コラム NO2

 動きだした分権的雇用労働行政
                      初出:『自治総研』2001年4月号

 以前、このコラムで雇用労働行政の自治的あるいは分権的展開の可能性について指摘したことがある(20001月号)。特に雇用対策法(昭和41年法律第132号)に、第3条の2として新設された条文、(地方公共団体の施策)「地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならない。」に関連して、府県とともに市町村においても、雇用労働政策を展開する法的根拠が与えられたことに注目するよう求めた。

 最近になって、この雇用労働行政の分権的展開について目新しいニュースが見られるようになった。そのひとつは、厚生労働省サイドからのものである。

 222日の日経新聞に、「雇用助成見直し」という小さい記事が載った。この記事によれば、地域雇用開発促進法による事業者への助成金の支給要件として、「各都道府県などが地域雇用計画を作り、同省が審査する手続きに改める。地域の実情に即した対策を促す狙い」だという。この記事では、「審査」としているが、これは「同意を要する協議」のことではないかと思う。この計画は、都道府県が策定し、厚生労働大臣に協議し、その同意を求める「地域雇用環境整備計画」を指す。重要なのは、今回はこの計画を「都道府県が市町村と共同で作成する」としていることである。つまり、都道府県が策定する地域雇用計画を、市町村と共同で策定する計画に改めるというのだ。

 問題は、都道府県が本気になって市町村との共同作業に乗り出すかどうかという点である。さらに市町村のほうにこのような共同作業の受け皿があるかどうかという点も気になる。情報という面でも、問題関心があるかという面でも、心配はあるが積極的な取り組みを期待したい。

 もうひとつのニュースは、228日付け京都新聞の、「パートや派遣社員など 地労委へ申請可能」という次のような記事である。

 「愛知県は27日、パートタイマーや派遣社員など労働組合に加盟していない未組織労働者でも、個別的な労使紛争をめぐる解決のあっせんを県地方労働委員会に個人で直接申請できる制度を新設する方向を明らかにした。2001年度早々にも実施したい考えで、全国初になるという。

 地方分権推進法の制定に伴い地労委の事務が昨年4月、国の機関委任事務から都道府県の自治事務に移行したことにより、県の独自判断で制度新設が可能になったためで、個別的労使紛争に効果的に対応するのが目的。」

 また、大坂市でも2001年度の事業として、市民局の勤労市民課の仕事を基本的に見直し、なにが出来るか、なにをするべきかを調査研究するという。

 これらのニュースにその一端が見られるように、分権的、自治的雇用労働行政への動きがようやく具体化しつつある。このような施策の具体化にあたって、まず徹底した調査と情報バンクの整備、明確なビジョンの提起、そして労働組合を含む利用者参画システムの構築を希望しておきたい。

 

次ページに進む


ホームページに戻る