卒業研究と大学院学位論文




02年3月下旬、記念館と遅咲きの里桜(本当に花が早い年でした)



卒業研究
 本学部では、四回生には卒業研究が課せられています。就職活動と平行しながらの文献研究、アンケート調査の設計と調査、集計作業、統計処理、ヒアリングの準備と訪問調査、その整理と読み込みの作業、論文の構成、執筆となかなかのアルバイトとなるはずです。
 わが研究室では、例年、夏休み前までに研究テーマを決めます。5月から文献研究を中心に一人当たり3回ほどのゼミ報告を経て、テーマと大まかな論文構成、調査方法と調査設計までを固めます。
 夏休み中に調査対象へのアプローチとお願い、文献の渉猟と整理、分析の枠組みの設定、というプロセスが順調にいけばいいのですが、なかなかそうはいかないことも。指導するほうも気がもめることが結構あるんですね。


さて今までの卒業研究のテーマは以下のとおり。



2007年度


伊藤真理子 「障害者雇用の現状と課題」「働く意欲」を持ちながら、「働けない障害者」も多い。厚労省の取り組みは一定の効果を上げているが、福祉的就労には、関係者の努力はあるが問題が多い。企業への一般就労には特例子会社など様々な形態があるが、雇用の幅が狭くニーズを満たしているとはいいがたい。ユニクロとスワンベーカリーへのヒアリングを交えて検討した。

小宮山智恵己 「障害者自立支援法の功罪ーーしょうがい者と行政、それぞれの現状から言えることーー」本法は障害者も介護保健制度に統合することを目指して設計されている。しかし、障害者福祉独自の理論・根拠にかける。そのために一律に利用者負担を課すなど、様々な歪みが生じている。重度身体障害者の尾崎さんへのヒアリングと生駒市の障害福祉課への聞き取り調査で基本的視点を確保し、全体を構成する。

福井智美 「中高年齢者の生活支援事業ーー7就労支援と生涯学習の観点からーー」特に団塊の世代(父親の世代でもある)の定年退職に伴い、地域での受け皿作りが進む。大津市を対象に「地域デビュー事業」の経過と、これからの課題を検討した。継続的な取り組みと、行政の側のノウハウの蓄積が重要だという課題が明らかになった。

松井美佳 「奈良県の財政状況についての現状と課題ーー過去の取り組みと他県との比較からーー」奈良県は法人関係税など税源に乏しいことから、自主財源の拡充のため、県内産業の振興、企業誘致、積極的観光戦略の練り直し、などが必要。また他県(長野県など)と比較して人件費の割合がたかいことから、人事政策を含めた人件費抑制策が求められる。

村上優子 「病院での色彩活用の可能性と現状ーー病室のリネンとカーテンの色に着目してーー」入院生活を快適なものにし、回復を支援するような色彩とはなにか。奈良県内の多くの病院と本学学生へのアンケート調査を中心とする。入院時にカーテンやリネンの色を変えたいという希望は利用者からも看護の方からも多い。しかし財政的制約で実現しにくいというのが現状。

管尚子 「ケアにおけるアートの可能性ーーホリスティックな世界観に基づいてーー」ケアに関わる人はバーンアウトや共依存と言った様々な問題にぶつかる。よりよいケアのためには、ケアする側が主体性をもって生き、要介護者と調和のとれた関係を築くことが必要。そのためにアートを通じた精神性を大事した、人間性全体の表現を共有することがよいケアを実現することにつながる。インタビューと文献研究、障害者施設でのボランティ経験の理論化、で構成する。

2006年度

椎木祥子 「医師不足の現状と課題」 2000年以降、最近になって小児科医や産婦人科医の医師不足が問題になっている。この問題を特に、我が国では女性医師がなかなか定着しないことところに、その原因の一つがると指摘し、その改革方策を検討した。

2005年度

小笠恵美 「アクティブ・エイジングの時代」−シルバー人材就労に見る日本人高齢者の生きがい形成ー」  高齢者の生きがいとは何か、という問いを『シルバー人材就労』という側面から分析した。京都市のシルバー人材センターを取材し、現在のシルバー人材センターが生きがい形成にもつ機能を明確にした。

貝塚由佳 「左利きへのまなざしを規定する個人内因子の検証」 左利きへのまなざしは時代と共に変化してきたが、価値観が多様化する現代社会で個々人は左利きをどう見ているか。学生を対象としたアンケート調査で検証した。

北野幸織 「ならまちにおけるバリアフリー・ユニバーサルデザイン」歴史的町並みを形成するならまち。そのならまちを車椅子でフィールドワーク。岡山県倉敷市などと比較しつつ、現状を解析したが、なおバリアが多く、改良の余地が大きいことを指摘した。

木村朋美 「在宅医療の推進におけるIT活用」 過疎地や離島における遠隔医療を支えるIT技術に着目した。この技術が、医療費削減や地域医療の展開に大きな効果があることを確認した。

山田素子 「イベントによる地域活性化--元興寺と西大寺を舞台にして」 歴史的魅力をもちながらそれを活かしきれない奈良。新たな活力を引き出すイベントの仕掛けを、元興寺の「夢まつり」と西大寺の「15夜のうたげ」を参与観察した。人のネットワークとそれを発展させるための課題を明らかにした。


2004年度

上田紘子 「老後の人生設計における任意後見契約の利用について」  この間に利用がようやく伸びつつある「成年後見制度」について、その中でも判断能力低下前に活用できる「任意後見制度」について、最高裁の資料などを駆使して整理した。

菊池慶子 「家族の果たす役割の変化−大きな森の小さな家」シリーズを例に−」 近代家族が成立してから早くも家族そのものが大きく変化してきている。白書などの分析と文献研究から少子化の基本的原因を子育ての負担感の増加と魅力減に求めた。そこからどう抜け出すか。

本原千佳 「地域包括ケアシステムの行方−市町村合併と公立病院経営」 広島県御調町の到達した公立御調病院を中心とした「地域包括ケアシステム」は、尾道市、向島町との合併によってどのような影響を受けるかを、病院経営の観点も含めて検証した。

米村 めぐみ 「権利擁護と福祉オンブズマン」 日本の福祉オンブズマンは、行政サイドのものも重要だが、民間から取り組んでいるそれにも大きな可能性があることが示唆された。

北川 奈央子 「言語聴覚士−現状と課題」 1997年の言語聴覚士法の成立から新しい、コミュニケーション障害についてのソーシャルワーカーが生まれた。これからの課題を含めた専門性の確立について、またその生活障害に対する援助方法の展望について検討した。


2003年度

加藤 涼子 「地域社会にけるコミュニティ・ビジネスの可能性」 愛知県の事例研究から、エコマネーを活用したコミュニティ・ビジネスの試行過程を検証する。

郡 美加 「園芸によるセラピー花と緑がもたらす癒しの効果」 植物を育て、花を生かすことが人の心をいやす。園芸療法といわれる取り組みの現場を訪ねて、インタビューで構成する


2002年度

阿部文佳 「高齢者の生きがい支援政策とNPOの役割」 神戸市のNPOを調査対象に。高齢者の「生きがい」とはなにか。それを「政策」とするとき、行政とNPOの役割をどう考えるか。

飯村紗江 「地域の力を生かした新たな子育て支援システムについてー児童館と放課後児童クラブの一元化を考える」 京都府八幡市の実践を素材に、児童館と学童保育を統合した、こどもの居場所作りを提言する。

篠崎千聡 「市町村合併の行方ー本当に楽になるのか」 熊本県の市町村合併を検証して、これからのまちづくりと合併の功罪を考える。ポイントは新しいまちのイメージの形成と展開。

中岡朋子 「ワーカーズ・コレクティブによる福祉事業の意義についてー生協を母体とした事例を通して」 大阪泉北生協のWCについて考えることによって、その可能性を明確にする。

古川玲奈 「少子社会における保育所と子育て支援サービスのあり方」 保育所と高齢者のデイサービスを合築した名古屋市の事例を調べることによって、その問題点を探る。

村井亜紀 「高齢者の共生集住のあり方ー福祉マンションを事例として」 単身の高齢者が増加するなかで、求められている「住まい方」を「福祉マンション」の先進的ケースを見ることで、「入居者主体」「自立介助」「コミュニティ形成」というコンセプトの可能性を確認する。「集まって住む」ことの意味。


2001年度

生島愛子 「介護老人保健施設の現状と課題」ふたつの老人保健施設を比較して、リピーターが多く、在宅との往復が可能となっている施設と重度化と長期化という全国的な傾向をもつ施設とは、どこが異なるのか。

幾田瑞穂 「小地域における住民福祉活動について」堺市神石地区、原山台・原山台東校区の取り組みを比較しながら、その可能性を探る。

岡田今日子 「高齢社会における生きがい支援対策について」奈良県と石川県、国の生きがい対策について考える。そもそも高齢者の生きがいとは?

川口真希 「シルバー人材センター」の現状と課題」大阪府内で訪問介護事業者を立ち上げている守口市のシルバー人材センターを見ながら。もともとは高齢者の雇用問題でしたが。

小崎 恵 「ユニットケアに関する一考察」特別養護老人ホームの新しいあり方として注目されつつあるユニットケアの先進施設、万葉苑での参与観察的研究。元気になる痴呆の高齢者の姿はNHKのクローズアップ現代でも紹介されました。

坂神洋子 「痴呆性高齢者のグループホームと地域との関連について」三つのグループホームのヒアリングから、地域に開かれたグループホームの特質を探った。それは信頼。

清水良子 「高齢者の住まい方 コレクティブハウジング・片山ふれあい住宅の事例より」ともに暮らす形としてのコレクティブハウジング。その可能性。

伊達亜由美「高齢者の地域福祉」医療と福祉そして保健との連携のあり方を求めて。言うは易く、行うは難いことを実現している実践例を考える。

農澤佳代 「痴呆高齢者を介護する側の負担について 祖父の介護体験を通して」家族による介護の経過を記録しながら、介護負担がどこから生じるか、職業人としてのケアスタッフからのヒアリングと比較しながら。

松岡梨美 「地域における保健・医療・福祉 愛媛県大三島町を事例として」祖父母が住む島の地域福祉の過去・現在・未来の検証と展望。グループホームが出来た。ボランティアが鍵を握る。

松本美紀 「音楽療法の新しい展開 高齢者の心のケアに関する一考察」本当に心のケアは、忘れられていることが多い。音楽はそのケアの可能性を開く。奈良市や岐阜市の取り組みも。



1997年度(木村陽子ゼミを合同で)

江崎真喜   「市民活動振興に関する一考察」さまざまなNPOの活動を支援するNPOの活動を「たんぽぽの家」を中心に。

木原美香   「24時間365日在宅ケアに関する一考察」福祉公社型の活動の可能性と課題を考える。

田野美智子  「地域福祉おける民生委員の役割と課題」枚方市をフィールドに、民生委員の活動と行政のありかた。

長井竜子   「児童福祉施設の現状と今後のあり方を探る」乳児院と養護施設の統合という議論を乳児院の現状から追求した。

森あずさ    「ホームヘルパー養成研修事業の展望について」ベネッセコーポレーションの研修事業と奈良県のそれを比較し、その効率性を考える。


1998年度

小田真弓   「地域活性化における住民団体の機能について」黒壁や真野地区、出石のまちづくりとその指導理念を主としてヒアリングで。

西郁代子   「福祉オンブズマン制度の実態と権利擁護システムとしての可能性」オンブズマン制度をもつ施設等へのアンケートと類型化、権利擁護の課題を整理。多摩更生苑の電話ヒアリングでは結構電話代が。

山内志保   「痴呆性高齢者のグループホームの可能性と問題点」奈良県と大阪のホームを訪問調査し、その施設ごとの特性からの将来展望。


1999年度  

井川薫     「福祉用具利用における販売・レンタルサービス事業者についての一考察」事業者に対するアンケートと抽出によるヒアリングによってその営業特性を整理。

上嶋裕美    「JAの高齢者福祉活動」農協が高齢者福祉サービスに乗り出している現状の把握と先進団体の活動と課題。

河野明子    「主婦症候群の打開策としての主婦就労の有用性についての一考察」主婦の就労意識の内容の分析と、特に若年層における問題。

小島美穂    「日本の里親制度の現状と今後のあり方について」わが国では欧米のように里親制度が未発達である理由と、今後拡大する可能性を考える。

佐伯美和子  「ボランティア活動とNPOについて」特に神戸におけるボランティアとその意識について。

竹橋直未    「離れて暮らす親のケアに関する考察」 遠距離介護を担う世代としての学生の意識調査を中心に。

西山美帆    「介護休業制度の実用性について」企業へのアンケート調査から日本IBMなど先進事例と考察。

和田亜弥    「日本の生涯学習について」特に大阪市における状況と高校生の意識調査から。青年期におけるボランティア活動の意味と生涯学習の意味。


2000年度

大原梨香    「高齢者福祉おける権利擁護に関わる一考察」動き出した地域福祉権利擁護事業と成年後見制度の特質と課題。

加藤友里    「移動制約者のモビリティ確保について」大阪市を中心とした現状と、交通バリアフリー法の制定過程。

河合里美    「高齢者福祉におけるケアマネジメントの機能とその可能性について」原理的考察とケアマネージャーへのヒアリングによってその展望を探る。

白井菜穂子  「高齢者の日常生活におけるバリアおよびその解消法につ いて」岸和田市公民館等における利用者アンケートの分析。そのニーズの地域性。

南口香菜子  「老人保健福祉計画と介護保険事業計画の読み比べて」箕面市、守口市、堺市の計画を見ながらそれを比較する座標軸を構築する。

牟田恭子    「生活協同組合の福祉活動に関する一考察」生協の福祉活動の理念と特徴を泉北生協のデイサービスなどから考える。

森重優子    「高齢者音楽療法の実践と課題」奈良市などの音楽療法の現場における実践の記録とその展望。

渡辺真樹子   「高齢者福祉における痴呆症グループホームの一考察」在宅福祉と施設福祉とを比較しながら、グループホームの利点を生かすための研究。


大学院
大学院博士課程前期(人間環境学専攻、生活システム学コース)修士学位論文


1997年度(木村陽子ゼミの応援です)

金原あかね   「母子世帯の貧困と所得保障」児童手当制度の研究の一環として、生別母子世帯に対する養育費給付の制度的確立の政策的展望。   

牧野純子    「医療供給体制が地域医療費の高低に及ぼす影響」
都道府県別の医療供給量の測定をした上で、それと地域医療費との相関、回帰分析を行い、その地域特性を分析した。

2001年度

和田亜弥     「若者のボランティア教育の可能性と展望」大阪市のボランティアスクールの参加者へのアンケート調査を通じて、その経験がどのような効果をもつかを検証した


2002年度

大原梨香        「NPOの社会的役割に関する一考察ー近畿圏のNPO法人に対するアンケート調査を中心に」 NPO法人の組織目標とその収入源との制約とを考える。


殿井悠子        「施設ケアの満足度評価ー利用者と職員間の信頼度関係尺度作成の試み」 利用者自身によるサービス評価について、その評価基準を確立するための試案の策定作業。「信頼関係」尺度を提案する。


2003年度

牟田 恭子         「現代高校生の高齢者イメージと福祉教育ー高校家庭科の授業実践を通じて」  家庭科の授業における福祉教育が、高校生達の高齢者イメージをどのように変容させるか否かを授業前後の意識調査で検証する。

芦田 登代       「高齢者福祉とレスパイトケアーーデイケア・デイサービスにおける可能性」 介護する側の負担をどのようにケアするか。日本的なデイサービスにその可能性を探る。

李 永子
          「大学生の家族観・高齢者イメージ・福祉観に関する日韓比較研究」韓国の大田市(テジョン)と関西圏の大学生のアンケート調査から、日韓の若者の共通点と相違点を明らかにする。

川口 真希       「在宅老人介護者の当事者運動ー枚方市老人介護者の会を中心に」高齢者を介護する当事者が組織した会の形成過程と到達点。行政との関係の発展過程。




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