コラム NO4

利用者満足度調査

                                   初出:『自治総研』2001年2月 

 昨年の4月から、自治体の行う事務事業には基本的に国の事務がなくなり、国の関与の程度の厚薄はあるものの、すべて自治体の責任において実施する事務となった(はずである)。法律を解釈する権限も事務を執行する権限も自治体にある。通達は命令としての効力を失っている。国からの指示に従っていればよかった時代は終わりつつある。

 したがって、あれこれの制度をその趣旨、目的を実現するように運用するための具体的な指針は、利用者である住民のニーズをできるだけリアルにつかむことによってのみ、定めることができる。つまり利用者すなわちクライアントの意向調査、あるいは不満や不服の所在を確かめながら政策を策定し、実施し、見直すことが必須の要件となる。

 このような意味での利用者満足度調査は、介護保険制度の運用のなかに、多く見ることができる。その事例のひとつとして、2000年の8月に大阪の枚方市が行った調査を紹介したい。対象者は、在宅の要介護・要支援の認定を受けた5378人の中から、要介護度の割合を勘案した1000人を抽出した。その結果が興味深い。

 第一に、要介護度の判定については、「納得している」と「おおむね納得している」という解答が合わせて76.8%となっている。4分の3の人は、納得していることがわかる。「不満だ」という人と「やや不満」という人は合わせて12.0%

 第二に、以前からサービスを利用していた人は55.7%であり、他方、介護保険制度になって介護サービスを利用するようになった人は33.4%である。つまり介護保険制度がはじまって初めて介護サービスを利用するようになった人が利用者の3分の1いることになる。それだけサービス利用者の幅が広がったといえる。

 また、第三番目には、以前からのサービス利用者で、介護保険施行の前後で利用するサービス量に変化があったかを聞いたところ、半分の人は変わらないと答え、増えたという人が32.6%もいる。介護保険は、以前からの介護サービスの利用者の3分の1の人にとっても、より積極的にサービスを利用するチャンスを拡大したと言える。

 一方で、サービス量を減らしたという人が17.3%いることもわかった。このサービス利用を減らした人の理由は、「要介護度別の利用限度額を超えるため」が39.6%、「利用料を支払うことが困難なため」が37.7%であった。利用者の一部に、自らの意思からではなく、制度的な制約や経済的制約から、サービス利用の程度を落とさざるをえなかった人がいるのも事実である。利用者全体の10%弱の人にこの問題が生じている計算になる。

 さて、第4に、利用しているサービスについてはどうだろうか。まず利用限度額に対する利用割合について見ると、もっとも多いのが4〜6割の23.5%、全額が22.1%、7〜9割が20.2%となっていて、ほぼ拮抗している。これは全国平均と比較しても利用割合が高いほうに属すると思われる。全額利用しない理由を聞いたところ、利用する必要が無いとう解答が60.5%であって、これには問題は少なさそうである。しかし、「利用料を支払うことが困難」という人も15.9%いることもわかった。実際の解答数では48件である。また「サービス事業者が予約で一杯」という人も、6.3%いる。

 保険料については聞いていないが、利用料については妥当という人が48.3%で最も多い。一方で高いという人も18.8%いるというのが枚方市の現状だ。そして、サービスの満足度では、ケアマネージャーについては7割の人が満足し(不満は5.7%)、ホームヘルパーやデイサービスには9割の人が満足している。

 この調査によると、枚方市の介護保険制度は実施後5ヶ月の時点では、78割の人にはほぼ好意的に受け取られ、サービス量も拡大している。一方で、利用者の一割ほどの人にとっては種々の問題があることも浮き彫りになったといえる。市は責任ある保険者として、中長期的にみた利用者の利益を実現するよう、この少数派への有効な施策を機敏に組み立て実行することが、介護保険制度を安定させるためにも不可避であることが確認できる。

 次の調査としては、サービス事業者のサービス内容についての利用者調査が必要だ。そのためにはサービス内容を評価しうるわかりやすい尺度の策定も求められる。これらを新しい自治体の事務に必要な、ニーズ調査の事例として考えてもらいたい。

 

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