支給限度額から見れば61,800円の切り下げとなっている勘定である。 F したがって、各種介護保険サービスごとの介護保険報酬の額も重要なファクターである。ある施設がその地域にあり、特定のサービスが偏って供給されるなどの場合、その保険者の給付費がそのサービスの介護保険報酬の改定動向に大きく左右されることもある。 2、介護保険財政に係わる平成18年度からの主な制度改正 (1)新予防給付について 要介護度ごとの支給限度額については先に見たとうりである。影響が大きいのは、居宅介護支援(ケアマネージメントとケアプランの作成)にかかる介護予防支援費の介護報酬が、それまでの一件当り8,500円から4,000円に引き下げられたことである。一方で、要介護TとUのケアマネージメント(介護支援)の報酬は1件当り8,500円から10,000円に引き上げられた。また、要介護V、W、Xの介護支援費は一件当り13,000円に引き上げられた。 (2)このことと関連して、介護報酬は全体として軽度者に軽く、中重度者に手厚くなるように改められている。 @ 介護予防通所介護・通所リハビリなどいわゆるデイサービスについては、月単位の定額報酬として、要支援Tで、月額一人当り22,260円、要支援Uで月額一人当り43,530円とされている。デイケアの場合は、要支援Tが24,960円、要支援Uが48,800円となっている。これにはいずれも、入浴と送迎が含まれている。 これに選択的サービスとして、@、栄養改善、月額1,000円、A、口腔機能向上、月額1,000円、B、筋肉トレーニングなど運動機能向上、月額2,250円、が行われる場合の加算がある。 A 軽度者に対する訪問介護も、月単位の定額報酬となり、身体介護と生活援助の区分を一本化する。1週間に1回程度で要支援T、Uとも12,340円、1週間に2回程度の場合は要支援T、Uとも一人当り月額24,680円、これを超える場合の要支援Uは一人当り月額40,100円とされている。 B 福祉用具給付では、要支援T、要支援U、要介護Tについては特殊寝台、車椅子、移動用リフト、床ずれ防止用具などは給付対象から除外する。 C 居宅介護支援専門員(ケマネージャー)の一人当りの標準担当件数を50件から35件に改める。 居宅介護支援費(ケマネージャーによるケプランの作成等)については、要介護度ごとに異なる報酬とする。要介護TとUは、取り扱い件数が40件未満の場合で月額10,000円(改定前は8,500円)、要介護V、W、Xの場合で月額13,000円とする。 ただし、取り扱い件数が60件以上の場合は減算する。 D 介護予防支援事業(介護予防プラン作成)について、受託事業として行う場合は介護支援専門員一人当り8人を限度とする、とされた。このことは、地域包括支援センターの介護予防支援事業を事業所に委託する場合、全面的な委託ができないよう制限を設けたものと考えられる。 E これらの改正と、平成17年10月に実施された施設給付の改正(いわゆるホテルコスト(食事と宿泊費用)を介護保険の対象外として利用者の自己負担とした)による給付費の抑制も含めて、総介護報酬は2.4%削減された。内訳は、在宅分が平均して1%のマイナスだが、軽度分が平均して5%マイナス、在宅の重度分が平均で4%プラスである。施設分では平均してプラス・マイナスはゼロとしている。 (3)地域支援事業費について 地域支援事業は、要支援以上の要介護者への介護保険給付とは別に、一般高齢者および高齢者人口の5%程度とされる虚弱高齢者(このスクーリングと抽出作業が重要)を主な対象として、従来の高齢者保健施策を再編して、介護保険の施策の中に組み込む事業である。図示すると次のようになる。
1、必須事業 @ 介護予防事業 ア、介護予防スクーリング事業 イ、要支援、要介護になるおそれのあるもの等を 対象とした介護予防サービスの提供(特定高齢者施策) ウ、全高齢者を対象とした介護予防事業(一般高齢者施策、普及啓発・地域活動支援) A 包括的支援事業 ア、介護予防ケアマネジメント(予防ケアプラン作成) イ、総合相談と支援事業 ウ、権利擁護事業 エ、包括的・継続的マネジメント事業(支援困難ケースへの助言等ケマネージャー支援、ネットワーク運用) 2、任意事業 その他事業 介護給付適正化事業、家族介護者支援事業など この地域支援事業費は各保険者(市区町村)が介護保険事業計画で定め、この費用も勘案して第1号被保険者の保険料を設定することになる(介護保険法第115条の38第3項)。その額は政令で上限を定めることとされている。この点は、制度的な制限が強い施策となっている。 その財源構成は次のとおりである。 上図の1の@介護予防事業については、租税で半分(国が25%、都道府県が12.5%、市区町村が12.5%)、保険料で半分(一号被保険者が19%、2号被保険者が31%)。 上図の1のAの包括的支援事業および任意事業については、1号被保険者の保険料で 19%、残りは国が40.5%、都道府県が20.25%、市区町村が20.25%の負担割合とされ ている。 国、都道府県、2号保険料については、それぞれ、国、都道府県、社会保険診療報酬支払基金から「地域支援事業交付金」、又は「地域支援事業支援交付金」として各市区町村の介護保険特別会計に交付されることとなる。なお、平成18年度の厚生労働省予算では、この地域支援事業交付金は494億円が計上されている。 この地域支援事業の上限は、平成18年度で介護保険給付事業の2.0%以内、平成19年度で2.3%以内、平成20年度で3.0%以内、である。このうち介護予防事業については平成18年度で1.5%以内、19年度で1.5%以内、20年度で2.0%以内。包括的支援事業についても同様とされている。 3、介護保険料について わが国の介護保険制度の最大の特色が、地域のニーズ測定に立脚した第1号被保険者の保険料の設定を、保険者である市区町村が行い、これに基づいて国の交付金や負担金が決まるところにあることは前述した通りである。したがって、都道府県および社会保険診療報酬支払基金からの交付金や負担金の決定も、市区町村におけるニーズに規定されている。そしてまた、その総額は、事業者と利用者とのサービス供給と需要とのやりとりによって左右されることともなる。「擬似市場」といわれるような、公定価格に基づいた、また種々の規制をともなったサービス売買という性格ももっていることには注目しておきたい。 改めて第1号被保険者の保険料の設定方法をまとめておく。 A、介護給付費=居宅・地域密着型サービス給付費+施設サービス給付費+住宅改修費+居宅介護支援費 B、介護予防費給付費=介護予防居宅サービス+介護予防地域密着型サービス+住宅改修+介護予防支援費 C、総給付費=A+B D、標準給付費=総給付費+特定施設入所者給付費+高額介護サービス給付費+審査手数料等 E、第1号被保険者負担分相当額=標準給付費×19%+地域支援事業第1号被保険者負担分等 ところで今回の制度改正では、第1号被保険者の保険料についても、いくつかの改正が行われている。 (1)低所得者対策として、それまでの5段階の所得階層ごとの保険料設定のうちの第2段階(市町村民税世帯非課税)に属する者を細分化して、新たな低所得者層を創設するとしている。この新第2段階は、@ 市町村民税世帯非課税で、かつA 課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円以下の者、である。 (2)それまでは保険料段階を原則5段階としていたが、保険者によるそれ以上の多段階化を可能として、きめ細かい設定ができるようにしている。また、各保険料段階の保険料率を0.5、0.75、1.00、1.25、1.5としていたが、各保険者において変更ができるようにしている。 (3)第5段階と第6段階との境界所得である基準所得金額は、第1段階、第2段階、第3段階の軽減分を、第5段階と第6段階との増額分で補てんできるように設定しようとしている。厚生労働省の算定では、この基準所得金額は200万円とするとしている。 この結果、多くの市区町村では次のような所得段階で保険料が徴収される。なお、被保険者のおおむね8割程度は年金からの特別徴収(天引き)となっている。 なお、第1号被保険者の全国平均の保険料(基準額)は、第2期介護保険事業計画による3,200円程度から、第3期介護保険事業計画(平成18年度から20年度)では平均で4,200円程度に上昇すると見られている(各新聞情報など)。 所得段階ごとの第1号被保険者保険料(ひとつの事例として)
(奈良女子大学名誉教授 澤井 勝)
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