生活福祉学とはなに?
  付:講義概要
および参考文献  (このページの一番下に「秋のキャンパスと東大寺大仏殿
                                     若草山遠望」の画像があります)


福祉とは、もともと福にしても祉にしても「幸福」という意味です。ということは生活福祉とは生活に幸せをということになりますが。ここでは広く社会福祉を考える研究室と考えておいて下さい。 

  日本女子大学の名誉教授でもある一番ヶ瀬康子さんがこの生活福祉論を言い始めたようにも記憶しています。それは生活者自身が福祉サービスの担い手になるということを主たる意味合いとして含んでいたと思います。つまり、いわゆる行政による「公的サービス」を支えたり、あるいはそれを超える柔軟で、切実な共助的、互助的、あるいは贈与としてのサービスの組み立てとそのネットワーク化を政策(自治体政策、市民政策)として考えること、なのです。
 
 事実、最近は介護などの社会サービスの担い手は、NPOや協同組合、ボランティアなど市民自身がもうひとつの主役にになってきています。特に介護保険以後、その傾向が強くなっています。


一番ヶ瀬さんの言葉。「この言葉をめぐっては、1980年ころまでは、一般的に明確な定義があった訳ではなかった。もっとも厳密にとらえようとした努力としては、社会福祉と、在宅福祉の点で接点をもったものとしてとらえているものがある。とくにそれは家政学との関連で、家政の社会化、あるいは領域拡大ととらえられてきた。」
  「日常生活の工夫というミクロな視点と社会福祉を組み込んでの展望を踏まえた生活福祉という概念は、無意識のなかの生活現実として生まれ」た。(一番ヶ瀬康子著「生活福祉の成立」ドメス出版、1998年、82頁。)
  「生活福祉という用語の起点を、生活者自体の日常性さらにその危機的状況からの内在的、主体的な福祉努力として考える。」(同書86頁)



ちなみに、昨年(2001年前期)の「生活福祉学」の講義概要を紹介しておきます今年度もほぼこれに沿って講義をする予定です。


1 生活福祉の仮の定義

 生活者自身が福祉サービスの担い手になるということを主たる意味合いとして含んでいる。つまり、いわゆる行政による「公的サービス」を支えたり、あるいはそれを超える柔軟で、切実な共助的、互助的、あるいは贈与としてのサービスの組み立てとそのネットワーク化を政策(自治体政策、市民政策)として考えること。
 
参考文献の紹介(第一次の5冊)   

   1、「老いてなお我が家で暮らす」沖藤典子、新潮文庫
               沖藤さんは、「女が職場を去るとき」というロングセラーをもつ。本書は「現代ホームヘル      パー事情」という副題を持つ。

   2、「バリアフリーをつくる」光野有二、岩波新書
      佐世保で障害児者のための日常生活を支え、療育を支援する椅子やスプーンなどの       諸道具と施設をつくる。「出てこいランド」も主催する。

   3、「ケアを問い直す」広井良典、ちくま新書
      「人はケアする動物」という定義から始まるケアについての思想。

   4、「高齢者医療と福祉」岡本祐三、岩波新書
      わが国で高齢者の介護が社会的問題となったのは、ごく最近のことだということを初め      て指摘し、家族介護の限界を克服するための政策を提起する。

   5
「居住福祉」早川和男、岩波新書
      住宅政策こそ福祉政策の基盤としなければならないと、明確に説く。

       
       追加の参考文献はこちら
 

2 ビデオ放映と感想文 今年度(02年度)は、「老いを支える」NHK旭川のドキュメントで、
   鷹栖町の特別養護老人ホーム「さつき苑」の在宅介護支援センターが、嫁の介護と、老々介   護というふたつの家族の介護を助ける様子を時間をかけて映像化した。

3 社会保障と社会福祉(『現代の地方財政』の「福祉と財政」から)
   社会保険について
   社会手当、
   社会福祉、
   雇用、住宅、まちづくり
   次回までに新聞記事の切り抜きを

4 公的扶助について ミーンズ・テストとスティグマと
   冷蔵庫事件、ホームレスと生活保護
   措置制度の意味、生活保護率

5 社会福祉のパラダイム転換について
  福祉8法改正、高齢者保健福祉計画、選別主義と普遍主義
   市町村への権限委譲、施設から在宅へ

6 ノーマライゼイションということ
   バンク・ミッケルセンとベンクト・ニイリエ
   ビデオ放映予定、高校家庭科教材「ぼくらはシニア体験談」
                       生命保険文化センター

7 インフォームド・コンセントと健康転換 緩和ケア病棟の考え方
   ホスピス、在宅ターミナルケア、
   ビデオ予定:広島県御調町の地域包括ケアシステム

8 リハビリテーションの思想
   ADL自立から生活リハビリへ
   理学療法士と作業療法士、
   北九州市南小倉病院の場合

9  コミュティ・ケアという考え方
   自立生活支援、自立とは何か、自立生活センターの思想

10 生活の質、すなわちQOLについて
  居場所をつくるということ、
  生活の目標を自分で管理することが可能にするために
  健康管理と食事サービス
  島根県隠岐郡布施村、長野県のPPK運動、北海道上川郡鷹栖町

11 介護保険制度の意義と課題
  ビデオ放映予定、NHK特集「ドイツ介護保険の現在」
         

12 介護保険制度の意義と課題(その2) 
  要介護認定の意味と改革課題
  訪問調査の重要性
  キーパースンとしてのケアマネージャー、
  アセスメント
  ケアプラン

13、介護保険財政
  第一号被保険者とその保険料
  介護保険事業計画と市民参加、利用者参加 

14、高齢者保健福祉計画と地域福祉計画(社会福祉法)

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