介護保険制度改革と地域福祉(2005年6月改正法)
奈良県地方自治研究センター
介護保険を考える奈良県シンポジウム(於:橿原市)
2005年10月8日
奈良女子大学(名)澤井 勝
1、予防重視型システムへの転換
(1)新予防給付の創設
・軽度者(要支援、要介護T)を対象
・市町村が責任主体。地域包括支援センターなどで実施する。
・既存サービスの評価と検証
・筋肉トレーニングや栄養改善、口腔ケアを位置づける。
(2)地域支援事業の創設
・要介護、要支援となる可能性のある高齢者(高齢者人口の5%程度を
想定)に対する介護予防事業を介護保険制度として位置づける。
・実施の責任主体は市町村。
2、施設給付の見直し(05年10月実施)
(1)居住費・食費の見直し 在宅との負担の公平を図るために、介護保険3施設の居住費用と食費に利用者負担を導入する。介護保険財政の負担軽減。デイサービスなど通所系サービスの食費にも利用者負担。
(2)低所得者に対して。高額介護サービス費の引き下げ。
旧措置者に対する経過措置の延長。
3、新たなサービス体系
(1)地域密着型サービス(小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護、グループホーム、小規模介護老人福祉施設など)の創設
(2)地域包括支援センターの創設
(3)医療と介護の連携の強化
4、サービスの質の向上
(1)情報開示の標準化
(2)指定事業者の更新制度の導入
(3)ケアマネジメントの見直し
・ケアマネジメントをめぐる課題
併設事業所が9割以上を占める。サービス担当者会議が不徹底。
主治医との連携が不十分。
多職種連携がうまくとれていない。継続的マネジメントの実現。
特定のサービスへのかたよりが見られる。
不適正なケアプラン。
業務多忙。相談する相手がいない。
支援困難ケースへの対応。
生活全般の相談、苦情への対応。そのバックアップ体制が不十分
これらに対して厚生労働省は、次のように言う。
・包括的・継続的マネジメントの強化
・ケアマネージャーの質の向上
主任ケアマネージャーを創設
研修の強化。ケアマネ^ジャーの更新制の導入。
・独立性・中立性の確保(50人という一人当たり標準担当件数の見直し)
・ケアカンファレンスの徹底。地域レベルでの連携の強化。地域包括支援センター
による支援。
・退所、退院前のケアカンファレンス
・施設入所者への継続的マネジメント。
・地域でのケアマネージャーのネットワークの構築。
(4)人材の育成
・将来的には介護福祉士を基本とする。
・ヘルパー研修の充実。
5、負担のあり方・制度運営の見直し
(1)第1号保険料を5段階から6段階程に
(2)介護保険料の特別徴収を遺族年金・障害年金まで拡大
(3)都道府県知事の事業者指定について市町村長の関与を強化する。
(4)市町村長の事業者に対する調査権限の強化。
(5)委託調査は申請者の入所している施設への委託禁止。
(6)代行申請の適正化。
6、日常生活圏域構想と今後の介護、地域福祉のありかた
(1)改正介護保険制度と日常生活圏域の考え方
1)、介護サービスと日常生活圏域という考え方
・もともとは「地域包括ケア」の圏域という発想
介護サービス利用者が日常生活圏において必要なサービスを必要に応じて利用できるような施設等の配置を考える。
・介護サービスにおいてはそのサービスによって重層的な圏域を持っている。
入所施設サービスは市町村を越える広域
通所施設サービスは比較的狭域(小学校区から中学校区程度)
訪問リハなどもっと広域(県境を超えて)
医療圏(第一次、第二次)との関係。
・「日常生活圏域」(『介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針』の一部改正の方向性について)
「市町村は、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件、介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備の状況その他の条件を総合的に勘案して日常生活圏域を定める必要がある。」
2)地域包括支援センターという考え方(主に6月27日全国課長会議資料から)
1、法的に期待される機能=「包括的支援事業」
@ 介護予防事業のケアマネジメント
・要支援と要介護1(8割から7割――認知症などで対象から2,3割が外れるとして)の一部への介護予防給付(新予防給付)
・虚弱高齢者(高齢者人口の5%程度を想定)への介護予防事業
A介護保険外サービスを含む高齢者や家族への総合的相談・支援
B被保険者に対する虐待防止等の権利擁護事業
C支援困難ケースへの対応などケマネージャーへの支援
2、スタッフは
@保健師または地域ケア、地域保険の経験のある看護師
A社会福祉士
B主任介護支援専門員(新たに創設する資格)
3、人件費は一センターあたり1400万円から2100万円を想定している。(4月の衆議院委員会での中村秀一老人保健福祉局長の答弁)
4、運営協議会を設置する。
5、支援事業の財源構成は
@予防事業(115条の38第1項第1号)
国・都道府県・市町村・第1号保険料、第2号保険料
A包括的支援事業(同条同項第2号〜第5号)
国・都道府県・市町村・1号保険料
B全体の財政規模は各保険者の介護保険給付費の3%を目途として政令で定める予定としている。政令ではそれぞれの事業ごとの財政的上限についても規定をおく予定である。
6、対象人口は2,3万人を想定。
これは中学校区程度で、在宅介護支援センターと重なると考えている。
全国で5千ヶ所程度。
1号被保険者は3000人から6000人。
介護予防事業対象者 150人から300人。
(2)、地域密着型サービス
1) 「痴呆ケア」や「地域ケア」を推進する観点から、地域の特性に応じ、多様で柔軟な形態のサービス提供が可能なサービス体系として、新たに「地域密着型サービス」を創設する。利用が主として市町村の県域内にとどまるもの。(当該市町村住民に限定。)
例:小規模・多機能型サービス(富山方式?)、地域夜間対応型サービス、地域見守り型サービス(釜石方式?)、小規模居住系サービスなど。痴呆性高齢者グループホームも位置づけることが考えられる。(「介護保険制度の見直しについて」介護制度改革本部)
2)『指針』「市町村及び日常生活圏域ごとの地域密着型サービスの量の見込み 市町村及び日常生活圏域ごとの認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入所者生活介護、及び地域密着型介護老人福祉施設生活介護に係る必要利用定員総数並びに地域密着型サービスの種類ごとの量の見込みを定める。」
「地域密着型サービス以外の介護給付に係る介護給付等対象サービスの量の見込み
・・・夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅介護等の量の見込みを踏まえつつ、種類ごとの量の見込みを定めるとともに・・・」
「地域密着型サービスの創設により住民に最も身近で基礎的な地方公共団体である市町村がみずから、その地域の実情に応じ、地域密着型サービスに係る事業者の指定に係る審査及び指導監督を行うとともに、その基準の設定、同サービスの介護報酬の設定を行うことができる。」
3)新予防給付に関わるサービス(介護予防サービス、地域密着型介護予防サービス、介護予防支援)については介護予防ワーキングチームで検討中。指定基準、報酬の諮問答申は2006年1月ごろ。
1、介護予防サービス 介護予防訪問介護、介護予防通所介護、介護予防訪問看護など12種類。
2、地域密着型介護予防サービス
介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護など3種類。
3、介護予防支援
(3)、圏域についての事例
地域福祉の拠点としての施設という観点から
1)新自治研究会 サービス圏域分科会報告 2004年3月
1、宝塚市
2、武蔵野市
3、茅野市
2)北九州市小倉南病院と伸寿苑(介護老人保健施設の始まりのころ)
3)姫路市の日常生活圏域
(4)地域福祉計画と介護保険制度
1)住民が主体の地域福祉計画
2)○○地域福祉推進協議会(仮称)の設置を考える
・ 京都市上京区春日住民福祉協議会など
3)自立した生活支援は、介護保険と保険以外のサービスや支え合いで
4)生活とは「夢」や「予定の連鎖」だから、これからなにをしたいかを語り合い、それを実現するために人と資源を組み合わせる、ということ。