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医療制度改革の財政学 |
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医療制度改革の財政学 (奈良産業大学『産業と経済――野上隆教授追悼号』第20巻4号:所収)草稿。 (2005年11月08日稿)奈良女子大学名誉教授 澤井 勝 目次 1、「医療制度改革試案」の提案(1)都道府県医療費適正化計画 (2)患者の自己負担の引き上げ (3)政管健保、組合健保などの統合と国保の広域化 (4)新たな高齢者医療制度の創設 後期高齢者について (5)新たな高齢者医療制度の創設 前期高齢者について (6)知事会等の意見 2、国の社会保障予算と医療費 3、三位一体改革と医療福祉財政 4、社会保障給付費と医療費 6、医療費抑制はコミュニティ政策で 7、今後の課題 1、「医療制度改革試案」の提案 (1)都道府県医療費適正化計画 厚生労働省は2005年10月19日に、「医療制度改革厚生労働省試案」を公表した。これをたたき台に、09年の制度改革に向けて議論をしていきたいとしている。その骨子は、次のとおりである(以下は「医療制改革厚生労働省試案」および「関連資料」等からまとめたものである)。 第一に中長期的に、生活習慣病や平均在院日数等の現実に医療費、特に老人医療費を押し上げている要素に着目して政策目標を立てるとしている。具体的には都道府県が2008年度を初年度とする5ヵ年の「医療費適正化計画」を策定し、(1)生活習慣病を抱えた人、及びその予備群を2015年度までに25%減少させる、(2)平均在院日数を2004年度の平均36日から、同じく2015年度までに長野県(27日)との差を半分に縮小する、という全国の数値目標を参酌した目標値を掲げるようにする。このことを実現する条件として、在宅医療の促進(クリティカルパスによる医療連携など)と病床転換をすすめる、としている。 この「都道府県医療費適正化計画」は、現行の三つの都道府県計画、すなわち「健康増進計画」、「医療計画」、「介護保険事業支援計画」(三計画)をリニューアルした計画における目標と整合性がとれるものとする。 都道府県は計画期間の中間である2010年度において、計画の進捗状況について要因分析を含めた検証を行い、実際の医療費の動向が計画値を上回ると予想される場合は、三計画の見直しを含めて取り組みの強化を行う。 第1期の終了年度に政策目標の達成度を評価し、「地域における特例的な診療報酬」の設定について申し出ることができる。また、国民健康保険や後期高齢者医療制度について費用負担の特例を設けることができる。 国は、医療保険者による後期高齢者医療支援金(仮称)の負担額について、政策目標の実施状況を踏まえた加算又は減算を行うことで、各保険者にインセンティブを与え、ないしペナルティーを科す。 (2)患者の自己負担の引き上げ 第二には、短期的には高齢者の自己負担の引き上げを行う。@ 2006年度から現役並みの所得のある70歳以上の者の自己負担について、現行の1割負担を3割負担に引き上げる。 A 2010年度から前期高齢者(65歳〜75歳)は2割負担、75歳以上の後期高齢者は1割負担とする。ただし、前期後期とも2割負担とする案もある。なお現行の制度は、70歳までは3割負担で70歳以上は1割負担となっている。(3)外来診療について、低所得者を除いて、かかった医療費のうち受診一回ごとに一定額(1000円又は500円)まで自己負担とする「保険免責制の導入」を行う。 同じく短期的な施策として、医療保険適用の療養病床に入院している高齢者の食費・居住費の負担を、介護保険制度と合わせて引き上げる。2006年10月を目途として実施する。 高額療養費については、定額の限度額の25%から、賞与を含む総報酬を基礎とした月額の25%の水準になるように見直す。 (3)政管健保、組合健保などの統合と国保の広域化 第三には、保険基盤の強化のために、保険者の統合を行う。政府管掌健保は、保険者から独立した公法人を設立し、都道府県単位の支部と評議会組織を結成して、都道府県単位で財政運営を行う。すなわち、各府県の被保険者の年齢や所得の状況を勘案して保険料率を府県ごとに設定する。 国民健康保険は、市町村合併によってもなお残る小規模保険者の広域化を進めるために都道府県が積極的な役割を果たす。都道府県単位の保険財政運営を進めるために、各市町村の高額医療費の発生リスクを分散させるなど、共同事業の拡充を図る。 健康保険組合については、同一都道府県内の小規模組合や財政困難組合について、企業や業種を超えて健保組合同士が合併して設立する地域型健保組合の結成を認める。特定健保組合制度を存続させ、特例退職被保険者の資格喪失要件を見直す。(2006年10月目途) 各都道府県に、健保組合、政管健保の公法人の支部、国保保険者等による保険者協議会を設け前期・後期高齢者医療制度や医療費の動向の分析などを行い、医療費適正改革について協議する。 (4)新たな高齢者医療制度の創設 後期高齢者について 75歳以上の後期高齢者については、後期高齢者の保険料(1割)、国保と被用者健保からの支援(約4割)、及び公費(約5割)を財源とする新たな独立保険を創設する。負担関係の透明化とともに、世代間の負担の公平性の確保という観点から、後期高齢者の保険料総額の負担割合を高めていく。 運営主体は市町村とする。これは高齢者が主として地域に生活の基盤を置き、市町村がその生活実態によりアプローチしやすいところから設定されたとされている。このため財政リスクを分散し軽減するために、@ 2年単位の財政運営の導入、A 低所得者の保険料負担軽減と公費による支援、B 高額医療費について、都道府県による再保険、国レベルでの再々保険を行う。C 基金の設置による資金の交付・貸し付け等の財政安定化事業、 D 保険料を年金から徴収する特別徴収を実施する。E 後期高齢者一人ひとりに、応益プラス応能負担を求め、後期高齢者の保険料総額が医療給付費の1割となるよう、保険料等を定める。低所得者には軽減措置をとる。これらの結果、保険料は平均的には現行制度とほぼ同じの年7万円程度に納める。 国保と被用者保険は、その加入者数に応じて後期高齢者医療費支援金(仮称)を負担する。負担割合は医療給付費から後期高齢者の保険料と公費負担を控除した割合(約4割)とする。今後は後期高齢者の保険料部分が大きくなるにつれて、負担を軽減する。 患者負担は現行と同じく1割とする。ただし、現役なみの所得があるものについては3割負担とする(2006年10月実施)。 公費負担は現行の老人保健制度と同じ給付費の5割とする。国保や被用者健保からの支援金については、老健制度と同じ公費負担を設ける。 後期高齢者の診療報酬については、在宅での日常の医学的管理から看取りまでの対応が可能な主治医の普及ができる仕組みを検討する。入院による包括的ホスピスが普及するよう配慮する。また医師、看護師、ケアマネージャー、ホームヘルパー等が連携して在宅での看取りを可能にするよう配慮する。 (5)新しい高齢者医療制度の創設 前期高齢者について 前期高齢者については国保や被用者保険に加入することとなる。その給付費については、各保険者の加入者数に応じた財政調整を行う。現行制度の退職者医療制度では退職者の医療給付費に公費負担がないが、国保の前期高齢者医療給付費に公費負担を行う。政管健保の行う財政調整にも公費負担を導入する。 患者の負担は新たな高齢者医療制度の創設にあわせて、2008年度から2割の定率負担とする。現役並みの所得を有する者は3割負担(2006年10月から先行実施)。 (6)知事会等の意見 この試案については、医師会や連合、全国知事会および全国市長会などから批判的な意見が表明されている。 全国市長会と全国町村町会、国民健康保険中央会は、「国保制度が抱える構造問題を解決する視点から見て極めて不十分」と批判した。その上で、6点の留意事項を示した。主なものは次の通りである。 @、国保と被用者健保の一本化が必要である。医療保険制度を通じた給付の平等、負担の公平化を図り、医療保険制度の一元化を目指すという方向性を明確にすべきである。 A、都道府県単位を軸とした再編と統合を推進する観点から、国保保険者について、提案されている高額医療費共同事業の拡充の位置付けを明らかにすべきである。 B、保険基盤安定制度、財政安定化支援事業、高額医療費共同事業等の強化拡充。 C、後期高齢者医療制度については、きわめて厳しい財政運営を強いられている市町村が制度の運営主体を担うことは、到底容認できない。被保険者に係わる事務に協力はしても、国等を運営主体として全国一本の制度にすべきだ。各保険者からの支援金は、加入者だけではなく、所得格差を十分に反映させる。 D、前期高齢者医療制度について。財政調整については十分に所得格差を勘案する。対象年齢を引き下げ、財政調整の幅を広げる。退職者医療制度は存続させる。 全国知事会はまず医療費の適正化は国の責任とする。特に診療報酬や病床数が全国一律で決定され、都道府県にはなんの権限もないところで、都道府県医療費適正化計画は実現し得ないと主張している。 知事会のほうでは、特に権限の問題が指摘されている。第一には、医療費の適正化は国の責任である、とする。医療費適正化の基本的な要素である「診療報酬」と「病床数」とは国にその決定権限があり、都道府県には付与されていない。都道府県が策定している医療計画においても、医療費適正化に関するものは基準病床数の設定のみであるが、その積算内容は厚生労働省令によって定められ、実質的な権限は少ない。さらに、過剰病床を削減する権限もないのである。加えて医療計画の他の事項である、医療圏の設定、救急医療の確保、僻地医療の確保、医師当の確保は、いずれも「医療の確保」であって、医療費の適正化に直接に結びつくものではない。 このような権限配分のもとで、都道府県が「医療費適正化計画」を有効な形で策定し、数値目標を立て、それを実現していくことは不可能である、と主張している(麻生太郎総務大臣の経済財政諮問会議での意見から)。つまり、手足を縛られて泳ぐように迫られても、それは無理だということである。 医療費適正化に向けた国自身の取り組みを明確にし、それによる数値目標を示すべきだとしている。この指摘は至極当然のことである。 医師会や保険医師会などは、患者の自己負担の増に極め強い批判を行っている。負担増によって、高齢者の受診機会が大きく落ち込むことを懸念している。 2、国の社会保障予算と医療費 ここでまず、医療費の財政問題を予算面から見ておくことにしたい。2005年度の国の一般会計予算では、社会保障関係費は国の支出する国庫負担金を中心に20兆3808億円となっている(以下の数値等は『ファイナンス』2005年2月)。これは一般会計歳出82兆1829億円の24.8%、ほぼ4分の一を占める最大の費目である。なお、一般歳出(国債費や地方交付税を除く)47兆2829億円に対しては43%を占めている。 この社会保障予算の内訳は、医療、年金、介護、福祉その他の、4項目からなっている。最大の費目は、医療にかかる国庫負担等で国民健康保険や政府管掌健康保険への国庫負担が4兆1682億円、老人医療給付費への国庫負担が2兆7791億円など合計して8兆円あまりとなり、社会保障費の39.7%となっている。 ついで厚生年金や国民年金など年金への国庫負担で6兆2695億円、30.8%である。 介護保険への給付費国庫負担金など介護に対する国庫負担等は1兆9518億円、約2兆円である。この国庫負担金のほか都道府県と市町村の負担金、および第1号被保険者の保険料や第2号被保険者の支払い基金からの交付金、などを原資とする介護保険給付費は7兆円程度となる見込みである。 以上のように、社会保障予算の内訳で見ると、医療費が39.7%、年金が30.8%、介護が9.6%、そして福祉が20.0%となっているのである。40対30対10対20というところが大まかな構成となっている。 ちなみに福祉その他では生活保護費への国庫の支出が大きく、1兆8933億円。前年度比で10.7%という大幅な増加となっている。その他の福祉では、障害者保険福祉や次世代育成支援費や雇用関係も含めて2兆7338億円の規模となっている。 この社会保障関係費の中で、特に高齢者の医療費は現在の水準や伸びをそのままにしておくと、20年後には医療費全体の6割を占めるという試算(厚生労働省00年4月)もあり、この前提には過大ではないかという疑問があるがその抑制が大きな政策的課題であることは間違いない。同じく介護保険制度の成熟による介護保険給付額の伸びも大きく、2005年度には利用者負担の拡大や予防施策を組みこんだ制度改正が行われている。 3、三位一体改革と医療福祉財政 もうひとつ、医療費を含む国庫補助金については、この間の構造改革の影響も重要である。小泉内閣の構造改革の一環として、2002年度からいわゆる「三位一体の改革」が推進された。三位一体とは、第一に、国庫補助金の廃止ないし削減を進める。第二に、その財源として国税から地方税への税源移譲を行う。第三に、地方交付税の総額抑制を実施するというもので、医療や社会福祉の領域では特にこのうち国庫支出金の一般財源化が大きな影響を与えた。具体的には06年度までに3兆円の国庫支出金を廃止し、財源の8割は一般財源(地方税および、つなぎとしての地方譲与税(所得譲与税))を移譲するとするものである。 本格的には2004年度と2005年度、そして2006年度に実施された。すなわち2004年度は以下の福祉関連国庫支出金が一般財源化(補助金を廃止しそれに対応する一般財源を配分する)された(財務省、総務省資料から)。 1、児童保護費等負担金(うち公立保育所運営費) 1661億円 2、介護保険事務費交付金 305億円 3、軽費老人ホーム事務費補助金 167億円 4、児童手当の市町村事務取り扱い交付金 87億円 5、在宅福祉事業費補助金(うち生きがい活動支援通所事業) 50億円 6、児童扶養手当事務費取り扱い交付金 22億円 7、療養給付費等負担金(うち事務費分) 12億円 8、医療施設運営費補助金 (在宅当番・救急医療情報提供実施費) 9億円 9、医療関係者養成確保対策費等補助金 6億円 10、疾病予防対策事業費等補助金 3億円 また2005年度から次の補助金が廃止され、これにかわる一般財源が所得譲与税として自治体に配分された。 1、国民健康保険国庫負担金 5449億円 2、養護老人ホーム等保護費負担金 567億円 3、公営住宅家賃対策等補助金(公営住宅家賃収入補助) 320億円 この2年度で合計8658億円(04年度2322億円、05年度6336億円)の国庫支出金が廃止されている。なお一方で、05年度から地域介護・福祉空間整備交付金866億円および次世代育成支援対策施設整備費等交付金167億円、が新設されている。 この中では、05年度からの国民健康保険国庫負担金のうち5449億円を廃止し、都道府県に都道府県財政調整交付金を交付して、都道府県が財政調整を行うとしたことが、この後の都道府県の医療費適正化計画との関係で重要な改正であった。この財政調整交付金は、各都道府県の給付費の7%とされた。ただし初年度である2005年は5%である。 4、社会保障給付費と医療費 社会福祉はより広い社会保障体系の中で動いている。それを一年度の間の社会保障給付額として一覧にしたものが第1表である。これは社会保障・人口問題研究所がまとめたもので、2003年度についての図表である。 まず社会保障の各部門ごとに見ると、年金の給付額は44兆8千億円で給付額総計のうち53.1%を占める。医療給付額は26兆6千億円で同31.6%。福祉その他が12兆9千億円(うち介護保険による介護給付額は5兆2千億円)で15.3%、となっている。一年間の給付額では年金と医療と福祉とは、おおむね53対32対15という比率である。 収入の面から見れば、保険料と税と資産収入や利用者の自己負担分で構成される。収入全体は2003年度においては101兆3千億円(収支差が15兆円ある)。このうち保険料(年金と医療、介護)が54兆6千億円となっている。この保険料は定義上、被保険者が27兆4千億円、事業主が27兆4千億である。公費は27兆8千億円、うち国が21兆1千億円、地方が6兆6千億円である。 対象者別に見ると、高齢者関係の給付費が年金43兆円(障害年金の一部を除く)、老人保健医療費分で10兆円強、老人福祉等で5.7兆円ということになる。この割合は全体の給付額の70.4%を占めている。一方で、児童や家族関係は、医療保険の出産育児一時金、雇用保険の育児休業給付、保育所運営費、児童手当、児童扶養手当などをさしているが、これらをひっくるめて3兆2千億円である。 第1表 収入、部門、対象者から見た社会保障給付費(2003年度)
社会保障・人口問題研究所『平成15年度 社会保障給付費』の8頁「図3、収入、制度、部門、機能、対象者から見た社会保障給付費」を加工して作成。 5、医療費と国民所得 ところでもう一つの数字がある。第2表は国民医療費の推移と国民所得(GNI)との比率を表にしたものである。第1表の2003年度の医療給付費約26.6兆円と、第2表の31.5兆円との差額は、後者には患者負担分が算入されているところにあると思われる。患者負担分は、2000年の数字で国民医療費の14.6%、4兆5千億円と推計されている(厚生労働省「国民医療費」)。 この表から次のようなことが読み取ることができる。第一には、1993年から毎年度上昇してきた国民医療費は、1985年の16兆円から、2003年の31兆5千億円になり、この間に約2倍となっている。第二には、国民所得に対する比率も、1985年の6.1%から、2003年の8.6%へと一貫して上昇してきている。 なお国民総生産(GNP)に比較した日本の国民医療費の比率は決して高くない。OECD加盟国の医療費の状況を見ると日本は対GNP比では2002年には7.9%と、30カ国中17位となっている。イギリスは7.7ポイントで19位、ニュージーランドが16位である。最も医療費が大きいのはアメリカでGDP比で14.6%、以下、スイスの11.1%、ドイツの10.9%、アイスランドの10.0%、ノルウェーの9.9%、ギリシャの9.8%、フランスの9.7%、カナダの8.6%と続く。 第三には、老人医療費の伸びと構成比の高まりが、国民医療費を押し上げてきたということがわかる。老人医療費は1985年の4兆1千億円から国民医療費や国民所得の伸びを大幅に越えて伸びてきている(第3表)。1995年には8.9兆円、1997年には10兆円をこえ、1999年にはピークとなる11兆8千億円に達する。2000年には介護保険が始まったために、老人保健制度から介護老人施設などに移行するなどしたりして、老人医療費は初めて前年度に比べてマイナスとなっている。ただしこの介護保険効果は1年で終わり、2001年には11.7兆円に1兆円ほど伸び、構成比も37.5%に戻るというリバウンドの傾向が見られる。 第2表 国民医療費と制度改正 (兆円:%)
(「厚生労働省試案」、同「付属参考資料」などから作成) 第3表 国民医療費の対前年度伸び率(%)
(同前から作成) 第4には、制度改正が頻繁に行われ、それもあってか国民医療費は1999年以降は5年間ほど31兆円程度で横ばいに近い伸びに抑制されている(2004年は32兆円を超えた模様)。 このような医療費抑制策としては、主として二つの手段が使われてきた。第一には、「利用者ないし患者負担の導入と拡大」である。この経過は、1993年に老人医療費の一部自己負担の引き上げを行い外来の場合は月に900円を1000円に引き上げ、入院については一日600円を700円に引き上げている。 次いで95年からは、一部負担に物価スライドを実施している。そして97年から政府管掌健保と組合健保、共済など被用者健保の本人負担を2割に引き上げ、国保と差を縮めている。また老人の外来の薬剤に一部負担を導入している。2000年には介護保険制度が施行されているが、それに合わせて老人医療費に1割の自己負担制度が設けられた。2003年からは、被用者健保についても、国保と同じに本人の3割負担が導入された。 第二の手段は、「診療報酬の引き下げ」である。1998年に診療報酬と薬価を1.3%引き下げている。そのあと、2002年には同じく診療報酬と薬価を2.7%引き下げた。 これらによる医療費引き下げの効果は、かなりあると思われる。ただし、自己負担額の引き上げの効果については、一時的との指摘もある。2005年10月に行われた第62 |